【モデル・ティファニー春香】29歳で長男を出産。結婚後1年で不妊治療に向き合った理由は「ひとごとではない」という感覚から
2015年にJJ専属モデルオーディションで特別賞を受賞したティファニー春香さん。雑誌「JJ」を卒業後もモデルとして活躍しています。今年の夏に第1子長男を出産し、ママになりました。3姉妹で二女の春香さんは8歳のときにアメリカから日本に移住。モデルになるまでのエピソードから、不妊治療を選択した理由など、さまざまなことを聞きました。全2回インタビューの前編です。
「掃除当番」や「給食」、「ランドセル」など、日本の学校生活すべてが新鮮
――ティファニー春香さんはお父さんがアメリカ人、お母さんが日本人とのことですが、幼いときはどちらの国で生活をしていたのでしょうか?
ティファニー春香さん(以下敬称略、春香) 8歳までアメリカのミシガン州で⽣活をしていました。⽥舎町でしたが、湖や緑の多い⾃然に囲まれた環境の中でいつも元気に遊んでいました。⼩学3年⽣のときに⽇本に移住することになり、⽇本の⼩学校に転校したのですが、アメリカと⽇本の⽂化の違いに驚くこともありました。
――アメリカと日本の文化、どこに違いを感じましたか?
春香 まずは言語ですね。会話は母が日本語で話してくれていたので自然と身についていきましたが、書くことと読むことは大変でした。「ひらがな」、「カタカナ」、「漢字」の3種類の文字があって、それを覚えないといけないことにびっくりしました。
また、学校生活では掃除や給食当番があることも衝撃でしたが、給食当番になると白衣を着てクラスみんなの食事の準備をすることは“コックさん”になったようで楽しかったです。ランドセルや体操服、上ばきがあることも新鮮でとにかく刺激的な学校⽣活を送っていたことを覚えています。
――アメリカと日本、環境が違うので子どもながらにとまどったこともあったと思います。
春香 通うことになった小学校はハーフの子どもがいなかったので、髪の毛や瞳の色が違うことで視線を感じることはありました。そこで「自分はまわりの子とちがうんだ」と認識しましたが、姉と妹も一緒に通っていたので心強かったです。
――春香さんは3姉妹の真ん中ということですが、どんなお子さんでしたか?
春香 1つ上の姉は天真らんまんな性格で活発なタイプでした。私はおとなしく、恥ずかしがり屋でいつも母に隠れているような子でしたが、⾃⼰主張は強かったようです。4つ下に妹がいるのですが、小さいころは3人で思いっきりきょうだいげんかもしましたが、大人になった今はなんでも話せる親友みたいな関係です。
――大人になってからの良好な関係性はすてきですね。
春香 私の出産のときは姉がいろいろと助けてくれました。姉には3人の子どもがいます。来年の2月には妹が出産予定なので、私が愛読していた『たまごクラブ』を引きつぎました(笑)。うちの子と妹の子は同じ学年になるので今からとっても楽しみです。
オーディション当日にかけられた母の言葉がお守りに
――2015年JJ専属モデルオーディションで特別賞を受賞し、モデルの仕事を始めたとのこと。モデルは小さいころからあこがれだったのでしょうか?
春香 小さいころからファッション雑誌やショーを見てモデルさんにあこがれをもっていました。でも、恥ずかしがり屋で人前に立つことは苦手な性格だったので、⾃分には手の届かない世界だと思っていました。それが⼤学2年生の終わりに母からJJ の専属モデルオーディションがあるから挑戦してみたら? とすすめられてオーディションを受けることにしました。母はかつてJJが大好きだったそうなんです。
――JJモデルとなるきっかけはお母さんだったんですね。
春香 当時19歳だったので10代最後に何か大きなことにチャレンジしてみたい!という気持ちと、母から背中を押してもらえたので思いきって受けてみることにしました。オーディションに行く日に母から「悔いなく、自分らしく、思いっきり楽しんできて!」と声をかけてもらったことで、全力で自分を出しきることができました。
――モデルのお仕事で大変なこと、逆に楽しいことはどんなことですか?
