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あなたは大丈夫? 親が尊重すべき子どもの性的プライバシー【ママ泌尿器科医】

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不幸な子供の男の子の手は彼の顔、子供のメンタルヘルスの概念、世界自閉症啓発日、十代の自閉症スペクトラム障害意識コンセプトを隠します
Irina_Geo/gettyimages

ママであり泌尿器科医でもある岡田百合香先生の連載第40回。今回は、子どもの性的なプライバシーについて。「お母さん(お父さん)のためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#40です。

間違ったマスターベーション

先日、著名な男性講談師が自身の「若年性ED」の経験について話をしている記事を読みました。
EDとはElectile Dysfunction:勃起障害のことです。
「性交時に有効な勃起が得られないために満足な性交が行えない状態」を指します。年配男性の悩みというイメージがあるかもしれませんが、40代以下の若い男性の中でもEDに悩む方は決して少なくありません。20-30代の男性の7人に1人が深刻なEDであるという調査報告もあります。
またEDや膣内射精障害といった性機能障害は、男性不妊症の10%以上を占めているとも言われており、とても重要な問題です。(男性不妊や性機能障害についてはまた別の記事で詳しくお話します。)

男性講談師の話の中で印象に残っているのが、「中学生の時、母親がノックをせずに部屋に入ってくることがあった。マスターベーションをしている時に部屋に入られるといけないので、親に見つからないように短時間で済ませるような無茶なマスターベーションをしていた」という内容。
泌尿器科医の間でも、この「間違ったマスターベーション」というのは大変問題視されています。
強すぎる刺激(性器を強く握ったり、床やモノにこすりつけたりする、過激な動画ばかり視聴する等)でのマスターベーションに慣れてしまうことで、性行為の時に勃起や射精ができなく(しづらく)なるのです。

マスターベーションを覚える時期にしっかりと啓発していこうという流れになっていますが、思春期の子どもに保護者が直接指導するというのは現実的ではありません。
これは学校や医療機関など家庭以外の場所がメインで担うべきで、保護者ができるとしたら、信頼できる書籍やwebサイトを紹介するくらいでしょうか。

わが子でもあっても尊重すべき性的プライバシー

一方で、保護者が家庭内で気を付けるべきことはあります。
男性講談師の体験談にもあったように、子どもの性的なプライバシーを親が尊重し、侵害しないように心がけることです。
例えば、トイレや浴室、子どもの部屋といった、子どもがプライベートゾーンを露出している可能性がある空間に入る時には必ずノックをして入っても良いか確認すること。

以前中学生の男の子がいる保護者と話していた時に、「最近、息子が脱衣所にいるときに私がドアを空けると、めっちゃ慌てるのが面白くて~」と言っているのを聞き、大変驚きました。
相手の羞恥心をわざと惹起させて面白がるというのは、性別問わず性暴力に該当するような行為です。それが、親と子どもという関係性になった途端に重大さが薄れてしまうのが怖いところ。
それが他人の子であっても、同じことをするでしょうか。きっとかなり慎重にノック+声掛けをしますよね。その配慮はわが子であっても必要なものです。


私の大好きな本を紹介します。
花田菜々子さんの「シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた『家族とは何なのか問題』のこと」(河出書房新社)。
小学生の男の子2人を育てるシングルファーザーと交際する中で、血のつながった関係ではない立場の大人として子どもたちとどう関わるか、楽しく、かつ深く考察されたエッセイ。「親子」という関係性に大人が甘えてついやりがちな望ましくない振舞いについて、その根底にある心理や社会の固定観念まで含めて言及されており、性教育的にも学びの多い一冊です。
「ちんちん!うんこ!」という定番のおふざけに対するベストな対応を本気で考察する場面など秀逸です。とても面白いのでぜひ読んでみてください。

子どもを一人の、自分とは別の人間として尊重し、性的なプライバシーにも配慮する。これは子どもが思春期になってから慌てて始めることではなく、子どもの年齢や発達に応じて徐々に保護者が自覚的に実行していく必要があるのだと思います。

とはいえ、わが家でも2歳の娘が「服脱ぐの嫌!お風呂入らない!」「パンツ(オムツ)替えない!」と毎日のように主張しております。無理やり脱がせるのは性教育的にNG、しかし・・・と悩み葛藤する日々。
理念は理解できても、実行するのはなかなか難しいものですよね。あまり厳格にやろうとすると嫌になってしまうので、「理想」を知識としてもちつつ、「現実」的な対応をみんなで知恵を出し合って探っていきましょう。

文・監修/岡田百合香先生

構成/たまひよONLINE編集部

●記事の内容は2023年10月の情報で、現在と異なる場合があります。

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