2児のパパ・ひょっこりはん、難関大学を卒業するも就活に失敗したことで、芸人になるのが運命だと思った!
「はい、ひょっこりはん!」のネタでおなじみの、芸人・ひょっこりはんさん。プライベートでは、4歳の男の子と2歳の女の子のパパで、日々の子育てに奮闘しています。芸人として売れない時代から相方のように支えてくれた奥さんとのこと、また、子ども向けのお笑いライブについての話を聞きました。
全2回インタビューの後編です。
手を挙げて、一緒におしゃべりして。子どもたちと楽しむお笑いライブに!
――保育園などで、子ども向けのお笑いライブも開催されたそうです。子ども向けの場合、いつものネタと変えたりするんですか?
ひょっこりはんさん(以下敬称略) 施設側から呼ばれることもありますし、会社の企画でも、子どもたちの前でライブをする機会をもらっています。
僕の場合は基本的に、お客さんが子どもでも大人でも、ネタは一緒です。ただ、向き合い方やしゃべりのスピードを、相手によって変えるということはあります。お客さんに投げかけてしゃべって、ネタを成立させていくスタイルなので、相手が子どもであれば、子どもたちとおしゃべりしながらネタをやっていく感じです。
――日々の子育てが参考になっていることはありますか?
ひょっこりはん それはあります。たとえば、自分にまだ子どもがいないときは、目の前にいる子が、4歳なのか6歳なのか、全然わかりませんでした。しかし、そのころの子どもって、4歳と5歳で1歳違うだけでも全然違うじゃないですか。
父親になる前は、そこを漠然とやっていたんですけど、子どもが生まれてからは、「あの子、だいたい4歳ぐらいだな」とか「あの子は10〜11歳ぐらいかな」とか、年齢を推測しながらネタをやることができるようになりました。自分の子どもたちを見ていたり、毎日保育園へ行ってほかの園児を見ていくなかで、リアルに感じられるようになったかなと思います。
――年齢によって、ウケるネタの傾向があるんですか?
ひょっこりはん それがなかなか難しいんですよ。子どもって、好きなものがコロコロ変わるので、こればかりはつかめないことも多いんです。
あと、同じ小学生でも、低学年と高学年では全然反応が違うんですよね。とくに高学年は、大人だと思ってネタをやっています。ひとくくりに「小学生」とか「子ども」として対応するのは、なかなか難しいところがあります。
だから、自分の笑いをみんなにしっかり届けるためには、もっとこまかく考えていかないとなと思っています。
――吉本興業では、親子向けのお笑いライブも開催されているそうですね。
ひょっこりはん 3月に、『はじめてのお笑いライブ!わくわく!お笑いパーティー』というお笑いライブが開催されたんですが、それは小さなお子さんでも楽しめるライブでした。ほかにも、バンビーノさんが主催している子どもライブがあって、そこに僕も参加させてもらってます。
子ども向けのライブでは、子どもたちに手を挙げてもらったり、話をしたりして触れ合える、観客参加型のネタをしています。
お笑いライブが初めてで、こういった場で発言するのも初めてという子どもさんもたくさんいるんです。学校や幼稚園以外で、しかも知らない人がたくさんいる中で、自分で手を挙げたりする機会って、いい経験になると思うんです。
保育園でのお笑いライブでも、「ひょっこり、一緒にやりたい子、来て!」と言って声をかけたりするんですが、「この子、今までこういうことやったことないのに・・・、前に出ていって一緒にやっているのを見てびっくりしました」と、保育士さんに言ってもらえることもあるんですよ。
中には、びっくりして泣いちゃう子も。僕があせってしまったこともありました。でも、保育園の先生からは、「泣いてもいいんです。これもひとつの成長なので、悪いことではないんですよ」と。だから、そこは怖がらずに、こちら側から投げかけるのがいいんだなと思いました。
こうやって、子どもたちに向けてライブをすると、学ぶことや気づかされることも多いです。
就活で全敗したことで、芸人になるのが運命だと思った!
――早稲田大学を出て、最初はマスコミ志望だったそうですね。芸人になられたのはどうしてですか?
ひょっこりはん 小さいころからお調子者だったし、面白いことや人を笑わせることが大好きだったことはありましたけど、芸人になりたいという気持ちにはならなかったんです。大学時代はお笑いサークルに入っていましたが、それも自分からではなく、友だちに誘われたことがきっかけでした。
ものづくりはもともと好きだったので、面白いものが作れる仕事って何かな?と思い、マスコミという職業を意識したんです。マスコミの道に進むなら、大学でお笑いをやっておくのもいいかな、くらいに考えていました。
就活の時期になって、マスコミ業界の採用試験を受けたんですが、いざ就職となると、自分が芸人になったらどうなるのかな〜という好奇心も出てくるんですよね。ステージに立って、笑いを取った経験があるからこそ、これがもっと広がったら、どんな世界なんだろうという気持ちもありました。
ただ、「親に浪人をさせてもらって大学に入って、まさか芸人になるって言うのは無理だな」と思って就活をしたのですが、それがうまくいかなくて・・・。結局、1社も通らなかったんです。
そのときに、「これって、プロの芸人になれってことなのかな」と勝手に運命を感じて(笑)。だから、NSCに入ったきっかけは、就活に失敗したこと、なんですよね。僕、一度会社に入っていたら、そこをやめてまで、NSCに入るという大胆なことはできなかったと思うんです。
――両親から反対はありませんでしたか?