春香 モデルを始めた当初から、表現するということの難しさは感じています。私が的外れなポージングをくり返すのでカメラマンさんから厳しい指導を受けたこともあります。そのときに「⾃分を魅せるのではなく、洋服を魅せることに意識しなさい」と⾔われた言葉が強く印象に残っていて、カメラの前に⽴つたびに思い出します。
楽しいことは、人見知りはあるものの、現場に行くとプロフェッショナルな方に出会えていろんなお話しを聞けることが本当に楽しいです。
祖母の影響で日本茶、日本食に興味を抱く
――日本茶アドバイザー・食生活アドバイザー2級を取得されているとのことですが、なぜこの資格を取得しようと思ったのでしょうか?
春香 幼いころ、おいしいお茶をいれてくれる祖⺟の影響で⽇本茶が⼤好きになりました。祖母がいれてくれるお茶から幼いながらも⽢み・うまみを感じて不思議に思ったことが忘れられず、⼤⼈になってからあのときに感じた味わいを追求したい、もっとお茶について知りたい!と思い、⽇本茶の資格を取得しました。
⾷⽣活アドバイザーは、20 代前半に肌荒れや突然の体重減少による体⼒の低下などの体の不調に悩まされたことがきっかけで、⾃⾝の体を作る“⾷”についてもっと広い知識を⾝に付けて健康な体作りをめざしたいと思い取得しました。
――食生活アドアイザーはこれから息子さんを育てていくうえでも役立ちそうです。
春香 ⾷⽂化や⾷習慣、衛⽣管理や⾷を取りまく社会⽣活なども学べてとても興味深かったので、取得してよかったなと思っています。息子の離乳食スタートはまだ少し先ですが、家族の健康を守るためにも役立ちそうです。
――おうちごはんやお弁当作り、手作りのスイーツの投稿(Instagram)を見ました。食生活で意識していることはありますか?
春香 食事も祖母の影響を受けています。旬の食材を使った料理を手作りで作ってくれていました。祖母と台所に立つ事が好きで、よくお手伝いをしていました。
大人になった今も料理をしているときは無⼼になれるので好きです。彩りを意識すると⾃然と⾒た⽬がよく、バランスのいい⾷事にもなるので意識するようにしています。
また、私に⼩⻨の遅延型フードアレルギーがあることがわかったことがきっかけで、家での⾷事はできるだけ⼩⻨は使わずグルテンフリーの⾷材を使うように⼼がけています。
結婚から1年で不妊治療をスタート
――2021年4月に結婚されました。夫さんとの出会いを聞かせてください。
春香 夫は中学時代の同級⽣です。⼀度お別れしてしまった期間もありましたが復縁し、8年交際して結婚しました。コロナ禍だったので想定していたよりも人数は少し抑えての結婚式となりましたが、家族や友人に祝福してもらえてうれしかったです。
――妊娠がわかったときのことを教えてください。夫さんにはどのように伝えましたか。
春香 妊娠がわかったのは2023年の11月です。体外受精で授かることができたのですが、凍結卵を移植した⽇からクリニックでの判定⽇までドキドキソワソワしながら過ごしていました。陽性判定が出たときはとてもうれしく、まっ先に夫に連絡をしました。
でも過去に稽留流産(けいりゅうりゅうざん)を経験していたのでおたがい喜びつつも、これから出産までいくつもある壁を無事に乗り越えていけるのか、不安な気持ちも⼤きかったです。
――不妊治療にはいつごろから取り組んでいたのでしょう?
