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バーチャルの知識とリアル体験の結びつきがドーパミンを放出させ、知的好奇心をぐんぐん育てる【脳医学者】

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小さな男の子とカラフルな脳のスケッチ
※写真はイメージです
ismagilov/gettyimages

脳医学者・瀧先生は「子どもにさまざまな知識に触れる機会を作ること、さらに実際に体験させてあげることは、脳の成長の原動力になる」と言います。東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生の短期連載第5回のテーマは、「バーチャルとリアルの結びつき」について。11才の男の子のパパでもある瀧先生に、子どもの脳の発達から見る子育てのヒントと、先生自身の子育ての様子、ママやパパの気になる質問などについて聞きました。

バーチャルの知識とリアル体験が子どもの脳を刺激する

――絵本や図鑑で見たことがある動物や魚について、その実物を見るとさらに子 どもの知的好奇心が育つ、ということについて教えてください。

瀧 知的好奇心をはぐくむ第一歩として、絵本や図鑑などで子どもが幅広い知識に触れる機会を作ってあげるということがあります。そこからさらに、たとえば子どもがシマウマに興味を持ったら、動物園に行って実物を見せてあげる。実際のシマウマの大きさや迫力、音やにおいで五感が刺激され、新しい発見や感動を得ることができます。
このように、図鑑や本などで見たもの(バーチャル)の知識が、実物(リアル)に結びつく体験によって、脳にはドーパミンという神経伝達物質が流れると考えられます。快楽物質とも呼ばれるドーパミンの放出によって、「もっと知りたい!」という知的好奇心がぐんぐん高まります。

――驚きの体験によってドーパミンが放出されるのでしょうか?

瀧 私たち人間は予測できることに対しては期待は小さくなり、あまりワクワク感を感じませんが、予測していたことより実体験のギャップがいい意味で大きいときに、ワクワクしたり気持ちが高ぶったりしますよね。バーチャルとリアルが結びついて期待値以上の差があるときにも、ドーパミンが放出されるだろうと考えられます。

見て、触って、五感で感じるリアル体験が知的好奇心を育てる

――就学前の子どもに「バーチャル」と「リアル」が結びつくような体験をさせてあげるには、ほかにどのような方法がありますか。

瀧 電車が好きなお子さんなら、実際に駅のホームや線路わきで走る電車を見せてあげると、存在感や速さ、音の大きさに圧倒されることでしょう。昆虫なら、実際に捕まえて実物を見たときの羽や足の動き方、力強さに感動するはずです。星が好きなら、都会から離れて満天の星空を見たときの感動。逆に、地方から都会に来たときのビルの高さや形のかっこよさを感じることもあるでしょう。そんなふうに実物に触れ、感動したときにドーパミンが出て、子どもの知的好奇心を育ててくれるでしょう。

さらに、バーチャルで得た知識同士がリアルな体験によって結びつくこともあります。道を歩いていて白いチョウが飛んできたとき「ただの白いチョウだ」と思うと感動もしませんし、すぐに忘れてしまうでしょう。でも図鑑などでさまざまなチョウの知識を得ていると「白い羽に黒い点があるな」「羽に黒いスジが入っているな」「白いけれどこれはモンキチョウのメスだな」と、それまで個別に持っていた知識同士が結びつきます。その驚きや感動によってドーパミンが放出され、さらに物事に対する興味関心を増すといわれます。

――お化け屋敷やジェットコースターのようなドキドキを感じるときにも、ドーパミンは放出されるのでしょうか?

瀧 ドーパミンだけではなく、アドレナリンなどのほかのホルモンも出ていると思いますが、スリリングな体験のときにも、ドーパミンは関係しているだろうとはいわれています。ホラー映画が好きな人は、そこに快さを感じているのかもしれませんね。ちなみに私はホラー映画は苦手なので、いっさい見ません(笑)。

脳医学者パパ・瀧先生の子育て体験を教えて!

――先生と息子さんはよく虫取りに行っていたそうですが、そのとき、親子で何か発見をした経験はありますか?

瀧 私はチョウが好きなので、私の実家がある北海道に帰省したときなど、息子と2人でよくチョウを捕りに行きます。実物のチョウの羽は模様や形が素晴らしく、その美しさに感動します。息子と一緒に羽根の様子などをひとしきり観察し、リリースします。

息子は、トノサマバッタの跳躍力・飛翔力にも驚いていました。トノサマバッタは保護色なのでなかなか見つけられないんですが、2人で探してやっと見つけて虫取り網で捕ろうとするとまた逃げられて…トノサマバッタは1回の飛翔で数十メートルも飛ぶといわれているんです。2人で30分かけてようやく1匹のトノサマバッタを捕まえたこともありました。
夏の虫取りは炎天下で、息子とヒイヒイ言いながらですが、楽しいですね。息子も「また来年も行こうね」と楽しみにしてくれています。

【瀧先生に聞く】ママ・パパからの気になるQ&A

子育て中のママやパパの困りごとや悩みに、瀧先生からアドバイスをもらいました。

【Q】子どもが知育菓子Ⓡに興味津々です。お菓子でも知的好奇心は育ちますか?

【瀧先生より】
実は私も知育菓子の企画に少しかかわっているのですが、知的好奇心を伸ばすという点ではとてもいいと思います。粉に水や別の粉を加えると、色が変わったり味が変わったりするお菓子はちょっとした化学反応を利用したものです。
見ているのも面白いですし、実際に作って食べられるのも楽しい体験ができると思います。動物や昆虫などは自然科学・生物の興味関心になりますが、知育菓子の刺激は化学に興味を持つようになるのではないでしょうか。

【Q】料理中に「野菜を切りたい」と言われ、急いでいるときには困ってしまいます。やらせてあげたほうがいいですか?

【瀧先生より】
やらせてあげたくても急いでいると難しいこともありますよね。ただ、子どもが興味を持ったときは好奇心を伸ばすチャンスだと思います。
急いでいるときには、安全な台などに立たせて調理を見せてあげるだけでもいいでしょう。野菜を切って煮たりすることで見た目も味も変わって、やがていつも食べているおかずになる、その調理工程を見ているだけでも、子どもにとっては感動体験になるはずです。

もし可能なら、きゅうりを切る、にんじんを洗う、など無理のない範囲でやらせてあげたら、次に挑戦したいと思ったときのハードルが下がり、チャレンジしやすくなると思います。子どもは、何がきっかけになって物事に興味を持つかわからないので、さまざまな機会をできるだけ与えてあげたほうが、将来の可能性が広がることにつながるでしょう。

お話・監修/瀧靖之先生

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

日常生活で知識を得たことを、実際に体験したときの驚きや感動が、子どもの知的好奇心を育てるということです。お手伝いやお散歩で、子どもと一緒にいろんな体験を楽しみましょう。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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