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ドイツで出産した三つ子は8歳に。子どもの医療費は自己負担なし、大学まで無料、パパの育休取得は当たり前。ドイツの子育て環境とは?【体験談】

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ドイツ在住ですが、日本の行事も大事にして、節目にはお祝いしています。日本に来た義両親がドイツの民族衣装を着て、三つ子たちは着物を着て撮影しました。

ドイツ在住のあさみさんは、2015年生まれの三つ子の子育て中です。ドイツで子どもを育てるのはどんな様子なのでしょうか。あさみさんの日々の子育て生活や、ドイツの育児サービスについて感じていることを聞きました。
全3回のインタビューの3回目です。

1歳半まで週2回ベビーシッターが無料で来てくれる

女の子2人、男の子1人の三つ子たちは、きょうだいというより、友だちのように育っているとか。

――三つ子の名づけはどんなふうに考えましたか?

あさみさん(以下敬称略) ドイツでは、出生後1週間以内に、出生届を提出しないといけません。わが家は早産だったし、性別もはっきりしていなかったので、生まれたとき名前をちゃんと決めていませんでした。

いろいろ考え、長男は私がNoelと名づけました。数年前からかわいい響きだと思っていたし、男の子でも女の子でも使われる名前だったからです。夫は、二女にSofiaと名づけました。もともと子どもにはその名前がいいと言っていたんです。
長女は、生まれるまで男の子か女の子か性別がわかっていませんでした。産後、名前を考えているときにEmmaという名前がかわいいね、となって決まりました。あとで、たまたまドイツのその年の名前の人気ランキングを見たら1位と2位がEmmaとSofiaでした。

――三つ子の育児は大変だと思います。ドイツではどんな育児サービスがありますか?

あさみ わが家の場合、三つ子であることで当時住んでいた市の福祉の紹介で来てくれた方が、ボランティアでシッターをしてくれました。こうした対応は、市町村、州によって福祉や対応は異なるようです。わが家では、ボランティアのベビーシッターが来てくれている間に買い物に行ったり、1人を見てもらい、その間にほかの子の健診に行ったりしていました。

当時住んでた市では同じ年に三つ子が3組生まれています。そのすべての家庭に市からベビーカーがプレゼントされました。
当時2400ユーロほどした新品の三つ子ベビーカーを購入してもらい、後日市長にお招きいただきインタビューも受け、市の新聞にも掲載されました。

1歳半を過ぎてからは自分でベビーシッターを探してお願いしていました。たまたま近所に、結婚してドイツに来た日本人で、看護師経験のある人がいたので、一緒に公園に遊びに行くときなど手伝ってもらっていました。

私だけだと3人連れてお散歩に行くのも大変だったんです。私も外の空気を吸って気分転換をしたかったので、とても助かりました。1年弱くらいお願いしていましたが、お互い引っ越すことになり、その後は3歳前に幼稚園に入園するまで私が自宅で見ていました。三つ子は3歳直前の10月に幼稚園へ入園しました。ドイツでは入園式や卒園式もないので、3歳になったら、幼稚園に空きさえあれば、何月でも入園できます。3歳以下は有料ですが入園可能です。

――ドイツの医療サービスや教育についてはどうですか?

あさみ 子どもは18歳未満が医療費、薬代は無料です。予防接種も保険で支払われ、自己負担はありません。日本では自己負担のおたふくかぜ、水ぼうそうなどの予防接種のワクチン代もそのなかに含まれていて無料です。

教育も公立は大学まで無料です。もちろん、私立やインターナショナルスクールの中学や高校はあり、そこは学費も高いらしいです。習い事は月謝がかかります。わが家は3人いるから、あんまりたくさんの習い事をさせるとお金は必要です。とはいえ、医療費も教育費もそれほどかからないので、子育てする上でお金の心配はあまりないです。

男性も育休が取得しやすい雰囲気。夫は3カ月間の育休を取得

パパも育休を取得し、積極的に育児をしています。

――夫さんはどれくらい育児に参加しましたか?

あさみ ドイツは男性が育休を取得するのはめずらしくありません。事前に申請すれば、子どもが3歳になるまでに最大で3カ月取得可能です。

産後、NICUに入院していた子どもたちは別々の時期に退院しました。二女は生後3カ月まで入院していました。そこで、三つ子全員が自宅で暮らすようになってから夫に育休を2カ月取得してもらいました。ちょうど夫の職場にわが家と同じくらいのタイミングで、赤ちゃんが生まれた同僚がいたとのことでした。だから、育休期間が重ならないように日にちを調整したそうです。

ドイツでは、子どものためにパパがお休みするのは当たり前の雰囲気です。たとえば共働き家庭の場合、子どもが幼稚園でも小学生でも、風邪をひいた場合、両親のどちらかが看病のために有休を使えます。

日本では法定伝染病と定められたインフルエンザなどに感染すると「登校させないでください」と言われ、親も会社を休むことになると聞きました。でも、ドイツは子どもの体調が少し悪くて、2~3日休んだほうがいいという程度でも親が仕事を休むのは自然なことです。

日本だと、有給休暇を使いにくい雰囲気があるかもしれません。でもわが家の場合有給休暇は年間40日くらいあるし、周囲も「子どもの体調が悪いんだったら休んでいいよ、その分はちゃんとフォローするから」と言ってくれる雰囲気があります。子どもも子育てする親も、優しく見守られているように思います。

――出生届けなど、法的な手続きで大変なことはありましたか?

