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手伝いを頼んだら「いくらくれる?」と返答され、お金の価値を教える難しさを痛感。家庭でのマネー教育のコツは?【俳優・加藤貴子が専門家に聞く】

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ゲームの課金や電子マネーなど、子どものお金の使い方が変化する時代、親として子どもにいつからどんなふうにお金の価値を教えればいいのでしょうか。8歳と5歳の2人の男の子を育てる俳優の加藤貴子さんが、今の時代のお金の教育について、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子先生に聞きました。加藤さんが育児にかかわる悩みや気になることについて専門家に聞く連載第18回です。

子どもが使うお金もキャッシュレスの時代

加藤さん(以下敬称略) 先日、5歳の下の子がお友だちと買い物ごっこをしているのを見ていたら、お客さん役の子が「カードで」って言って、折り紙を折ったものをレジで渡していたんです(笑)!お買い物ごっこのセットにはおもちゃのお金もあったんですけど、お金は使わずにカードで支払っているのを見て時代を感じました。親の様子をよく見ているんだな、とも。子どもにお金の価値を理解してもらうには、子どもと一緒にいるときには現金で買い物したほうがいいんでしょうか?

坂本先生(以下敬称略) そうですね。現金でのやり取りによって、ものやサービスとお金の流れがわかりますから、原体験としてさせてあげたいところです。ただ、これから子どもたちが大人になって社会に出れば、おそらく今よりもずっとキャッシュレスの時代になっているでしょう。そう考えると、支払い履歴の品目と金額を見て、いくらチャージしていくら減った、と数字に反応できる脳にしていかないといけない部分もあるんだと思います。

加藤 交通系ICカードやスマホ決済用アプリを使っていると、大人の自分でも「今月いくら使ったかな?」とわからなくなります。請求が来て「こんなに使ってた!」と驚くこともあって(笑)。子どもには電子マネーについてどんなふうに教えればいいのでしょうか?

坂本 交通系ICカードやスマホ決済用アプリなら、こまめに収支の確認をしているところを見せるといいかもしれません。たとえば、「1万円チャージしたのにもうこれしか残ってない!」というタイミングがあったら、この1週間何に使ったかを親がチェックしている様子を子どもにも見せるといいですね。

親自身も電子マネーにまだ慣れていないところもあると思うので、親自身が習得していく過程で、「こんなやり方をして失敗した」「これはうまくいったよ」なんて会話を子どもにも共有するのもいいでしょう。親子で一緒に学んでいくことができるといいと思います。

加藤 子どもの習いごとに電車やバスを使うときには交通系ICカードを持たせて、必要なものはそのカードで買うようにさせる人もいると思いますが、そういったときの注意点はどんなことでしょうか。

坂本 12歳までの小児用交通系ICカードは記名式で、チャージ方法は現金のみのものがほとんどです。交通費を調べ、途中で何かあったときのための飲食代をプラスした金額を予算として週に1回チャージして、「この範囲で使おうね」と約束しておきましょう。
そして、1週間ごとにチャージするタイミングで、券売機で購入履歴と残高を一緒に確認すると、何を買ったか目に見えてわかります。カードによっては、親もアプリやネットで購入履歴を確認できるものもあります。そのときも一緒に確認するといいでしょう。

現金を渡す場合、レシートが残っていない限りはどこで何を買ったかがわかりませんから、履歴がわかるのは電子マネーのメリットだと思います。

子どもがお金のトラブルに巻き込まれないために

加藤 わが家では子どもがタブレットで動画配信サービスを利用してアニメや映画などを見ているんですが、先日、カタカナや漢字が読めない5歳児の二男がよくわからないままに有料の動画をいくつも購入してしまったことがありました。そのときには、「お金がかかる動画もあるから、見たいときには言ってね」と伝えましたが、端末もきちんと管理する必要があると感じました。

坂本 親のスマートフォンを使ってゲームをして、ひもづいているクレジットカードから課金してしまうトラブルもよく聞きますね。親の許可なく親のお金を使ってはいけないこと、ゲームや動画でお金がかかるものがほしいときには必ず親の許可を得ることは、しっかり教える必要があります。ただ、注意するときにあんまり強く怒ってしまうと、万が一金銭トラブルに巻き込まれたときに、親に言い出せなくなってしまう恐れがあります。

