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スウェーデンで暮らす国際同性婚カップル。「子どもは無理だ」と思っていた僕たちが代理母出産で息子を授かるまで【YouTubeふたりぱぱ】

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左からリカさん、息子くん、みっつんさん。息子くん4歳のとき、スウェーデンのヨーテボリで撮った家族写真。

日本人のみっつんさんとスウェーデン人のリカルドさんは国際同性婚カップル。スウェーデンの法律のもと2011年に結婚した2人は、2016年にアメリカでの代理母出産により男の子を授かりました。現在息子くんは7歳。家族3人で、スウェーデンのルレオで暮らしています。YouTube『ふたりぱぱ FutariPapa』で発信をしているみっつんさんに、家族や子どもについて考えていたこと、今の家族の形になるまでのことなどを聞きました。

自分は子どもをもつのは無理だとあきらめていた

2011年に在バンコクスウェーデン大使館で、結婚宣誓式を行ったみっつんさんとリカさん。

――みっつんさんはリカさんと出会う前、結婚や子どもをもつことについてどんなふうに考えていましたか?

みっつんさん(以下敬称略) 僕自身は、4人きょうだいの末っ子で3人目の兄とは10歳離れています。僕が10代前半ごろからきょうだいたちが次々に結婚して子どもをもつのを見ていたこともあって、10代のころは、自分もいずれそうなっていくんだろうなと思っていました。それが思春期を過ぎたころから自分はゲイかもしれないと気づき始め、でもそれを認めたくない気持ちもあって、女性とつき合おうと頑張っていた時期もありました。

もしかしたら僕はバイセクシュアルなのかもしれない、それならゲイの部分を隠して女性と結婚をし子どもをもって、親にもその姿を見せることができるかもしれない、と思っていました。しかし、年を重ねるたびに、それは難しいと感じるようになってきたと思います。10代後半から20代にかけては、男性のほうに興味があると自覚していった時期でした。

でも、25歳で上京して新宿2丁目に通うようになって、自分と同じような仲間がこんなにいるんだ、と気づきました。それで、やっぱり自分は女性と結婚して子どもを作るのは無理だな、とあきらめた気がします。子どもは無理でも、結婚はできなくても、だれかライフパートナーができればいいな、と考えていたのが20代半ばころの感覚です。

――みっつんさんは、日本の外資系企業で働いていたリカさんと出会ってつき合い始めたそうです。

みっつん リカと出会ったのは2008年、僕が28歳のときのことです。それから3年ほどつき合ったのち、リカがロンドンに異動することに。それをきっかけに僕もついていくことになり、僕たちは2011年にスウェーデンの法律のもとに結婚をしてロンドンに住み始めました。

――リカさんとの結婚のことは両親にはどんなふうに伝えましたか?

みっつん ロンドンで生活をする前に、両親にカミングアウトしようと電話もしたんですけど・・・直接はどうしても伝えることができず、手紙に自分のこれまでの思いや、リカと結婚すること、イギリスに住むことを書いて伝える形にしました。手紙は16枚にも及びました。

父はその手紙を最後まで読み終わらないうちにパニックになったそうです。実家は大騒ぎになって家族会議が行われた、ときょうだいから聞きました。僕の3人のきょうだいが「何かあったら俺たちが面倒を見るから」と説得して両親を安心させてくれたらしいです。その1年半後に、やっと初めてリカを実家に連れていってあいさつができました。

衝撃的だった「ふたりママ」との出会い

息子くん、生後4カ月。北極圏内の教会で洗礼式を行ったとき。

――リカさんと一緒に過ごす中で、子どもをもつことについてどんな気持ちの変化がありましたか?

みっつん 僕自身はもともと子どもが好きで、めいやおいと一緒に遊ぶのも大好きだったのですが、パートナーとの間に子どもをもつことは難しいと思っていました。周囲に子どもがいるゲイカップルはいなかったし、現実的に自分たちが子どもをもつなんてできるわけないだろうと思っていました。

でも、休暇にリカの実家のスウェーデンに遊びに行って子どもがいる親戚との時間を過ごすようになって、子どもがいるっていいなぁ、と僕もリカも少しずつ感じるようになっていきました。

――そんな中で、子どもを持つことや代理母出産を選択をしたきっかけはありましたか?

みっつん 決定的なことがあったわけではなくて、少しずつ「やっぱり子どもっていいな」と思ったことや、友人たちと子どもについてのおしゃべりを通して、もしかしたら自分たちも子どもをもてる可能性があるのかもしれない、と考え始めていたと思います。

ただ、衝撃を受けた出来事はありました。そのころロンドンの友人の家にバーベキューに招かれ、子どもを連れたレズビアンカップルに出会ったんです。2人のママがいる自然な親子の様子を実際に目にして、同性カップルが自分たちの子どもをもつことが、現実にありうることなんだ、と。それで、自分が1度はあきらめた「子どもをもつ」という希望をよみがえらせてもいいのかもしれない、と考えるようになりました。

それから具体的にどうしたら同性カップルが子どもをもつことができるかを調べ始めると、実はいろいろと方法があるとわかり、不安が解消されて具体的な選択肢が見えてきました。あきらめていたはずの希望がどんどんふくらんでいくような感覚でした。
2年ほどかけて具体的な方法を調べ、僕たちはアメリカのエージェントの仲介による代理母出産を選ぶことにしました。

息子誕生の喜びで、世界のすべてがきらきらと輝いて見えた

息子くん1歳を過ぎた夏。「パパもどうぞ!」って言ってるのかな?

