田村淳さん「インスタグラムは僕から娘たちへの遺書」「夫婦の関係に異常はないか、点検は月一で」家族のコミュ力で大事にしていること
タレント、MC、起業家、YouTuberなど、さまざまな顔をもつ田村淳さん。プライベートでは、7歳と3歳の2人の娘さんをもつパパであり、微笑ましい日常をインスタグラムで投稿しています。昨年秋には、「コミュニケーション力」の身につけ方を1冊の本にまとめた『超コミュ力』(すばる舎)を出版。今回は、淳さんがSNSで残しているという娘さんに向けた遺書の話や、著書『超コミュ力』についての話を聞きました。
母の死をきっかけに考えはじめた、今らしい遺書の“残し方”
――淳さんが日々投稿しているインスタグラムには、お子さんたちの写真とともに、必ず、娘さんへのメッセージが書かれていますね。どんな思いが込められているのでしょうか。
田村淳さん(以下、敬称略):僕の母ちゃんがガンになってしまったことと、娘の誕生をきっかけに、遺書の研究をしたいなと思って、そのために大学院に行ったんです。遺書に限らずですが、“残し方”って、今の時代にはいろいろな形がありますよね。その中で、僕はインスタグラムを遺書代わりに使ってみようと考えたんです。
というのも、僕の母ちゃんがガンで亡くなってしまった後に、母ちゃんとの思い出の写真がたくさん出てきて、「こんなことがあったな」「こんな風にしてもらったんだな」と、写真を通してもう一度感じることができました。そこでインスタグラムだったら、写真とメッセージを一緒に残せるし、今じゃなくても、娘たちが大きくなったら見てくれるかなと。インスタグラムの写真を見て、自分たちが小さい頃の日々を思い返してくれたり、僕からのメッセージを読んで何かを感じてくれたらいいかなと思ったんです。
インスタグラムを遺書代わりに使えるんだったら、動画でも残せるかなと思って、最近はYouTubeにサブチャンネル『劇団ラムータ』を作って、親子3人で人形ごっこをしている動画をコツコツと上げています。インスタグラムの遺書も『劇団ラムータ』も、完全に娘たちのことだけを思ってアップし続けていますが、僕の投稿を見てくれている親御さんたちが、同じように、子どもたちに何かを“残す”手段として参考にしてくれたらうれしいですね。
――昨年秋に、淳さんの著書『超コミュ力』の「おわりに」でも、この本は2人の娘さんへの“遺書のコミュニケーション編”だと記されていますね。淳さんが娘さんたちに残したい、コミュ力について教えてください。
田村:母ちゃんが僕に対して、かなりコミュ力を発揮してくれていたから、僕は人と話すのが好きだし、人と話すのが怖くなくなりました。そういう風に育ててもらったのが大きいと思うので、僕も娘たちに、それを伝えたいと思うんです。人とコミュニケーションを取るときには、身振り手振りや相づちを交えて人と話すことや、どうしたら短く分かりやすく伝えられるかなど、コミュ力として意識すべきことを、子どもにも分かりやすいように教えています。
でも長女なんて、7歳にしてすでに相づちがすごくうまいんですよ。僕がやっているのを近くで見ているからかもしれないですね。この前も公園で、90歳ぐらいのおばあちゃんと1時間ほど話をしていたと妻から聞いて、「すげ〜、コミュ力を発揮してるじゃん!」って思いました。しかも、自分が一方的に話しているんじゃなくて、おばあちゃんの話をインタビュアーのように聞き出していたんですよ。このコミュ力が身についていれば、人と話すのは怖くないだろうし、人の話が聞けるということは、自分もいずれ何かを発信するときに役立つはず。今のところは、娘のコミュ力は順調に育っているなと感じていますね。
――いろいろな性格の子どもがいると思いますが、性格とコミュ力は関係しているのでしょうか?また、子どものうちに身につけておきたいコミュ力について教えてください。
田村:基本的に、コミュ力は本人の性格とは関係しないと思っています。コミュ力とは、相づちの打ち方だったり、人の話を聞いて理解したり噛み砕く力だと思っているので、子どもの性格には関係ないと思うんです。コミュ力の基礎があれば、それからは自分なりのコミュ力に発展していくものなので、子どものうちに基礎を身につけておくといいと思います。小さい頃に身につけられるコミュ力の基礎として、僕が娘たちに実践しているのは、「人の話を聞く、それを理解する、理解してあげようという姿勢を見せる」ということ。これだけは気をつけるようにしています。
娘からコミュ力について教わることもあります。娘の言い方に対して、「今の発言って、まわりの人からしたら、嫌な気持ちになるかもね」と伝えることがあるんですが、娘からも、「パパも今の、すごくチクチクだね」と言われたり。「だったら、パパはどう言えば良かったかな?」と聞くと、「その場合は、こうやって言えばいいんじゃない?」と。教え合うということが、娘たちとの絆にもつながっているかもしれませんね。
毎月22日には、夫婦の関係性に異常はないかの点検を
――田村家では、お子さんの育て方について、奥様と話し合うことはよくありますか?
