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「公園から帰れず、だいたい最後の1人に…」「気に入った服が洗濯中でも、あれじゃなきゃイヤ!」イヤイヤ期体験談【絵本作家minchiさん】

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1歳代の子どもの「あるある!」という様子を描いた絵本『いっさいはん』で人気の、画家・絵本作家のminchiさん。絵本『いっさいはん』に載っているイラストは、もともと子育て中にSNSで発信していたものだったんだとか。2023年5月に出版した『はけたよ ずぼんぼん』という絵本も、娘さんとの思い出がアイデアの源になったそうです。今でもたくさんの絵本を描いているminchiさんに、現在は中学生という娘さんの赤ちゃん時代を振り返った話を聞きました。

覚悟して出産したけれど、思っていた以上に大変な日々…

絵本『はけたよ ずぼんぼん』の1ページ。子どものかわいらしい行動を生き生きと表現しているところがminchiさんの絵の魅力の一つ。

――妊娠・出産を振り返って、どんな思い出がありますか?

minchiさん(以下敬称略) 思い出すのは「つわり」ですね。つわり自体は周囲から聞いて知っていて、吐くものだと思っていたら、私は「食べづわり」だったんです。食べていないと気持ち悪くなっちゃうタイプで、吐くのに比べたら全然マシなんだろうと思うのですが、聞いていたのとちょっと違うなという印象でした。たとえば、ちょっと出かけていて目的地まで、もうあと2~3分で着くっていう状態なのに、気持ち悪くなってきちゃったら、「もう食べないと無理!」みたいな・・・。小分けになっているお菓子などを、歩きながらもそもそ食べていましたね。

あとは、妊婦さんにはよくあることかもしれませんが、出産の1~2カ月前は足がつることが多くて大変でした。夜中に両足つって、立ちあがることもできず、一人でもんどりうってなんてこともしょっちゅう。ただ、出産はめちゃめちゃ安産でした。明け方に陣痛がきて、夫に送ってもらって病院についたら、思っていたより早く生まれて・・・。

実は私、妊娠する前は「子ども」に苦手意識があったんですね。それもあったし、出産や育児に対しても、まわりからいろいろ聞いて「大変だろうな」とかなり覚悟して出産したわけです。でも、その後の育児は「覚悟していたけれど、思った以上にさらに大変だった」という経験ばかりでしたね。

――娘さんが生まれてから、とくに大変に思ったのはどんなことですか?

minchi 「全然寝ない」ですね。おっぱいの間隔がすごく短くて…。生まれる前は「3時間ごとに授乳」というイメージで、1回授乳したら3時間休めるのかと思ったら、全然そんなことなくて。

まず飲むのに30分くらいかかりますよね。30分以上かかることもあったかも。で、飲み終えても寝なかったりして。寝たと思っても、抱っこから下ろすとすぐに起きたり、布団に下ろせても15分くらいですぐに起きたり。そういうのがもうエンドレスで、私自身は寝ているような寝ていないような状態がずっと続いていて、授乳以外のお世話もあるし、寝不足でボロボロでしたね。授乳は母乳だけでしたが、1日20回くらいしていました。間隔が短く、回数が多く、日によりましたが1歳近くまで1日15回くらい授乳することもあったかも。

あと、やっぱり生まれてすぐのころは、わが子と「意思の疎通がスムーズにできない」ことも大変ですよね。赤ちゃんは具合が悪くても、言葉では伝えてくれないじゃないですか。自分が寝ている間に「横で寝ている娘に何かあったらどうしよう」というプレッシャーがすごくありましたね。

大人の都合がまったく通用しない「イヤイヤ期」にびっくり!