春香 結婚後、まわりで不妊治療をしている方が多くいたので『私もひとごとではないな』と感じ、意識するようになりました。なかなか子どもを授からなかったので、原因を調べるために不妊治療専門のクリニックで検査をしたところ、卵子の数がそんなに多くはないということと片側卵管閉塞ということがわかりました。医師から「もし将来子どもをもちたいと思っているならば、早めに取り組んだほうがいいかもしれません」とアドバイスをもらい、不妊治療専門のクリニックに通院することにしました。
――婦人科で自分の体のことを知ることは大事ですね。
春香 姉の3人の子どもたちが、よくわが家に泊まりにきてくれていたんです。いつもかわいいな、私たちも子どもが欲しいな、と思っていました。そのタイミングで「不妊治療」や「妊活」という言葉をよく目にするようになったので、考えているよりも早めに医師に相談したほうがいいと思い、行動にうつすことができました。
――稽留流産も経験されたのですね。出産までいろいろと大変だったと思います。
春香 稽留流産を経験したのは、体外受精2回目のときでした。着床後、胎嚢の確認まではできましたが、中に赤ちゃんがいないという状態でショックでした。3回目の体外受精では妊娠が確認できましたが、そこから出産まではドキドキでした。
ジェンダーリビールは「昆布」と「梅」のおにぎりで、夫にサプライズ!
――妊娠中、体の不調はありませんでしたか?
春香 妊娠初期からつわりや逆流性⾷道炎、絨⽑膜下⾎腫の体のマイナートラブルありました。のどにものがつかえているような “のどつわり”もありました。体も疲れやすくなり、思うように体を動かせない時期もありましたが、『無理せず体を休めてね!』という⾚ちゃんからのメッセージだと思い、安静に過ごしていました。映画やドラマを観たり、⼦どもの名前を考えたり、『たまごクラブ』を読んだりしながら前向きに過ごしていました。
――『たまごクラブ』では体験談などもあるので妊娠中は参考になるかもしれません。
春香 “おなかの赤ちゃん実物大sheet”を見ながら、今自分のおなかのなかでこんなふうに過ごしているんだな、と考えたりしてとても感慨深かったです。先輩ママの妊娠体験談や名前辞典も参考になりました。
――妊娠中に楽しんだイベントがあったらそのときの様子を教えてください。
春香 妊娠までの道も大変だったことから、これが最初で最後の妊娠になるかもしれないと思ったので、妊娠中のイベントごとはひと通り楽しみました。ジェンダーリビールはおにぎりでやりました。夫には「中身の具が昆布なら男の子、梅だったら女の子だよ」と伝えました。そして、家族には⾵船で発表をしました。
マタニティフォトは撮らない予定だったのですが、おなかが⼤きくなるにつれて、やっぱりなかなか経験することのできない神聖なひとときを思い出として残しておきたいと思い、33週のときに⾃宅でセルフマタニティフォトを撮影しました。37週には姉がサプライズでベビーシャワーを開いてくれてとてもうれしかったです。友人もサプライズでベビーシャワーを開いてくれて、たくさんの方にお祝いしていただき幸せでした。
妹が今、妊娠中なのでこれから私も何か企画してあげたいな~なんて思っています。
お話・写真提供/ティファニー春香さん 取材・文/安田ナナ、たまひよONLINE編集部
幼いころの環境の変化も前向きにとらえ、モデルという仕事も全力で楽しまれている春香さん。お仕事にも趣味にも一生懸命な印象を受けました。結婚後、自分の体のことを後回しにせず、しっかり向き合えたことで無事に出産。現在は3カ月になる息子さんの育児を楽しんでいます。
ティファニー春香さん(てぃふぁにーはるか)
PROFILE
1995年生まれ、アメリカ合衆国出身。2015年JJ専属モデルオーディションで特別賞を受賞し、モデルの仕事をスタート。 雑誌「JJ」を卒業後、美人百花モデルとして活動。 フェミニン系アパレルブランドを中心としたECサイトなどにも出演。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年10月の情報で、現在と異なる場合があります。