思い切って捨ててみたら意外と困らなかったもの12選。聞けば納得の声、続々。『わたしのウチには、なんにもない。』の著者に聞く
今回のテーマは、「家の中にあふれているもの」についてです。「たまひよ」アプリユーザーに聞いた実態とともに、現在、ものの少ない暮らし街道爆進中と自身で語る漫画家のゆるりまいさんにも聞きました。
洋服や収納グッズ、マット類などを捨てている人が多い
家の中にはいろいろなものがありますが、それらはみな、必要なものなのでしょうか?
「たまひよ」アプリユーザーに、「これまでに思い切って捨ててみたら(使わないようにしてみたら)、意外と困らなかったものはありますか?」というアンケートをとってみたところ、以下のような回答が寄せられました。
「バスタオル。フェイスタオルで十分。むしろ洗濯物の量が減った」(しろうさぎ)
「ゴミ箱。なくしてみると、まとめる時に何ヶ所もまわらなくていいと気づいた」(あきちゃん)
「バスマットとトイレマット。バスマットはバスタオルを敷いて、そこに乗って足を拭けば問題なかった。トイレマットはなくても別に困らないし、むしろ掃除しやすかった」(R)
「キッチンマット。あると、よけい隙間に汚れが溜まってしまうため」(みっきき)
「『いつか着るかも…』と思って肥やしにしていた洋服!着ない!」(かず)
「服。3日分着回せるくらい持っていれば問題ないんだなと思いました」(ぬいこ)
「こたつ。子どもが生まれたので、毎年出していたこたつを、今年はリビングに置かないようにしたら、意外となくても過ごせた。掃除も楽だし散らからないし、良かった」(おもち)
「溜めてあった、紙袋やビニール袋。特に大物はなかなか使わないし、スーパーではエコバッグにお肉などを入れるから、ビニール袋も小さいものしか使わない」(Lee)
「買ってもらったのに申し訳ないが『ベビーバス』。プラスチック製は場所をとるし、我が子が長身だったため、あっという間に窮屈になって3回ほどしか使ってない…」(にこにこにゃんこ)
「お風呂場の棚など取り外せるものはすべて取り外して、シャンプーなどは入るときに持ち運ぶようにしたら、ボトルも汚れず、お風呂場の掃除も楽になった」(ほーほー)
「長い菜箸」(sya)
「収納ケース。収納場所があると、ケースを買って『こういうふうに片そう』と計画するのですが、実際は思っていた通りの収納ができないので、ケースを捨てて、違う形で片付けています」(ちぃ)
家は何かあったときに必要なものが見つけられ、安全な場でなければ
捨てても困らないものには、いろいろな種類があるようですね。
最後に、「私にもできそう!」と共感を呼んだコミックエッセイ『わたしのウチには、なんにもない。』の著者である、ゆるりまいさんが、なぜものを捨てるようになったのか、また、ものが多すぎることで経験した恐怖についてお聞きしました。
――ゆるりさんは、いつ頃から「ものを持たない暮らし」を始めたのですか?
ゆるり 「実は高校のときの失恋がきっかけなんです。つきあっていた人と別れてしまい、その彼からもらったものや思い出のものを捨てたんです。すると次第に、捨てるって気持ちいいなぁって思うようになりました。悲しいけれども、捨てることで自分の心にけじめがついていったんですね。
私はものにあふれた、いわゆる汚家で育ち、小さいうちは違和感がなかったのですが、思春期頃から『あれ、私の家汚いかも』と思うようになって。でも、そもそも片付けない家族なので、なかなか家の中をスッキリさせることができませんでした。
でも失恋をきっかけに『捨てる快感』を得たのがはずみになり、その後、大学、会社員と徐々にものを増やさない生活を実践し始めました」
――ゆるりさんがものを減らしだした頃、何かを参考にされたりしたのですか?
