喧嘩するなら治療はしない!デート感覚でクリニック通い。約4年半の不妊治療を経て男の子を出産した、タレント・時東ぁみさんインタビュー
昨年3月に男の子を出産し、ママとして、タレントとして忙しい日々を送る時東ぁみさん。妊娠を発表されたタイミングで、4年間の不妊治療を経験していたことを公表し、ご自身のSNSなどでも発信しています。今回は出産当時の様子や、ご夫婦で取り組んだ不妊治療について伺いました。
びっくりするほどのスピード出産。 夫が我が子を抱く姿に感動!
―――昨年3月に男の子を出産されましたが、その時の様子を教えてください。
時東さん 友達から聞いたり、ネットで調べていると、出産は痛くて怖いイメージしかなくて。でも、どの部分が痛くなるのか、どのぐらいの痛みなのか、まったく想像もできないままで出産を迎えました。
予定日よりも1か月ほど前の早朝に、ちょっとだけ出血と軽い生理痛のような痛みがあったんです。日中もずっと軽い痛みは続いて、これがもしかしたら前駆陣痛かも?と、陣痛カウンターアプリを試してみたりと、あまり気にせずにいつも通り過ごしていたんです。それが夜になると、座れないぐらいおしりあたりが痛くなって、テレビを見ても笑えなくなってしまい、そこではじめて病院に電話しました。電話の途中も、痛みでしゃべれなくなって、看護師さんには「しゃべれないぐらい痛いなら、病院に来てもらってもいいですか?」と言われて、それで病院に向かったんです。タクシーの中でも痛みは何度もありましたが、この段階でも、これが陣痛だとは思っていなかったんですよね(笑)。
病院に着いてすぐに内診をしてもらったら、子宮口が4センチ開いていると言われました。でも、まだまだ産まれませんよ~って感じでしたが、無痛分娩を希望していたので、そろそろ麻酔は入れましょうねということになり、分娩台に行って麻酔を入れてもらいました。そこで内診をしてもらったら、10分間でさらに7センチも開いている状態で!そこにいるみんなが唖然という感じでしたね。そのまま破水して出産になり、結局病院に着いてから45分後には産まれていました。
―――それはすごいスピード出産ですね!時東さんは痛みに強くて、さらに陣痛が早い体質なんですね。
時東さん 助産師さんには分娩台の上で、絶対に次は気をつけてくださいって言われました(笑)。トイレで産まれてしまったり、移動中に産まれてしまうタイプの可能性が高いようで……。 無痛分娩の麻酔を打ってすぐに生まれたので、痛みに強いかは分からないのですが、私がネットの動画を見て想像していたような、思わず叫んでしまう程度の痛みではなかったんですよね。「この痛みはまだまだ」とか「これは我慢できる痛み」などと、勝手に思い込んでいたのかもしれないです。
―――無事に出産され、赤ちゃんの顔を見たときは、どんな気持ちでしたか?
時東さん 不妊治療をして授かった子だったので、妊娠したときはもちろんですが、夫が我が子を抱っこしている姿を見られたのが一番うれしかったですね。なかなか赤ちゃんができなかったので、夫をパパにしてあげられたことが何よりも幸せに感じました。
夫婦で一緒に治療に取り組んだから、 いつでも前向きになれた!
―――不妊治療をしていたことを公表されていますが、妊活時代の経緯や当時の気持ち、夫婦間の考え方など教えてください。
時東さん 治療中は、メディアにはもちろん公表はしていなかったのですが、友達や家族には伝えていました。そもそも私の中で、不妊治療を隠すという感覚がなかったですし、言ってしまった方が気持ちが楽でしたね。それと、赤ちゃんができないことがあるんだということを自分が直面したときに、治療することが「恥ずかしい」「悔しい」「苦しい」 という気持ちは感じなかったんです。これは夫との共通認識なんですが、「なんでも楽しんだ方がいいでしょ!」という感覚の二人なので、不妊治療も基本的には楽しみながらしていました。
と言っても、私みたいな性格の人は珍しいと思います。多くの人は、隠したいことだったり、聞かれると嫌なことだったりしますよね。「あれ?赤ちゃんは?」とか、「子ども作らないの?」という一言に、傷ついてしまうことだってあると思います。ただ私はそういう性格ではないので、あえてみんなに言うことで、「言っていいことなんだ」「隠さなくていいんだ」という気持ちになってくれたらと思い、公表しました。
―――不妊治療を実際に経験されて、どうでしたか?
