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子どもの「イヤ」という言葉で、犯罪者の7~8割があきらめるという調査結果も。自分の身を守るためにこれだけは子どもに教えてほしい【専門家】

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女の子を奨励する女性
●写真はイメージです
Hakase_/gettyimages

親の送迎が基本だった保育園や幼稚園とは違い、小学校に入学すると子どもは自分で登下校することが多くなるでしょう。小学校に上がった途端、子どもが犯罪にあう件数が跳ね上がるというデータも。もしもわが子が危ない目にあったときに「イヤ!」と言って身を守れるようにするために、親が今すぐしたいこととは? 子どもの安全・防犯に詳しい清永奈穂先生に聞きました。

犯罪認知件数は、小学校入学後から跳ね上がるというデータが

警視庁が行った「令和3年の刑法犯に関する統計調査」によると、子どもが被害者になる犯罪は暴行、傷害、強制わいせつが多く、12歳以下の暴力的な性犯罪の78%が強制わいせつとなっています。

犯罪認知件数を未就学児、小学生で比べると、未就学児への暴行は235件が小学生になると757件に急増。同様に、傷害は未就学児268件、小学生535件、強制わいせつは未就学児88件、小学生585件、強制性交等は未就学児9件、小学生112件となっていました。

「小学校に上がった途端、子どもが犯罪にあう件数が跳ね上がるのは1人で行動することが増え、大人の目が行き届くのが少なくなるためでしょう。いざというとき子ども自身が自分を守る力をつけておくことがとても大切。強制わいせつや強制性交などの性犯罪は女児が被害にあうことが多いですが、男児の被害もあり、男女ともに防犯意識を高める必要があります」(清永先生)

気をつけていても、危ない場面に遭遇した場合、どうしたら身を守れるのでしょうか。清永先生はこのときの行動次第で危機を回避できる場合が多くあると言います。

「私たちが行った危機遭遇時の行動についての調査によると、走って逃げた子が50%、何もできなかった子が20%でした。日ごろから危ない目にあったときを想定してどう行動したらいいかを練習しておく必要があります。子どもだからできないというわけではありません。練習すればできるようになります」(清永先生)

犯罪者の7~8割が犯行をあきらめる子どもの「イヤ」という言葉

「いざというときに身を守る7つの手段『ハ・サ・ミ・と・カミ・は・おともだち』を覚えておくといいでしょう」と清永先生

危ない目にあったとき取るべき行動として、清永先生がおすすめしているのが、いざというときに身を守る7つの手段「ハ・サ・ミ・と・カミ・は・おともだち」です。はしる、さけぶ、かみつくなどがありますが、意外にも効果的なのが「は」の「はっきりことわる(イヤときっぱり言う)」ことだそうです。

「非力な子どもが『イヤ』と言ってもむだなんじゃないかと思うかもしれませんが、7~8割の犯罪者が犯行をあきらめるという調査結果が出ています(※1)。基本的に犯罪者はびくびくしているんですよ。だから弱い子どもをねらうわけですが、その子どもがきっぱり断ると動揺し、止めておこうとなるようです」(清永先生)

もっとも、犯罪者は子どもが「イヤ」と断りにくい巧妙な方法で接触してくるもの。「おまわりさんだけど、一緒に来て」「言うこと聞かないと痛い目にあわすぞ」「お母さんが入院したから病院に行くよ」「かわいい子猫がいるから見る?」「図書館までの道を教えてくれない?」などさまざまなパターンがあることを知っておきましょう。

「最近増えているのは『ちょっとちょっと・・・一緒に来ない?』というあいまいな声かけで連れ去られるケースです。このとき、しっかりと『イヤ』と言える力があれば、助かるケースが多々あります。この断る力は将来、子どもがSNSなどを始めたときトラブルに巻き込まれないためにも必要です。たとえばスマホへのメッセージで『はだかの写真送って』などと言われたときに『イヤ!警察に言うよ』ときっぱり断り、通報する力につながるのです」(清永先生)

