子どもに手がかかるのにママが入院!どうすればいい?もしものときのために知っておきたい4つのこと
今回のテーマは、「もしもママが入院してしまったら」についてです。「たまひよ」アプリユーザーに聞いた病気・入院体験談とともに、産婦人科医として働きながら3人の子どもを育てあげた木戸道子さんにアドバイスを聞きました。
妊娠中に病気が発覚するケースも…
最初にみんなの声からご紹介します。
Q:これまでに、入院や手術が必要だったり、継続的な検査・治療が必要な大きな病気をしたことがありますか?
「婦人科疾患を罹患し手術が必要でした。下腹部に傷が残ることと不妊にならないかが心配でした」(ぴっぴ)
「産休に入る1日前(妊娠32週頃)に妊婦健診に行ったら、極度の貧血がわかり、即入院。検査の結果、指定難病の自己免疫性溶血性貧血であることがわかり、最悪の場合、即分娩が必要な可能性があり、NICUがある大きな病院に転院。薬の副作用で糖尿病になり、食事制限とインスリン注射が必要に。それが一番辛かった。結局そのまま1ヶ月ほど入院になり、仕事も中途半端なまま産休に。その後、コロナ感染もわかったが、何だかんだで39週に入院し、緊急帝王切開で無事に出産しました」(ay)
「妊娠初期に卵巣嚢腫が見つかった。安定期に入ってMRI検査をし、腹腔鏡下手術を受けた。妊娠と手術をするほどの病気がほぼ同時にわかり、どちらも初めての経験で不安しかなかった。妊娠7週頃からつわりが始まり、毎日寝たきり生活の中で手術への恐怖、赤ちゃんへの影響の不安などを感じながら地獄のような日々だった」(めるちる)
「妊娠糖尿病と診断され、食事療法や検査など通常よりお金がかかったので、心配事が増えた」(まさ)
「産後1ヶ月が経った頃、胆石による激痛で入院することになりました。義実家に泊まっていたので、そのまま義母に娘の世話をお願いしましたが、娘と離れることが申し訳なくツラかったです」(かんかん)
「腎生検のため入院しました。出産とは違った痛みで辛かったです」(nobby)
忙しい子育て中のママだからといって自分の健康を後回しにしないで
出産後、子育ての大黒柱的存在の母親が入院して家をあけるとなると、心配事も多いと思います。そこで、「もしものとき」にできるだけ慌てずにすむように、知っておきたいポイントについて、産婦人科医の木戸道子さんに聞きました。
日頃から人間ドックや検診を受け、病気の早期発見につなげよう
「子育て中のママは忙しく、自分の健康管理はつい後回しになりがちです。
規則正しい生活やバランスの良い食事、ストレスをできるだけ溜めない生活が理想であっても、なかなか思うようにいかず、健康に不安をもつママは多いと思います。
人間ドックや自治体の検診などの機会があれば受けて、早期発見につなげましょう。
もし体調が良くないことがあれば、治療のタイミングが遅れないよう早めに受診しましょう」
ママがいなくても困らないように、家の中の物や段取りは家族で共有しておく
「ただ、健康管理に気をつけていても、入院が必要になる場合もあります。
とくに妊娠中は、つわり、切迫早産などさまざまな理由で、ときには数週間以上の長期間にわたる入院になることもあります。
普段から家のことを一手に引き受けていると、『ママがいないと家がまわらない』『必要な物がどこにあるかがわからず家族が困ってしまう』ということになりかねません。
実際には難しいかもしれませんが、物の場所や生活上のさまざまな段取りを、パパなど家族とあらかじめ共有しておき、できるだけワンオペにしないことはリスク管理上でも重要で、いざというとき、家族を守ることにもつながります」
ママの入院時の家族や親類以外の援軍も考えておき、できれば試しておく
「もし入院となる場合、とりあえずはパパ、あるいは実両親や義両親など親類を頼ることが多いと思います。ただ、遠方に住んでいたり、身体の調子がすぐれなかったりといった事情で、そう簡単には頼めないこともあります。
その場合は、1人で悩まずに自治体の保育サービス係などの窓口に相談しましょう。地域のファミリーサポートセンターや緊急一時保育を利用できる場合もあります。
その他にはベビーシッターを利用する方法もありますが、初めての場合は不安もあると思います。普段から何度か利用しておき、ある程度信頼関係を築いておくとより安心です」
入院中も可能な範囲で子どもとコミュニケーションを
「また、入院中に子どもと会えないと寂しく、どう過ごしているのか気がかりと思います。
心配をかけたくないので、子どもには事情を知らせないという考え方もあるかもしれません。でも、子どもも大好きなママがなぜいなくなったのか不安に思うことでしょう。
そこで、子どもが理解しやすい言葉で状況について伝え、『元気になるためにママもがんばる』と語りかけることで、子どもの不安を少しでも減らせるかもしれません。
また、可能であれば入院中も、電話で子どもの声や思いを聴いたり、写真や動画などで家族とコミュニケーションをとったりすることで、お互いの状況への理解が進みます。
焦らず、安心して療養に専念できる環境を、みんなでサポートできるといいですね」(木戸道子さん)
自身の体調管理と家の中の情報の共有、また、もしもの際の援軍や入院時の子どものフォローなど、できることはいろいろとあるのですね。ぜひ、参考にしてください。
(取材・文/橋本真理子、たまひよONLINE編集部)
木戸道子さん
PROFILE)
日本赤十字社医療センター 第一産婦人科部長。数多く出産を扱う病院に勤務し、母子の健やかな出産を応援している。みずから3人の男の子を育てた経験からも、妊産婦、働く女性に親身なアドバイスを行っている。著書に『ワーキングマザーのすすめ: 仕事も子どももゲットする』(悠飛社)、監修として『最新版 はじめての妊娠・出産 安心百科』(主婦と生活社)などがある。
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2024年5月の情報で、現在と異なる場合があります。