時東さん 結婚して半年経った29歳の時に、初めてクリニックを訪れました。先生には、この年齢では早いですねと言われましたね。夫との年齢が12歳差というのもあったし、結婚して半年しても自然に妊娠しなかったので、二人で検査をすることにしました。結局、どちらにも原因はなかったのですが、これもひとつの健康診断かなと。私たちの場合は治療をするというよりは、より妊娠しやすくするためという感覚でした。私の考えですが、不妊治療をするなら、夫婦同時にスタートするのがいいと思います。
―――不妊治療をはじめた時、ご主人はどのような反応でしたか?
時東さん 最初からとても協力的でした。「俺、12個上だし!行こう行こう!」という感じでした。恥ずかしいとか、嫌だとか、一度も言ったことがないんです。ただ、二人の中で約束がひとつだけあって、喧嘩するなら不妊治療はやめようと言われました。そういう考えの人なので、2人で楽しく、デート感覚でクリニックに通っていましたね。
私たちは、2回顕微授精、7回人工授精をしているんです。結果が出るたびに、夫が「次、頑張ろう!」「しょうがない、しょうがない」みたいなノリで言ってくれるのが心強くて。私も”秒”で立ち直っていましたね(笑)。
―――クリニックに通ってみて、思い描いていたイメージとの違いなどありましたか?
時東さん これは、私たちが一度転院したから感じたことなのですが。「一緒に頑張りましょう!」という感じで先生方も言ってくれるのかなと思っていたら、最初に通っていたクリニックは、すべてが流れ作業的な感じで……。聞きたいことがたくさんあるのに、先生に聞ける雰囲気ではなかったんです。
不妊治療の4年半の間に、プライベートや仕事などがとても忙しくなってしまって、一度休んだ期間があるのですが、それを機会に転院しました。転院先のクリニックは、1対1の時間をたっぷり取ってくれるところだったんです。私も前の病院で学んでいたので、聞きたいことや疑問に思うことをすべてメモして、必ず全部聞くようにしていました。
不妊治療に実際に通ってみると、フルタイムなどで仕事をしている人にとっては、大変だなと思いましたね。病院の待合室では、パソコンで仕事をしながら順番を待っている女性がいたり…。みんな忙しそうに見えました。排卵のタイミングなどでクリニックを訪れないといけないとか、自分の体の中で起こることに来院を合わせないといけないんです。私のような仕事をしていると、レギュラー番組以外は比較的予定を組みやすいですし、マネージャーさんにずっと伝えてあったので、治療を優先してもらえたりしましたが、フルタイムで働いている人は難しいことだなと感じました。治療目的での遅刻や早退、休暇が気軽に取れるなど、社会全体や会社の制度で休みやすい環境になればいいですよね。そうすれば、子どもを作りたいとか、不妊治療にチャレンジしようというご夫婦が増えるのかなと思います。
体質改善やトレーニングを通じて、 妊活中から産後までの体づくりができた!
―――妊活時代は、体調面でどのようなことに気をつけていましたか?
時東さん 最初の病院で、はじめて顕微受精をしたときに、採卵の時点で卵がすごく少なかったんです。成熟卵として私に戻せるのが1つしかなく、凍結卵にできる卵もないという衝撃でした。その時はまだ若かったので、「ネットで見る情報と全然違う!」とショックでした。
それもあって、一度治療を休んでいる間に、自分が体質改善しないとダメだな、次に挑めないなと。そこで、漢方や骨盤矯正、トレーニングをスタートしました。体質改善をしてみて、体の変化が一番わかりやすかったのが、生理痛がまったくなくなったことです。あの痛みから解放されるだけでも、これはやってよかったなと思いましたね。
それから、これは出産のときに感じたのですが、どこに力を入れたら赤ちゃんが出てくるのか自分の感覚でわかったので、これはトレーニングのおかげかなと思いました。今思うと、自分の健康と妊娠力、出産力、それから産後の体の戻し方など、すべてがつながっているんだなと感じています。
―――不妊治療を通じて、ご夫婦の関係性は変わりましたか?
時東さん 私たち夫婦は、不妊治療の最中にお互いを励まし合った経験や、息子が生まれてから一緒に子育てしている経験を通じて、どこの夫婦や家族よりも、仲がいい自信があります(笑)。家族だけど、カップルとしても忘れずにいますね。息子のことは世界で一番好きですけど、夫のことは宇宙で一番好きなんです!
取材・文/内田あり
●記事の内容は2023年5月の情報で、現在と異なる場合があります。
<プロフィール>
時東ぁみさん
ミスマガジン2005にて「つんく♂賞」を受賞、元祖メガネっ子アイドル。タレントや女優、ラジオパーソナリティのほか、防災士免許や上級救命技能、整理収納アドバイザー、食品衛生責任者など多くの資格を活かして、多方面で活躍している。趣味はトレーニング。