――みっつんさんとリカさんが選択した代理母出産では、卵子提供者と代理母は別の人で、代理母となったステファニーさんとは妊娠前からビデオ通話で連絡を取り合い、出産に臨んだそうです。息子さんを迎えたときはどんな気持ちでしたか?

みっつん ステファニーが妊娠後期に入って低置胎盤(ていちたいばん)とわかり、帝王切開で計画出産をすることになったので、僕たちは予定日の2日前にアメリカに渡りました。ところが、到着してすぐにステファニーのパートナーから連絡があり、ステファニーが出血して救急搬送され、緊急帝王切開出産となったというのです。僕たちは空港から滞在先のホテルに荷物を預け、すぐに病院へ向かいましたが、ステファニーと息子のことが心配でたまりませんでした。

病院に到着して、医師からステファニーも息子も無事だと聞いて、まずはとっても安心しました。次に、ステファニー、彼女のパートナー、医師や看護師さんへの感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。そして、初めて息子に対面したときには、その小さな命への責任を感じました。生まれたばかりの息子を胸に抱きしめて、その小ささ、あたたかさを感じ「かわいい」という感覚が少しずつわいてきたように思います。

あの日見た、今でも忘れられない景色があります。病院でステファニーにも面会したあと、僕はいったん車でホテルに息子の退院用のチャイルドシートを取りに戻りました。再び病院に向かう道で、踏切で停車したときの風景です。とてもいいお天気で抜けるような青空が広がり、沿道に並んだアーモンドの木は薄桃色の花を満開に咲かせていました。目に映るすべてのものがキラキラと輝いて見えるほどに、僕は人生でいちばんの喜びを感じていたと思います。

――初めての赤ちゃんとの生活やお世話はどうでしたか?

みっつん 僕たちは息子が生まれたあと1カ月ほどアメリカに滞在したのち、スウェーデンのリカの実家があるルレオで暮らすことに。リカは1年の育休をとって、僕もフリーランスの仕事を休んで育児をする毎日でした。どんどん息子へのいとしさがふくらんでいきました。

僕は上3人のきょうだいたちのめいやおいのお世話の様子を中学生のころから見ていて、手伝いもしていたので、赤ちゃんのお世話にはとくに困りませんでした。リカは、最初は「壊れそうな赤ちゃんをどうやって抱いていいのかわからない」とあわてていたのを覚えています。

――息子くんが生まれたことをみっつんさんの両親にはどんなふうに説明しましたか?

みっつん 長男である兄に電話で子どもが生まれることを相談したら、「両親には俺から伝えるよ」と言ってくれたので、お願いしました。当時、兄は二世帯住宅を建てて両親と一緒に住んでいたんです。でも兄はもともとかなり無口な人でなかなか言い出せなかったようで、妻である僕の義理の姉がサポートしてくれたようです。

そのあとは、両親に息子の近況を報告したり、アルバムを作って送ったりして、息子が1歳10カ月になったときに初めて3人で里帰りしました。家族みんな大歓迎で、僕たちがゲイカップルだと忘れるくらい自然に迎え入れてくれました。両親はほかのたくさんの孫たちと同じように息子を迎え入れ、とってもかわいがってくれて安心したし、うれしかったです。今でも僕たち家族が日本に帰るたびに親戚一同があたたかく迎えてくれています。

お話・写真提供/みっつんさん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

あきらめていた「子どもをもつ」という希望を、リカさんと2人で実現したみっつんさん。パートナーとの結婚や息子くんの誕生によって、スウェーデン・日本・そして代理母のいるアメリカと、大切な家族が増えました。みっつんさんの言葉には、遠く離れていても思い合い、つながりあう家族の大切さを感じます。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

YouTubeチャンネル『ふたりぱぱ FutariPapa』

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年8月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

ふたりぱぱ

PROFILE
スウェーデン人のリカと日本人のみっつんと息子くんの同性婚ファミリーYouTuber。みっつんとリカは結婚後、代理母出産により息子くんを授かり、リカの故郷スウェーデンへ移住。スウェーデンで現在7歳になる息子の子育てに奮闘する様子をYouTubeやブログで発信している。

『ふたりぱぱ ゲイカップル、代理母出産(サロガシー)の旅に出る』

スウェーデン人男性と同性婚をしたみっつんの人気ブログ『ふたりぱぱ』の連載「サロガシーの旅」の書籍化。ゲイが子どもを授かる方法、サロガシー(代理母出産)のプロセスなど、ゲイカップルが子どもを授かるまでの“旅"をリアルに語るエッセイ。みっつん著/1870円(現代書館)

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