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男児の水着のインナーメッシュに、おちんちんが挟まる痛々しい事故が…。メッシュの穴、こんな水着が要注意!【小児科医】

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日本の美しい海 沖縄旅行
●写真はイメージです
TATSUSHI TAKADA/gettyimages

夏本番、水遊びシーンが増えるころです。国民生活センターでは2021年7月に「男児用水着のインナー生地を確認しましょう-陰茎部の皮膚が挟まり、取れなくなることも-」という資料を発表し、注意喚起をしています。男児用水着のインナーのメッシュ素材がメッシュの穴が大きいものだと、そこにおちんちんが挟まる事故が起きているというものでした。
この事故は20年以上前から確認されていて、注意が促されています。子育て中のママ・パパたちの間でも情報交換がされているようです。2007年に、男児用水着のインナーメッシュに関する事故の論文を発表して以来、ママやパパに注意を促し続けている富山大学附属病院小児科 種市尋宙先生に、事故の原因や対策について聞きました。

20年以上前から起きている事故なのに、いまだに事故にあう男の子が!

種市先生が、初めて男児用水着のインナーメッシュにおちんちんが挟まった子を診察したのは、2006年のことです。

「私が新潟の病院に勤務していたころに経験した症例が2例あります。海で遊んでいた双子の男の子の1人が男児用水着のインナーのメッシュ部分に陰茎部の皮膚が挟まってしまい、痛がって泣きながら病院に来ました。その子の治療をしている間に、お母さんから電話が来て『もう1人も挟まってしまって…』と、双子のもう1人の男の子も来院したのです。

話を聞くと、海で遊んでいる最中にも何度か挟まったのですが、それは自分たちで少し触ったら取れたと言います。でも休憩をとりながら2時間以上海で遊んで、海遊びを終えて水着を脱ごうとしたら挟まりがひどくなっていたとのことでした。

ちょっと触れただけでも痛くて暴れるので、麻酔(点滴)をしてメッシュ素材を取り除くという処置をしました。それをきっかけに同じような事故が過去にないか調べたところ、1998年ごろから症例報告がありました」(種市先生)

メッシュの穴が縦2ミリ×横2ミリ以上のものは要注意

写真は、事故が起きやすいメッシュの一例。メッシュの穴が縦2ミリ横2ミリ上あると事故が起きやすいです。

男児用水着のインナーメッシュに陰茎部が挟まるというのは、どういうことでしょうか。

「メッシュの穴が縦2ミリ×横2ミリ以上あると、メッシュの穴からわずかに陰茎部の皮膚がはみ出します。そしてメッシュから圧迫を受けているうちに、挟まっている陰茎部の皮膚に静脈還流障害が起こり、水分がもれ出し、肥大してとれなくなります。過去の症例報告を見ると、この事故は4~6歳ごろの男児に多いのですが、0~3歳だから大丈夫とは考えないでください。

また因果関係は不明ですが、海で遊んでいるうちにインナーメッシュに陰茎部が挟まる事故が全体の9割以上を占めています」(種市先生)

種市先生の説明をイラスト化すると以下のようになります。

メッシュの穴から陰茎部がはみ出る

陰茎部がメッシュに密着すると、メッシュの穴から外にはみ出し、メッシュから圧迫を受け始める。

はみ出た部分の血流が止まる

局所的に小さな静脈が圧迫を受け、血流が止まる。

はみ出た部分が膨張し始める

局所的に静脈還流障害が起き、静脈から水分がもれ出ることで皮膚が徐々に膨張する。

膨張が進み、激しい痛みを感じる

さらに膨張が進むと、メッシュが皮膚を強く圧迫し激しい痛みが起きる。

家庭ではさみなどを使って無理に取ろうとするのはNG

万一、事故が起きたときはどうしたらいいのでしょうか。

「すぐに小児科を受診してください。夜間や休日は、救急外来を受診しましょう。痛みを伴う場合は、点滴で静脈麻酔をしてから処置をします。

受診するまで痛がって泣くときは、ぬれている水着の重さが原因で、痛みが生じる場合もあるので、応急処置として無理のない範囲ではさみで水着やインナーメッシュを切って脱がせてください。ただし挟まっている部分は、そのままにしてください。触れてはダメです」(種市先生)

また「子どもが痛がっているからかわいそう」と、無理に取ろうとするママやパパもいるかも知れませんが、それはNGです。

「家庭で、はさみなどを使って無理に取ろうとすると、痛くて暴れて、陰茎部を傷つけたりする危険性があるため、必ず受診してください」(種市先生)

男児用水着のインナーメッシュは、2010年に全日本婦人子供服工業組合連合会などが、水着にメッシュ形状の素材を用いないことを「子供用衣類の設計に関する安全対策ガイドライン」に盛り込みました。しかし外国製の水着などが輸入されているケースもあり、今でも販売されているのが現状です。

「インナーメッシュに陰茎部を挟む事故を防ぐには、インナーメッシュつきの水着を選ばないことが第一です」(種市先生)

イラスト/国民生活センター、取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

お話・監修・写真提供/種市尋宙先生

2021年の国民生活センターの注意喚起もあり、日本のメーカーではニット生地の使用が多くなってきているようです。しかし、おさがりやおゆずりされたものなど少し古いものだったり、海外製のものなどには気をつける必要があるかもしれません。種市先生によると、乳幼児の水着はインナーメッシュが必要なものではないので、ついている場合ははさみで切ったほうがいいと言います。インナーメッシュの危険性を知って、安全な水着を選ぶことが、子どもの事故を防ぎます。

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