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【パパエコノミスト提言】続く赤ちゃん用品の値上がり。価格動向をリアルに感じて、家計のやりくりは夫婦で相談を

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総務省は物価の変動を示す「消費者物価指数」を毎月発表しています。子どもができたことで、赤ちゃん用品の価格上昇率に注目した浜銀総合研究所研究員の遠藤裕基さんは、赤ちゃん用品に特化した「赤ちゃん物価指数」を作成。赤ちゃん用品の物価上昇が続く中での子育てについて、パパエコノミストの意見を聞きました。

赤ちゃん用品の価格は急激に上昇。子育て家庭の負担は増える一方・・・

1人目の子どもが2022年5月に生まれた遠藤さんは、8月~10月に育休を取得。赤ちゃん用品の買い物にもよく行っていました。

――遠藤さんが作成した「赤ちゃん物価指数」が新聞やニュースで取り上げられ、話題になっています。

遠藤さん(以下敬称略) 総務省は毎月、582品目の商品やサービスの価格を調べ、前年同月の価格と比べた上昇率・下降率を「消費者物価指数」として発表しています。この中に赤ちゃんにかかわる5品目も含まれています。

子どもができる前は、赤ちゃん用品の価格を気にすることはほとんどなかったのですが、子どもが生まれてからは、赤ちゃん用品の価格を意識して見るようになりました。紙おむつなどを買いに行くたびに、ちょっとずつ価格が上がっている気がしたんです。赤ちゃん用品の価格上昇率は、消費者物価指数より高いのでは・・・と感じました。
そこで、582品目の中から赤ちゃんにかかわる5品目を抽出し、「赤ちゃん物価指数」を作成したんです。

――実際に算出されてみてどうでしたか。

遠藤 2023年5月の消費者物価指数は、昨年5月と比べて3.2%上昇していますが、「赤ちゃん物価指数」は6.9%上昇。2倍以上の上昇率でした。
「こんなにも違うものか、こんなにも上がっているのか!」と私自身もびっくりしたんです。育児世帯の負担の大きさを改めて感じました。

そして、2023年6月の消費者物価指数が発表になり、新たに「赤ちゃん物価指数」を出してみたら、さらに上昇していました。赤ちゃん用品は急激な値上がりを続けています。

家計やりくりの話し合いの前に、夫婦で赤ちゃん用品の買い物に行ってみよう

――物価は上昇を続けているのに、給与はそれに追いつくほど上がっていないので、多くの家庭が家計費増に苦しんでいます。

遠藤 とくに20代、30代の子育て世代はもともとの給与がさほど高くありません。また、この春のベースアップや昇給で多少上がったとしても、赤ちゃん用品の価格上昇をカバーできるほど収入が増えている人は多くないと思います。私自身、子どもが生まれてからの家計負担増に悩んでいます。

――遠藤さん自身は、子どもが生まれてからの家計のやりくりはどうしていますか。

遠藤 赤ちゃん用品は価格が上がっても買わないわけにはいかないものです。節約のためにできることといったら、セールしているときにまとめ買いすることくらいですね。

わが家では、赤ちゃん用品の出費が増える分は、親の消費を削ることで帳尻を合わせています。具体的には外食やレジャーの回数を減らすとか、新しく買う服を減らすとかですね。妻と「お互いある程度は我慢するしかないね」と話し合っています。

――遠藤さんは3カ月間の育休を取りました。そのときに気づいたことはありましたか。

遠藤 妻は専業主婦なのですが、育児を任せっきりにしていたら、もしも妻が病気などになったとき、子どものことを何もできず途方に暮れると思ったので、早い時期に育児に向き合う時間を作ろうと考えました。そして息子が3カ月~6カ月の間、育休を取りました。3カ月間育児に向き合ったおかげで、母乳を出すこと以外は何でもできるようになったつもりです。妻からみたら、まだまだかもしれませんが。
赤ちゃん用品の買い物も頻繁に行ったので、「赤ちゃん用品は値上がりしている。でも息子のために必要なものだから減らせない。親の出費を減らすしかない」と、身をもって感じました。

――赤ちゃんへの出費が増える分、親の娯楽費などを減らさなければいけなくなることを、パパが理解してくれないと悩むママもいるようです。

遠藤 実際に買い物に行かないと、赤ちゃん用品の価格がどんどん上がっていることを実感できないんですよね。私も買い物に行く機会が増えるまでは、赤ちゃん用品の値上がりがこんなに家計を圧迫するものだとわかっていませんでした。
だから月1回でもいいので、赤ちゃん用品の買い物に夫婦一緒に行ってほしいんです。「先月は○○円だったのに、今月はこんなに上がっている!」というリアルな数字を見ると、考え方が変わるのではないかと思います。
そのうえで、ここは節約できそう、ここは減らしたくない、といったことを夫婦できちんと話し合えば、お互いに納得して、家計維持への努力ができるのではないでしょうか。
また、妊娠中のカップル、妊娠を望んでいるカップルは、子どもが生まれる前から赤ちゃん用品の価格変動を知っておくと、出産後にどれくらいお金がかかるのか、シミュレーションしやすくなるんじゃないかなと思います。

日本は高等教育の費用負担が大きい。子どもが自立するまで国の支援が必要

――遠藤さん自身は、子どもは何人くらいほしいと考えていますか。

遠藤 2人はほしいかなと、妻と話しています。でも、日本は教育費がとても高いので、2人分の教育費をまかなうことができるのか、という不安があります。子育て世代みんなが抱えている不安ではないでしょうか。

――ママ・パパが希望する数の子どもを産み、育てるためには、どのような支援が望まれると考えますか。

遠藤 児童手当の支給や保育園の整備、幼児教育の無償化など、子どもが小さいときの支援はかなり充実してきていると思います。でも、子育ては子どもが自立するまで続き、子どもが成長するほどかかる費用が高額になっていきます。国も動き始めてはいますが、高校・大学といった高等教育の無償化など、子どもが大きくなってからの支援を充実させてくれると、子育て世代の負担や不安を軽くできるのではないでしょうか。

家計のやりくりで解決できることには限界があります。日本の子どもが健やかに成長し、やがて日本を支える人材に育つためには、国の支援が不可欠です。父親として、エコノミストとして、今後の国の動きに注目していきたいと思います。

お話・監修・写真およびグラフ提供/遠藤裕基さん 取材・文/東裕美、たまひよONLINE編集部

「赤ちゃん用品の物価上昇はしばらく続く」と遠藤さんは言います。ママ・パパが一緒に買い物に行って現実を理解し、家計をどのようにやりくりするのか、しっかり話し合うことが大切なようです。

遠藤裕基さん(えんどうゆうき)

PROFILE
浜銀総合研究所 調査部 上席主任研究員。慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了後、同研究所に入社。雇用、労働問題および神奈川県経済の分析を担当。2022年5月に1人目の子どもが生まれ、3カ月間の育休も経験。

●記事の内容は2023年8月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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