ゆるり 「今は雑誌やインターネットなどで、ものを捨てるノウハウなどを紹介していますが、私がものを減らしだした頃は、そうした情報はほとんどなくて自己流です。ものが好きなので、つい買ってしまうこともありました。
その当時は『ものを捨てる=悪』みたいな風潮があったし、ものを粗末にしてはいけないと家族もよく口にしていました。
でも、私は『ものが少ないと楽だな』と思っていて、さらに震災でものがあふれていることは命の危険すらあるという経験をしたことで本格的になりましたね」
――東日本大震災ですね。ゆるりさんの家は大丈夫だったのですか?
ゆるり 「震災当時、外出していた私はあわてて実家へ駆けつけました。ものであふれている家はとんでもない音を出して揺れていて、中に入るといろいろなものが降ってきては倒れたり崩れたりして、生まれてはじめて『死ぬかもしれない』と思いました。
それまで、ただのものだった物体が凶器と化した瞬間でした。
私の家は揺れに耐えきれず一部が崩れ落ちてしまったので、私は家にいた祖母と仕事先から戻ってきた母とともに小学校へ避難することになりました。そこでまた、私は次の難問にぶつかりました。
飼っている猫はパニックを起こすし、避難に必要な懐中電灯や乾電池、ラジオなどが見つからないのです。普段から置き場所を決めていなかったせいで、散乱したものの中から避難に必要なものを見つけるのは至難の技でした。
また非常食になるはずの食品は消費期限の切れたものばかり。缶詰はあっても缶切りは見つからないし、水はないのに甘酒は大量にある……。こんなに家の中にものはあるのに、生きていく上で必要なものがない(または、見つからない)という状況に私は恐怖を感じたのです」
――壮絶な体験でしたね。
ゆるり 「はい。ですから、ものを持たないと掃除が楽だとか、気持ちがスッキリするというメリットもありますが、『家というのは命を守るものでなくてはならない』。そう痛感したので、何かあっても危険がなく、すぐにものを取り出せる家であることを心がけています」
――ゆるりさんの家庭で、使わなくても影響がなかったものはありますか?
ゆるり 「お風呂場の棚やマット類は我が家もないですね。
うちはバスタオルを使わずにフェイスタオルですべてまかなっています。お風呂から上がるときに、浴室で体を拭いてしまい、そのタオルを洗面室の床に敷いて、その上に乗って新しいフェイスタオルで頭を拭いています。マットを使って、それらを洗って乾かすことが面倒だからです。
ジッパー付きの保存袋を使うのもやめました。食べかけの食品やちょっとした整理袋代わりに使っていましたが、少しでもプラごみを減らせればと思い、使うのをやめて、必要なときは耐熱で冷凍もできるポリ袋を使うようにしたら、まったく問題ありませんでした。
また、我が家ではいつでも温かいお湯が使えるように、電気ポットがずっとあったんです。それが故障してしまい、適当なものをすぐ買うよりは…と検討する少しの間、やかんでお湯を沸かしていたのですが、意外と『やかんでいいね』という話になって。
特に母は電気ポットが壊れたときにショックを受けていたんですが、慣れちゃいましたね。
暮らしの中で、これはマストアイテムという家電製品やグッズはあって、それは家庭ごとに違うと思いますが、我が家の中で電子ポットはすごくマストとされていたのに、なくても大丈夫だったというのは発見でしたね」
家の中を整理するということは、防災の観点からも大切だということを痛感しました。また、「我が家にはこれはマスト」と思っていたものも、意外となくても大丈夫なものがあるのですね。そういった目で家の中を振り返る機会を持ってもいいかもしれません。
(取材・文/橋本真理子、たまひよONLINE編集部)
ゆるりまいさん
PROFILE)
漫画家、イラストレーター。夫、息子、母の人間4人+猫3匹暮らし。 生まれ育った汚家の反動で、現在ものの少ない暮らし街道爆進中。自称、ものを捨てることが三度の飯より大好きな捨て変態。そんな日常を描いた『わたしのウチには、なんにもない。』(KADOKAWA)は2016年に連続ドラマ化された。そのほかの著書に『なんにもない部屋のくらしかた』(KADOKAWA)、『ゆるりまいにち猫日和』(幻冬社)などがある。
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2024年5月の情報で、現在と異なる場合があります。