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レックリングハウゼン病の影響で、斜視や低身長などの症状が出た娘。「将来、本当に悩むのは私じゃない、娘自身だ」と気づいた母は行動を起こす【体験談】

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紬乃ちゃんは生後2カ月ごろから、レックリングハウゼン病の乳児期の特徴であるカフェ・オ・レ斑が、足首やおなか、腕などに表われました。

27歳、20歳、14歳、12歳、9歳、7歳の6人の子どもがいる大河原和泉さん(45歳)。小学2年生の末っ子、紬乃(ゆの)ちゃんは、生後3カ月のときに神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病/NF1 以下レックリングハウゼン病)と診断されました。レックリングハウゼン病は、乳児期に茶色いシミのようなカフェ・オ・レ斑が複数見られることなどが特徴です。紬乃ちゃんもカフェ・オ・レ斑が増えて、生後3カ月ごろには体中に50個ぐらいできました。
大河原和泉さんに紬乃ちゃんの症状や患者・家族会「To smile」を立ち上げた経緯について聞きました。
全3回インタビューの2回目です。

▶関連記事【第1回を読む】生後すぐから気になった茶色のあざ。1週間で20個増え、生後3カ月には50個に!それは大きな病気の症状だった【レックリングハウゼン病体験談】

医師からは何度も、レックリングハウゼン病のことをネット検索しないように言われる

生後4カ月ごろの紬乃ちゃん。洋服を着ていると、カフェ・オ・レ斑はわかりません。

紬乃ちゃんが大学病院でレックリングハウゼン病と診断されたのは、生後3カ月のときです。

レックリングハウゼン病は、NF1遺伝子の変化が原因と考えられていて、たんぱく質を作るための設計図(ニューロフィブロミン)が正常に働かないために、骨が正常に形成されなかったり、皮膚の色素が過剰に作られたりして、さまざまな症状を引き起こします。紬乃ちゃんのカフェ・オ・レ斑も代表的な症状の一つです。

「紬乃のカフェ・オ・レ斑を診ただけで、大学病院の医師はすぐに『神経線維腫症1型』と言いました。
そして医師から『お母さん、この病気のことは、インターネットで検索しないでね』としつこいぐらいに言われました。15分ぐらいの診察で20回ぐらい言われた感じです。

私は柚乃のシミは体質の問題で病気だとは思っていなかったので、一瞬頭が真っ白になりました。医師に『どういうときにすぐに受診したほうがいいですか?』と聞くと、医師は『けいれんが起きたら、すぐに来て』と言いました。

医師にあんなに止められたにもかかわらず、私は気になって気になって、すぐにスマホで『神経線維腫症1型』を検索しました。そしたら『閲覧注意』などと書かれていた情報がたくさん出て来て『えっ?』ととても混乱しました。

今、思えば誤った情報もかなりありましたし、そもそもレックリングハウゼン病ではない病気を、レックリングハウゼン病と紹介しているものもありました」(和泉さん)

「将来、本当に悩むのは私ではなく、紬乃自身」という気持ちが原動力に

レックリングハウゼン病の誤った情報、偏見をふっしょくするために、和泉さんは紬乃ちゃんの写真をSNSに投稿し続けました。

インターネットの情報を見て、和泉さんは紬乃ちゃんの将来を悲観したと言います。でもそれは一瞬のことだったそう。

「レックリングハウゼン病は、成長に従ってさまざまな症状が現れます。代表的なのは乳児期のカフェ・オ・レ斑や、思春期の皮膚の神経線維腫などです。神経線維腫とは、皮膚や体の内部、神経に沿ってできる良性の腫瘍です。ときには広範囲に広がったり、大きなこぶ状になることもあります。

将来、紬乃はどうなってしまうんだろう? と調べれば調べるほど悩みました。
でも、本当に悩むのは私ではなく紬乃自身なんだ! 今、私がするべきことは将来を悲観することではなく、紬乃が生きやすい社会を作ることが先決だ、と考えたんです」(和泉さん)

和泉さんがまず行ったのは、レックリングハウゼン病に関するインターネットの情報を変えていくことでした。

「紬乃にフリルがいっぱいついたピンク色の目立つ服を着せたりして、“レックリングハウゼン病”“神経線維腫症1型”“NF1”などの#をつけて毎日SNSに写真を投稿しました。紬乃のデイリーファッションショーのような感じです。
すると3カ月ぐらいで、レックリングハウゼン病、神経線維腫症1型と検索すると、最初に出てくる画像の大半が紬乃の写真になりました」(和泉さん)