絵本『はけたよ ずぼんぼん』の1ページ。子どもだって「自分のお気に入りの服」があるもの。

――娘さんが少し大きくなってから、いわゆる「イヤイヤ期」はいかがでしたか?

minchi 歩き出して公園に行くようになってから、公園に入りびたり状態でした。午前中に公園に行って、お昼になって「ごはん食べる時間だから帰ろう」と言っても、娘はまったく帰りたがらないんです。同じような子が公園にいっぱいいるんですよね。で、みんなが「帰らない!」って言うから、もうだれも帰れないみたいな。なかなか「最初の1人」が出ないんですよ。無理やり連れて帰ったら、帰宅後がさらに大変になるので、本人が納得するまで公園にいることになって、よく「最後の1人」になっていましたね。

あとは、気に入った服があると、娘はそれを毎日着たがって…。「洗濯してまだ乾いていないよ」と言っても、「それじゃなきゃイヤ!」となって。イヤイヤ期って、大人の都合はもう通用しないですよね。冬にはだしでサンダルで出かけたがるとか。服の好みが出てくると、「これとこれを着たい」と言うけれど、大人から見ると、その組み合わせがちょっと…という感じだったり。上が花柄で下が水玉とかね。

でも、説得してもうまくいくことは少ないので、最終的には娘の好きにさせていました。乾いていなくてぬれた服を着せるのは、体調に影響するかもしれないので避けるけれど、多少服の組み合わせの独特でも、気にしないことにしていました。

成長が興味深くおもしろい!「赤ちゃんかわいいなぁ~」と思うように

絵本『はけたよ ずぼんぼん』の1ページ。上手にはけたと思ったけれど、あれあれ?どこかが何か違う?

――子育てで楽しいと感じたことはありましたか?

minchi  先ほど言った「妊娠前に子どもに苦手意識があった」というのは、「子どもが何を考えているのかわからない」「子どもとどう接していいかわからない」という気持ちが大きかったと思います。犬や猫の赤ちゃんはかわいいと思っていましたが、人間の赤ちゃんは、「かわいいよりもよくわからない」と思ってしまっていて…。

ただ、出産後は、気持ちがガラッと変わりました。「人間の赤ちゃん、かわいいなぁ!」って。生まれたばかりのころは、もこもこ動くだけだったのに、この0歳から、1~2歳ごろまでの成長の速度ってすごいじゃないですか!昨日できていなかったことが急にできるようになったり、教え込んだことじゃないのに学んでいったり。いつの間にか、私のことを親だと認識して、あとをついてきたりとか。この成長がとにかく、興味深くておもしろくて、わが子だけでなくて、街で見かける赤ちゃんに対しても「かわいいなぁ~」と思うようになっていました。

今年の5月に『はけたよ ずぼんぼん』という絵本を出版したのですが、「楽しくお着替え」をテーマに描いた絵本なんです。娘が小さかったころ、ズボンを履くときに、ズボンの片側に両足を入れていたことを思い出して、描いたものです。そういう子どものふとしたしぐさが、おもしろかったし、すごいかわいかったという思い出がたくさんありますね。

子育てって、大変なこともたくさんありますが、わが子のそういうふとしたかわいさを身近で感じられる特別な時間なのかもしれません。

お話/minchiさん 取材協力/PHP研究所 取材・文/たまひよONLINE編集部

「私の娘はもう中学生なので、遠い昔のことになってしまいましたが、乳幼児を育てるプレッシャーというのは、本当にもうすごいものがありますよね。自分が育児を始めてみたら、世の中のお母さん・お父さんがやっていることって、本当にすごかったんだなって思うようになりました」と子育てを振り返って話してくれたminchiさん。乳幼児の育児中はお世話に追われがちですが、わが子のふとしたかわいさを感じながら、特別な時間を大切にしていきませんか。

●記事の内容は2023年8月の情報であり、現在と異なる場合があります。

minchiさん(みんち)

PROFILE
画家、イラストレーター、絵本作家。
アクリルガッシュを使用した幻想的な作品を国内外の展示で発表。2016年、フランス人映画監督Aude dansetと3Dショートフィルム『Mishimasaiko』を共同制作。原作とアートディレクションを担当。絵本に『いっさいはん』(岩崎書店)、『ごみじゃない!』『はけたよ ずぼんぼん』(ともにPHP研究所)などがある。

minchiさんのX(旧ツイッター)

『はけたよ ずぼんぼん』

「きょうのようふく なんにする?」と始まるお着替えがテーマの絵本。「のこのこきのこ きのこずぼん」「ぼんぼんずぼんはむずかしい」リズミカルに口ずさみながら、楽しくお着替えを♪ minchi著/1210円(PHP研究所)

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