ひょっこりはん 親には小出しに、「NSCに入って、芸人になりたいんだ・・・」と伝えていたんですが、「何言ってんだ、はよ就活しろ!」と言われていました(笑)。ただ、だんだんと親も、「こいつ、まじやぞ」と思っていったみたいです。
いろいろ話し合って、親からは「自分の生活を組み立てる設計ができるなら、いいよ」と言ってもらえたんです。「いつか芸人になりたいと言ってくるだろうな・・・」と思ってはいたみたいで。そう思うと、親ってすごいな〜と思いますよ。
それで、大学を卒業してすぐにNSCに入りました。
「あなたは大丈夫」と支えてくれた妻。生活でも仕事でも、自分にとっての最高の相方!
――奥さんは、ひょっこりはんさんをずっと支えてくれたそうですね。
ひょっこりはん 妻と出会ったのは、芸人になって1年目のときです。まだ全然売れてないころの僕を、ずっと支えてくれました。妻はその当時すでに働いていたので、少し多めに家賃を払ってくれたりしていましたね。
あのころ、「あなたは絶対に大丈夫だよ」とずっと言ってくれていて、それはすごく励みになりました。一番近くにいてくれた人が、そう言ってくれたので。
あと、僕が全然売れなくても、「私が働けばいいから」と言ってくれました。まあ、いわゆる“ヒモ”ですけど(笑)、でもそのぐらい、妻も腹をくくって、僕と一緒にいてくれたんだと思うんです。
――ひょっこりはんの衣装も、奥さんが作ってくれたそうですね!
ひょっこりはん 今でも、その衣装を着ています。妻は、裁縫とか工作が得意で、一緒にネタも作り上げてくれて。ヨガのインストラクターをやっているんですけど、ひょっこりはんのタイツのフォルムとかスタイルは、ヨガから発想したものなんです。
“ひょっこりはん”は、妻と2人で作り上げてきたものなんです。小道具作りを手伝ってもらったり、ネタを見てもらったり、まさに裏で支えてくれる相方ですね。
――奥さんの好きなところを教えてください。
ひょっこりはん それはもう・・・全部です(笑)。すごくピュアな人で、うれしいときには、うれしさが全身からあふれるような、そういう素直さのある人です。
妻は、見ていないようで、僕のことをすごく見ていてくれます。これは育児でもそうなんですけど、僕がしていることに何も口出ししないんです。もしかしたら、言いたいことはあるかもしれないですけど。
仕事のことでも、こまめに番組をチェックしている様子はあまりないんですけど、「今、言ったほうがいいだろうな」というときには、パッと助言をくれます。僕のことをすごく知ってくれていて、そういう意味でも、妻にすごく助けられていますね。
妻が「いいね」と言ってくれるものは、だいたいうまくいきます。今、『ハリー・ポッターと呪いの子』の舞台に出演させてもらっているんですが、そのオーディションのときにも、「大丈夫。あなた、たぶんこれいけるよ」と言ってくれたんですよ。一緒に映画を見ながら、いろいろと教えてもらって、オーディションにも向き合えました。この作品は、妻の一番大好きな作品なので、それにも運命を感じます。
――今後のお仕事について教えてください。何か今後、新しい試みなども考えていますか?
ひょっこりはん 今、俳優の仕事も少しずつさせてもらっているので、それを広げたいです。そしてもちろん、ひょっこりはんも変わらずにやらせてもらって。ひょっこりはんをするときと、そうでない姿のときと、全然違っていて面白いじゃないですか。
あと最近では、インバウンドのお客さんの前でネタをする機会がけっこうあるんですよ。それもまた、面白いんです。セリフはすべて英語なんですけど、そんなに英語をバチバチに覚えても気持ち悪いんで(笑)、どんな国の人でもわかりやすいような単語だけで組み立ています。そうすると、英語圏じゃない場所に行っても、いろいろな言葉でネタができますよね。
ひょっこりって、いわゆる“いないいないばあ”なので、だれにとっても刺さるようになっているのかなと。だから、これから先は世界に向けても、そして子どもたちにも、もちろん大人にも、ひょっこりしてたくさんの人に笑いが届けられたらいいかなと思っています。
お話・写真提供/ひょっこりはんさん 取材・文/内田あり(都恋堂)、たまひよONLINE編集部
パパになったことで、お笑いライブでのお客さんへの向き合い方にも変化が出てきたという、ひょっこりはんさん。最近では、舞台など俳優業でも活躍し、英語でのネタで世界に向けて笑いを届ける夢を持つなど、自分らしい笑いをもっと広めていきたいと語ります。
ひょっこりはんさん
PROFILE
1987年、滋賀県出身。早稲田大学のお笑いサークルに所属し、卒業後はNSC東京校に18期生として入学。2013年から2016年3月まで漫才コンビ・ダイキリ(のちにトロフィーズに改名)として活動。2018年元旦放送の『ぐるナイ おもしろ荘』(日本テレビ系)の出演がきっかけで、物影からひょっこりと顔を出すネタが話題に。2019年に一般女性と結婚、2020年8月に男の子、2022年9月には女の子が誕生し、2人の子どものパパに。
赤坂アクトシアターでロングラン上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』にロン役で出演中!
●記事の内容は2025年4月の情報で、現在と異なる場合があります。