子どもが見知らぬ大人の誘いにきっぱりと「イヤ」と断るには、練習が必要です。いざというときのために、
・見知らぬ人の誘いにはのらない
・困っている人がいても、知っている大人の人と一緒に対応する
・「イヤ」とはっきり言う
などの約束を決めるだけでなく、それぞれの場面をシミュレーションして練習しておくことが大切です。

※1 (株)ステップ総合研究所+千葉県警察本部および愛知県警察本部調べ

子ども自身が自分を守る「安全基礎体力」を育てよう

いざというとき子どもが自分で自分を守るために身につけたいのが「安全基礎体力」だと清永先生は話します。「安全基礎体力」には大きく分けて4つあります。

【1 体の力】
ダッシュで逃げる、さっとしゃがむ、腕をブンブンして犯罪者の手を振りはらうなど危険を回避するのに必要な基礎体力

【2 危機への知恵・知識力】
どんな場所が危ないかがわかり、あやしい人に気づいて警戒するなど事前に危険を察知し、逃れる力

【3 コミュニケーション力】
「イヤです」「だめです」「行きません」「助けて」などが言える力。また、いやだったことを大人に伝える力、お友だちを助ける力も

【4 大人力】
1~3をベースに、危ない目にあいそうなとき自分で判断し「走って逃げよう」などと決めて行動し、責任をとる力

「安全基礎体力は0才ではゼロですが、お散歩や公園遊びなどを通してゆっくりと育まれ、小学校に入学する5~6才で大人の半分強の力を身に付けることができます」(清永先生)

まずは小学校入学をきっかけに子どもの「安全基礎体力」を確認し、成長とともに「安全基礎体力」を高めていけるよう親が働きかけることが大事です。


「防犯意識を高めるために、なにより大事なのは子ども自身が『自分は大事』と思えること。その土台にはママ・パパからたっぷり愛情を受け、『自分は大事にされているんだ』という実感が不可欠です。これまでの親子のコミュニケーションによりそれが十分感じられていれば『ママやパパにずっと大事にされてきた自分だから自分を大切にしよう。危ない目にあっても自力で何とか乗り越えよう』と行動できる子に。守りすぎず、少しずつ子どもにやらせて自分で危機を回避できる力を育てていきましょう」(清永先生)

監修/清永奈穂先生 取材・文/永井篤美、たまひよONLINE編集部

1人歩きが増える小学校入学前に防犯意識を高めたいところ。子どもの「安全基礎体力」がどれくらいあるかを確認し、「イヤ」とはっきり断るなどの練習をするといいでしょう。もちろん子どもに声をかけるのは犯罪者ばかりでなく、善意で話しかける”いい人”もいます。むやみに警戒する必要はないですが、見知らぬ大人には、できる限り子ども1人でなく知っている大人と一緒に対応するよう約束をしておくなど家族でよく話をしておくことが大切です。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

NPO法人体験型安全教育支援機構

『あぶないときは いやです、だめです、いきません』

子どもの安全教育のプロが小学生に向けて「犯罪から守る力」を教える絵本。危ない場所や危ない人、危ない目に遭遇したとき、子ども自身がどのように身を守ればいいかが楽しく学べます/清永奈穂作 1430円(岩崎書店)

『あぶないときは いやです、だめです、いきません』(岩崎書店)

『「いやです、だめです、いきません」親が教える 子どもを守る安全教育』

小学1年生と小学校入学を控えた保育園の子がいる家族が自宅から学校までの通学路をお散歩しながらマップを作り、安全や防犯について学びます。マンガやイラスト、クイズなどが満載で子どもにも理解しやすい内容です/清永奈穂著/1320円(岩崎書店)

『「いやです、だめです、いきません」親が教える 子どもを守る安全教育』(岩崎書店)

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