「スーパーのレジで息子が大声でお喋りしだして…」「新幹線で降りるのに苦戦していたら」子連れのお出かけで、緊張の瞬間にあの人が…
今回のテーマは「子連れでのお出かけエピソード」についてです。子どもを連れての外出は何かと気を遣いますが、予想外のことが起こると公共の交通機関などでは特に困るものです。でも、そんな時に温かな言葉をかけられると、うれしいものですよね。
そんな、うれしかったエピソードを「たまひよ」アプリユーザーに聞くとともに、子育てアドバイザーの高祖常子さんに、気持ちよく親子で交通機関を使うポイントや周囲への配慮などについて聞きました。
声をかけられることは予想外のうれしさ
最初に、みんなのうれしかったエピソードからご紹介します。
「電車の座席に膝立ちになって、夢中で外の電車を見ていた時に、『すごい集中力ねー』と声をかけられたこと」(ふーみん555)
「タクシーを利用した時に、わざわざ玄関付近まで車で送ってくれたり、娘を見て『幸せのお裾分けをしてもらいましたよ』と笑顔で話してくれたりしたこと」(ゆっきーな)
「ベビーカーで実家から新幹線を使って帰った際、最寄り駅で降りるのに困っていたら、何人もの人が助けてくれたこと」(カスミン)
「息子がまだ数ヶ月の頃、スーパーのレジで並んでいる時に大きな声でお喋りしだして、『迷惑かな~』と初めての子育てでアタフタしていたら、後ろで並んでいたおばちゃんが『可愛いねぇ~、たくさんお喋りして~、ママとパパがたくさんお話してくれてるんだねぇ』と言ってくれてとても幸せな気持ちになりました」(まんじゅう)
「妊娠中、満員電車で席を譲ってもらうことに何故か引け目を感じていて、マタニティーマークを隠してできるだけ入り口にもたれて乗っていました。
中期に入った頃、近くの方が察してくれて、譲っていただいた時のうれしさは本当に忘れられません!」(ぴろぴろ)
「『赤ちゃんは可愛いけど、ママは大変だよね。頑張ってね』と言ってもらえた時。『どうぞ座ってください』と席を譲ろうとしてくれた言葉。『ぐずっちゃうから立ってます』って断ったけど、とても嬉しかった!」(あーにゃ)
「駅のホームを歩いていたら前から歩いてくる高校生の男の子がすっと道を空けてくれた」(はるか)
「バスの中でいちばん広いスペース(席を上げれば車椅子が入れるスペース)に邪魔にならないようベビーカーを横付けして座っていたところ、車椅子の方が乗られるみたいだったので席を立とうとしたら、運転手さんが「大丈夫ですよ」と、前の席を開けて車椅子の方を乗せられたので、立たなくて済んだ。子どもを連れての外出で疲れていたので、ありがたかった」(ぴよ)
「座る気がなくベビーカーを押しながら立っていたら、こちらに気づいた高校生がサッと立ち『良かったら、ここどうぞ』と席を譲ってくれたので、お礼を伝えたら『勝手ながら、赤ちゃん見て癒されました。お母さんは頑張ってるんですね!』と言いつつ去っていったのが、気を遣わせないためなのがわかり、その優しさも、ものすごくうれしかった」(かわいいおとたんのかわいいママちゃん)
「海外移住直前に妊娠が発覚し、移住の飛行機の中で『たまごクラブ』を読んでいたら、CAさんが赤ちゃん用のおもちゃをくださったり、マイボトルに白湯を入れてくださったり、荷物の上げ下ろしをしてくださったりと、何かと気にかけてくださった。同じ並びに座っていた男性のお客さんも、降りる際に『元気な赤ちゃん産んでください』と声をかけてくださり、胸が温かくなった」(AKANET)
「可愛いねと通りすがりの方から言われるのはすごく嬉しい。ただ、何て返事したら良いのかわからない。笑」(ちい)
うれしいエピソードがいっぱいですね。そんなうれしいことを言われた時への返事や気持ちよく親子で交通機関を使うポイントなどについて、子育てアドバイザーの高祖常子さんに伺いました。
温かな気持ちや感謝の気持ちは、ぜひ言葉に出して。と専門家