田村:夫婦で夜な夜な、よく話していますね。小学校で長女がこんなことを悩んでいたよとか、将来的にこんな学校に入れたいよねとか。意見交換もよくします。今、長女が通っている小学校は、自分たちならこういう学校に行きたいよねという学校を二人で話し合い、選びました。長女を見学に連れて行ったら、ここに行きたいと意思統一ができたので、今の学校を決めた感じですね。
――パートナーとのコミュ力についても教えてください。夫婦の関係性が良好に保つために、淳さんが気をつけていることなどはありますか?
田村:僕たち夫婦の場合ですが、毎月22日には必ず、夫婦関係が大丈夫かどうかの確認をします。たとえば、「ゴミをここに捨てて欲しい」とか「郵便物をここに溜められているのが嫌だ」とか。そういう些細なことって、積もり積もると爆発したりするじゃないですか。何かをきっかけに、雪崩のように言い合いに発展するのが、僕は見苦しいと思っているので(笑)。その都度、違和感を感じたときに伝えるようにしていますし、毎月22日には“点検”のような形で、今の関係に異常がないかの確認をするようにしているんです。言いたくても言いづらいことも、月一回の機会があると言いやすいということもありますし。
うちの場合は、こういった形をとることで、良好な関係を保てていると思います。でも、他人の家の成功体験が自分の家にも当てはまるかは、わからないですよね。自分たち夫婦の良好な関係を長く維持するために、どんなコミュニケーションが必要なのかは、自分たちで決めない限りは解決にはならないと思います。それを見つけるためには、とにかく話し合うこと。うちの場合は、「月に一回、確認し合うのがいいんじゃない?」という答えが出たので、それを実践しています。
人と人とのコミュニケーションの方法って、相手によって違ってくるわけです。僕と、相方である田村亮もそうだし、僕と娘たち、僕と妻、僕とマネージャーというように、いく通りものコミュニケーションの取り方がありますよね。相手を認めつつ、自分を認めてもらうには、どういうコミュニケーションを取るべきなのかは、その相手によって都度都度考えてチューニングしていくといいのかなと思います。
誰にとってもわかりやすい内容にしたのは、娘たちに読んでほしいから
――著書『超コミュ力』を出版されて、周囲からどんな反響や具体的な言葉をもらいましたか?
田村:「コミュ力って、すごく難しくて、自分には身につけられないものだと思っていたけど、淳さんの本を読んで、“なんだ、こんなことでいいのか!”と思いました」と言う声だったり、「すぐ実践できました」「すぐに結果が出ました」といった反響もたくさんもらいました。
でも実は、出版元である「すばる舎」の編集担当の方からは、もっともっと噛み砕いた内容にしてくださいと何度もダメ出しがあったんです。というのも、この本はコミュ力の入門書であり、すべての年代の誰にとっても分かりやすい内容でなくてはならない。そして、「コミュ力とは聞く力で、誰にでも備えられる」ということを一番に伝えなくてはいけないというところを意識しながら、原稿を書き上げました。
こうやって生まれた『超コミュ力』は、とても読みやすくなっていると思います。“一冊を読み切る”という成功体験や充実感が大切で、それによってこの本に対する信頼が生まれるんだということを、本を作りながら編集者の方々に教えてもらいました。
そして、「この本は簡単なことを書きます」と最初に伝えているのは、一番大切な読者である、2人の大切な娘たちに読んでほしいという、僕の願いでもあるんです。
写真提供/吉本興業、田村淳さん 写真/榊智朗 取材・文/内田あり、たまひよONLINE編集部
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年1月の情報で、現在と異なる場合があります。
<プロフィール>
田村淳さん
1973年12月4日生まれ、山口県出身。バラエティー番組に加え、経済・情報番組など多ジャンルの番組に出演。300万人超のフォロワーがいるX(旧Twitter)、YouTube「田村淳のアッシュch」の開設、オンラインコミュニティ「田村淳の大人の小学校」を立ち上げるなど、デジタルでの活動も積極的に展開。2019年4月に慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学。2020年8月より、遺書を動画にして、大切な人に想いを届けるサービス「ITAKOTO」をローンチ。2021年3月、同大学院を卒業。タレントの枠を超えて活躍の場を広げている。