今はコンビニでゲームのプリペイドカードも買えますし、スマートフォンを持つようになるとSNSでだれかとやり取りをして、親の知らないところでトラブルに巻き込まれる可能性もないとは言えません。だから、お金の使い方や、倫理的なことは冷静に伝えたり、日ごろから子どもと話題にしたりして理解させておくことが大切です。
私は子どもには「困ったときにはすぐに言ってくれないと守ってあげられないよ」と伝えていました。小学校中学年を過ぎたら「トラブルになったら怒らないからすぐに状況を伝えてね」と伝えておくといいと思います。

加藤 万が一トラブルが起きたときに、親にすぐ相談できる関係を作っておくことが大切なんですね。

お手伝いを報酬制にするメリットと気をつけたいこと

加藤 子どもにお金の価値を伝えたいために「お母さんは働いてお金をもらっているんだよ」という話を日ごろからしているんですが、先日、長男にお手伝いをお願いしたときに「手伝ったらいくらくれるの?」と言われてしまいました。思いやりで手伝うのか、労働の対価のために動くのか、どうやって教えるかのバランスが難しいと感じました。

坂本 そうですね。お手伝いを頼むときに報酬制にするのもいいですが、お金を渡すときには「やってくれてすごく助かる」という感謝の気持ちもセットで伝えるともっといいと思います。
私はよく家で原稿を書く仕事をしていたので、30分かかる家事を子どもに手伝ってほしいときには「30分家事をしなければ、そのぶん仕事が進んでお金を稼げる。その稼ぎから支払うから、手伝って!」とよく頼んでいました。そしてやってもらったら本当に助かりましたから、「助かった、ありがとう」と伝えていました。

加藤 たしかにそうですね。働くのはお金のためだけというわけでもないですよね。感謝の気持ちを伝えることは忘れないようにしようと思います。そして、労働の対価として得るお金の額や価値についても、きちんと伝えることが今後の課題になりそうです。

坂本 お手伝いを報酬制にすることで、子どもに二つのことを教えられると考えています。一つは、労働には対価があるということ。もう一つは、家事労働は無償ではないということです。親は家族のために無償で家事をしているけれど、家事を外注したら当然費用が発生するわけです。
家事労働を金額に換算すると、たとえば令和4年10月時点での東京都の最低賃金1072円として1日5時間家事をすれば、1カ月で約17万円の価値があることになります。
子どもにお手伝いをしてもらい、感謝とともに報酬を支払うことで、この二つのことを実感してもらえると思います。

加藤 坂本先生は息子さんたちにお金についてしっかり教えていたんですね。とっても勉強になります。

坂本 長男で甘やかして育てた反省があって、二男にはお金について結構うるさく言っていました。ただ、お手伝いを報酬制にしても、子どもが手伝ってくれるのって、小学生くらいまでかな、と思います。思春期以降は学校や部活や友だちづき合いで子どもも忙しくなりますから。ところが、二男は大学生になったら、何も言わずに食後に洗い物をしてくれるようになって、びっくりしました。

家事を外注すればお金がかかるとわかっていると、お金を支払わないのに家事をしてもらえることの価値もわかるし、そこに思いやりの気持ちがあることが想像がつくようになったんだと思います。だから、家庭でお金の教育をしっかりすれば、お金に換算できないものの価値もわかるようになるんじゃないかなと思います。

お話/加藤貴子さん、坂本綾子先生 監修/坂本綾子先生 撮影/山田秀隆 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

お金の使い方が少しずつ変化する時代。親も学びながら、子どもと一緒にその価値や使い方を考えていかれるといいですね。

●記事の内容は2023年7月の情報であり、現在と異なる場合があります。

加藤貴子さん(かとうたかこ)

PROFILE
1970年生まれ。1990年に芸能界デビューして以降、数々の作品に出演。代表作として『温泉へ行こう』シリーズ(TBS系)、『新・科捜研の女』シリーズ(テレビ朝日系)、『花より男子』(TBS系)などがある。

坂本綾子先生(さかもとあやこ)

熊本県生まれ。明治大学在学中より雑誌の編集に携わり、卒業後にフリーランスの雑誌記者として独立。1988年より、女性誌、マネー誌にて、お金の記事を執筆。1999年 ファイナンシャルプランナー資格取得。2010年ファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所設立。現在は生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナー講師なども行う。著書に『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版)など多数。

『子どもにかかるお金の超基本』

子どものために毎年いくら貯金すればいい? ため時はいつ? 教育費のメリハリはどうつける?など、妊娠中から大学を卒業するまで、子育てにかかるお金のギモンにすべて答える一冊。
坂本綾子著/1705 円(河出書房新社)

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