「子連れのお出かけでのエピソード、ほっこりしながら拝読させていただきました。
講座などではとかく、『電車で子どもがぐずったら、にらまれた』とか、『ベビーカーがじゃまだ!』と言われたなど、心ない声がけや対応に悲しくなったというエピソードもいっぱいなので、ポジティブなエピソードは、私もうれしかったです。
そもそも電車などでにらまれた経験がある方も少なくないかもしれませんが、私は今回のエピソードのように、『基本的には優しい人が多い』と思っています。にらんでくるような人は、『その人は、今、機嫌が悪いんだ』と考えましょう。赤ちゃんやママのせいではありません。多くの方は『大変だな』『頑張ってるな』と思ってくれています。
ただ、日本人はシャイな方が多いので、口に出さないことも少なくありません。
投稿者の『かわいいおとたんのかわいいママちゃん』さんのエピソードで、このような言葉をさらっと言える高校生は、なんて素敵なんだろうと思いました。
講座でお話をすると『ぐずってる赤ちゃんをあやして、ママも頑張ってるねーと心の中で見守ってます』という方もいるのですが、心で思っていても伝わらないので、ぜひ言葉にしましょうと伝えています。そして、電車で赤ちゃんがぐずっていると、つい気になって振り向くことがあるけれど、真顔だとにらまれたと感じるママもいるので『振り向く時にはにっこりと、を合言葉に』と伝えています(笑)。
もちろん混雑時の電車に乗るのは赤ちゃんも危険ですから、できれば時間をずらす、電車を見送って空いた電車に乗る、ぐすったら途中駅で休憩するなど、移動時間をゆったり考えておくといいですね。
そのほかパパ・ママとしては、子どもがぐずったときに焦らず対応できるよう、いくつか準備をしておきましょう。
お気に入りのおもちゃを持参する(公共の場などでは音が出ないおもちゃを用意)、車内は暑かったり寒かったりしてぐずることもあるので脱ぎ着で調整しやすい服にする、さっと羽織れるものや膝にかけられる薄手のタオルを用意する、喉が渇いたときにすぐ飲めるようマグに飲み物を準備、ちょっと口に入れられるボーロなど。ぐずった時には、子どもの気分転換を手伝ってあげるといいでしょう。
投稿者の『ちいさん』の『何て返事したら良いのかわからない。笑』とのことですが、見知らぬ人の場合はちょっと戸惑うかもしれませんが『ありがとうございます!』でいいと思います。
電車やバスに乗った時に、赤ちゃんに『こんにちは』と言ってくれる方もいます。その時には『こんにちは』とあいさつしたり、『かわいいね』と言われたら『ありがとうございます』と返すといいでしょう。
無理にコミュニケーションを取ろうとする必要はありませんが、交通機関を利用している間の時間、ちょっと柔らかな空気が流れるような気がします。
赤ちゃんを温かな目で見守ってくれている方が増えると、子育てがもっとしやすくなるのではと思っています」(高祖常子さん)
うれしい言葉をかけられると、こちら側もそのうれしい気持ちを返したくなります。そうした機会が増えて、ぜひ自然にできるようになりたいですね。
(取材/文・メディア・ビュー 橋本真理子)
高祖常子さん
PROFILE
子育てアドバイザー、キャリアコンサルタント。保育士、幼稚園教諭、社会教育主事、ピアカウンセラーなどの資格を持つ。NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか。全国13万部発行の「育児情報誌miku」編集長として14年活躍。育児誌を中心に編集・執筆を続けながら、子どもの虐待防止と、家族の笑顔を増やすための講演活動、ボランティア活動を行う。3児の母。著書多数。
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2023年9月の情報であり、現在と異なる場合があります。