子どもの気持ちがわかる!遊びの大切さに気づく「遊び地図」を描こう
育児をしていると、気になるのが子どもの遊びについて。筆者自身、2才の息子を育てる中で、「もっと外遊びをさせたほうがいいのか」「汚れを気にして避けがちな砂遊びも積極的にやらせてあげたほうがいいのか」など、気になることを挙げるときりがありません。街で自転車に乗った小学生を見ると、成長して遊びのテリトリーを広げていくわが子の安全を思い、悶々(もんもん)とすることも...。
そんな中、親である私たち自身が子ども時代の遊びや環境を振り返る「遊び地図」を描くと、子どもの気持ちがわかるようになり、子育てが楽になるという話を耳にし、たちまち興味津々に!
自治体の子育て講座やPTA向けの研修会などで「遊び地図」のワークショップを開催している社団法人「TOKYO PLAY」の代表理事・嶋村仁志さんに「遊び地図」の描き方や、それを描くことでどんな気づきが得られるのか、お話を伺いました。
「遊び地図」ってなあに?
自分の子ども時代を思い出して、自宅を基点に、自分が遊んでいた場所や印象に残っている遊びを白紙に描くのが「遊び地図」です。自分の子ども時代を振り返ることで、子どもがどうしてこういう行動をするのか、どんなことに興味を持つのか、再発見するきっかけになるそう。
取材をするにあたり、筆者も「遊び地図」を描くことになったのですが、あまりに絵心がないため、不安しかありませんでした。読者のみなさんの中にも「地図」というワードに苦手意識を感じている方もいるかもしれません。
なので、まずは実際に私が描いた地図を見てみてください。ハードルがグンと下がるはず!
嶋村さんによると、「遊び地図」を描く上でのポイントは
「太いペンで心のおもむくままに描くこと。まじめに描きすぎないこと」
「時間はかけても5~8分」
「地図が描けないときは、文章で個条書きでもOK」
というシンプルなもの。
筆者は幼少期、転勤族で地方のさまざまな都市で育ちました。その中で強く印象に残っていた朝顔の色水を作るジュース遊びや、隣の家のいちじくを食べる(隣家には許可済み)といった遊びにまつわる思い出を「遊び地図」に描きこんでいきました。
すると、自分が思いのほかアクティブに遊んでいたことを思い出すと同時に、普段、息子がダンゴ虫を触ろうとするのを止めている自分にハッとしたり…。
それと同時に、「息子には自分と同じようにできる限り自然に接する子ども時代を過ごしてもらいたい」という思いがわいてきました。
そもそも「遊び地図」を描くメリットとは?
「遊ぶことが子どもにとってどんな意味を持つのか」「子どもたちの身のまわりはどんな環境になっているのか」を考えるきっかけを与えてくれるのが「遊び地図」。
嶋村さんのお話の中で印象的だったのが、
「最近、噴水を見ても興奮しない子が増えているというような話を耳にします。『面白い!』と思ったものに感動する気持ちは、実は後天的なものなんだそうです。何かを見つけたときに、『面白いね』と共感してくれる人の存在がとても大切なんです。そういう体験を通して、感動する心が開かれていくと思うんです」という言葉でした。
「遊びは子どもの世界を広げる扉であり、遊びを通して、やってはいけない物事の限度を知ったり、何が危険かを自然と学びとっていきます」と嶋村さん。
将来、自分の子どもがどんな「遊び地図」を描ける大人に育ってほしいか…。それを考えたとき、親が「遊び地図」を描くことが、子どもの「遊び」について考えるきっかけとなること、そして、子どもの遊びについて考えることがとても重要であることを体感しました。
「遊び地図」は、だれかと共有することが大事
「育った環境や年代によっても、描く地図が異なるところが、『遊び地図』の面白さでもあります。
普段、顔を合わせているママ友が、どんなふうに育ったのか、どんな遊びをしてきたのか。その人の意外な面や、自分との共通点を知ることでコミュニケーションがより深まります。
豊かな遊び体験を、次の世代に残すという点では、おじいちゃんやおばあちゃん世代にも『遊び地図』をぜひ描いてほしいです」と嶋村さんは言います。
そこで、筆者の夫にも「遊び地図」に挑戦してもらったところ、下記のような、まったくタイプの異なる地図が飛び出しました。
筆者とは対照的に、同じ場所で大人になるまで育った夫。海や小川など、自然に囲まれて遊んでいたのかと思えば、友人宅でゲームをして遊ぶことも多かったそう。
逆に自分の「遊び地図」を見てみると、転勤族ゆえか、「友だち」の記憶が少ないことに気づいたり…。身近な人が、子ども時代にどんな遊びをしてきたか今まで考える機会がなかったので、とても新鮮でした。
自分の子ども時代を振り返ることで、わが子の遊びについて考えるきっかけとなる「遊び地図」。
夫婦やママ友同士で「遊び地図」を描いてみて、わが子の遊びや環境について話してみるのも有意義かもしれません。(取材・文/本多 恵、ひよこクラブ編集部)
Profile●TOKYO PLAY
「すべての子どもが豊かに遊べる東京を」というスローガンを掲げ、子どもたちが豊かに遊べる地域作りのために活動する社団法人。講演会や市民講座のほか、毎年10月1日を「とうきょうプレイデー」として遊びを啓発するキャンペーンを実施。また、道路を封鎖して大人も子どもも遊ぶ「とうきょうご近所みちあそび」を都内で実施している。
http://www.tokyoplay.jp/index.html
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。