あさみ 子どもたちはドイツと日本、両方の国籍を取得しました。日本は申請が全部紙ベースなんです。だから、書類が3枚あったら同じことを3回書かないといけないのがすごく面倒でした。

ドイツは子育てに寛容な雰囲気。困っている人がいれば自然と手を差し伸べてくれる

三つ子用のベビーカーはとても大きくて重いです。周囲の人たちは困っているとすぐに手を差し伸べてくれます。

――ドイツは子育てがしやすいですか?

あさみ 子育てしやすいと思います。ドイツのベビーカーはとても大きいんですが、ベビーカーで外出していて、段差があったりしたら、かならずだれかが手を差し伸べてくれます。子連れに限らず、困っている人がいたら手を貸すのが自然なんだと思います。ドアを開けるとき、後ろにだれかがいたらその人が通るまで待ってくれています。それぞれが思いやりの気持ちを持って生活しているように思います。
私も困っている人がいたらすぐ手を差し伸べられるようにしたいです。

周囲も優しいのですが、個人がはっきり自己主張するのは日本と異なるかもしれません。外出中、困ったことがあったら、周囲に「手を貸してほしい」と声を上げている印象です。

――授乳室などは完備されていますか?

あさみ 授乳室はほとんどないです。ドイツでは、公共の場でママが赤ちゃんにおっぱいをあげるのに寛容なんです。だからママたちはショッピングモールやデパートのベンチに座って授乳しています。電車やレストランでも普通におっぱいをあげてる光景も見ます。

母乳か粉ミルクかは、それほど重視されていないように思います。もし母乳が出ればあげればいいけれど、そこまで母乳にこだわらなくてもいいと考えられているようです。粉ミルクもいろんな種類があるし、飲んでくれるなら問題ないという感じです。私の場合は、3人いたので母乳だけではたりず、病院に入院しているときからミルクをあげていました。入院中も搾乳したものをかならず届けないといけないというほどではなく、できれば持ってきてくださいというくらいでした。

液体ミルクも普通にあります。ただ、種類は少ないのと少し割高なので、外出用にしていました。とはいえ、私は三つ子を連れてお出かけする余裕がなかったので、ほとんど飲ませる機会はありませんでした。

――外出先でおむつ替えはどうしていましたか?

あさみ 公共施設のトイレなどにだいたいどこにでもあります。レストランなどにもあるので助かります。

三つ子もひとりっ子も、それぞれ大変な部分も助かる部分もあると実感

6歳の誕生日。赤ちゃんのころはよく似ていましたが、成長するにつれ、それぞれ個性が出てきているそうです。

――三つ子を育てるうえで、大変だったことはありますか?

あさみ やっぱり物理的に手がたりないことが一番大変です。歩いて幼稚園に行くにしても、3人全員とは手をつなげません。だから目を離さないよう、必死でした。

ただ、私は三つ子の子育てしかしていないから、ひとりっ子や2人きょうだいの子育ての大変さがわからないんです。たぶん、子どもが何人でも、それぞれ子育ての大変さがあると思います。

三つ子でよかったと感じたのは、コロナ禍です。ロックダウンされ、幼稚園に2カ月行けなかったんです。子どもが1人の友だちの家は、ずっとママが子どもの相手をしていないといけなくて大変だったと聞きました。わが家の三つ子は、朝起きてから友だちがずっと横にいるような状態だったんです。同じレベルの遊びができるので、家にずっといても朝から晩まで3人で遊んでいました。本人たちも私たち親も、きょうだいという感覚はあまりないです。呼び方も「お兄ちゃん、お姉ちゃん」などとは呼ばず、それぞれ名前で呼んでいます。

わが家の三つ子は8歳になりました。赤ちゃんのころは体のサイズも同じくらいで、見るからに三つ子という感じでしたが、現在は身長も差があるし、顔も性格もまったく違い、それぞれの個性が出てきました。得意なことや苦手なこと、習いごとなどもそれぞれです。あんなに小さく生まれた子たちがこんなに大きくなったんだなあと感慨深いです。これからも3人とも元気に成長していってほしいです。

お話・写真提供/あさみさん 取材・文/齋田多恵、たまひよONLINE編集部

ドイツでの子育ての様子は日本とは異なる部分も多いようです。授乳に対しておおらかだったり、ベビーカーで移動していて段差があったときに、だれかが手助けをしてくれたりする環境は、とても子育てしやすいのではないでしょうか。8歳になった三つ子ちゃんたちには、ますます元気に育ってほしいと思います。

あさみさんのブログ「ドイツ人旦那+三つ子ちゃんとの生活日誌in Germany♡」

あさみさんのInstagram

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年6月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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