SNSの投稿から、レックリングハウゼン病の子どもをもつ親などから多くのメッセージが届く

1歳9カ月の紬乃ちゃんと、年子のお兄ちゃん。

SNSに紬乃ちゃんの写真を投稿するようになってから、和泉さんのところには毎日、たくさんのメッセージが届くようになりました。

「レックリングハウゼン病の子どもをもつママ・パパや、レックリングハウゼン病の患者さんからどんどんメッセージが送られてくるようになったんです。一人一人に返信をしていたのですが追いつかないぐらいメッセージが届きます。なかには生きているのがつらいというようなメッセージも届きました。レックリングハウゼン病は、良性の腫瘍が体中に広がったり、大きなこぶ状になったりすることもあります。そのため人前に出るのを避けるようになる人もいます。病気が原因で、心ないことを言われたり、いじめられたりしている子もいるでしょう。

レックリングハウゼン病の国内の患者数は約4万人といわれています。みなさんとやりとりしていて気づいたのは、将来、私には紬乃の本当のつらさを100%理解はできないと思う。でも紬乃の本当のつらさを『私もだよ!』とわかってくれる人たちがこんなにたくさんいる!ということでした。

また私は最初、紬乃を助けたくて紬乃の写真をSNSに投稿していたけれど、紬乃1人を社会から守ることは不可能。社会が変わらない限りは、紬乃のことは救えない。社会を変えるためには、4万人の患者さんを守れるような活動をして、4万人と力を合わせてれば社会を変えることができると思ったんです。

また、難病の子どもを抱えるママ・パパたちは「子どもを救いたい!」「医療の進歩に期待したい」という思いにブレがないんです。私も同じです。
それならば前向きに活動ができる! 社会を変えられる!と思い、2019年に患者・家族会“To smile”を立ち上げました。

“To smile”の活動は、レックリングハウゼン病の医療セミナーの開催などです。ときには遠方まで行くため、家を空けることもあります。しかし夫は“To smile”の活動にいっさい、口を出しません。
『紬乃はお前の子でよかった』と言ってくれています」(和泉さん)

斜視や身長が伸びないなど、気になる様子が

2歳10カ月ごろ。定期検査で入院。

レックリングハウゼン病には、遺伝性と遺伝性でない孤発性があります。孤発性の確率は約1万分の1といわれていて、紬乃ちゃんは孤発性です。

「カフェ・オ・レ斑以外での症状では、1歳ごろから斜視になりました。レックリングハウゼン病は斜視の子も比較的多いです。
大学病院で脳のMRI検査をしたところ、脳に腫瘍ではないけれども気になる部分があると言われて、今でも年1回検査を続けています。斜視は、視力に影響しないようにアイパッチをつけるなどして治療しました。

また成長も気になりました。紬乃は生まれたときは小さいほうではなかったのに、2歳ごろから身長があまり伸びずに4歳になっても、歩き方が1歳の子みたいにぎこちないんです。歩くたびによく転んでいました。検査をしたら成長ホルモンが出ていないと診断されて、ホルモン治療を始めることになりました。レックリングハウゼン病の患者さんの中には、紬乃と同じように低身長の人もいます。

ホルモン治療は、毎日、寝る前に自宅で成長ホルモンの注射をおしりに打つのですが、わずか8カ月で18cmぐらい身長が伸びて、歩き方なども年齢相応になりました」(和泉さん)

レックリングハウゼン病は現代の医療では、根本的な治療法はありません。対症療法が中心になります。
しかし2022年9月に国内初の治療薬(商品名コセルゴカプセル10mg、同カプセル25mg)の製造販売が承認されました。
レックリングハウゼン病には、「叢状神経線維腫(そうじょうしんけいせんいしゅ)」という体の深部にできる腫瘍によって、外見の変化や痛み、運動機能障害などを引き起こすことがあります。発症率は30~50%です。
新薬は、叢状神経線維腫で手術が困難なケースや障害がある場合に用いられます。

「新薬によって治療の選択肢が一つ増えました。レックリングハウゼン病は現代の医療では根本的な治療法がない病気ですが、これからも医療の進歩に期待したいです」(和泉さん)

【佐谷先生から】近年は、遺伝子検査などで早期に診断されることも

レックリングハウゼン病はこれまでカフェ・オ・レ斑や神経線維腫という皮膚の病変で診断されていましたが、近年遺伝子検査やMRI検査によって早期に診断されることが増えてきました。それに加えて体の深部にできて体の変形や機能障害を引き起こす叢状神経線維腫に対する治療薬が登場したことで、重症化を予見して適切な治療を適切なタイミングで行えるようになったことは、患者様やそのご家族にとって大きな安心材料となっています。遺伝子が変異して生じる疾患であることから、まだ現状は対症療法であり、根本的な治療法はありませんが、今後医学が進歩することでレックリングハウゼン病のような難病が克服されることを願っています。

監修/佐谷秀行先生 お話・写真提供/大河原和泉さん 取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部

▶続きを読む<第3回>体にできたカフェ・オ・レ斑を「こげているよ」といわれたことも・・・。娘の病気に向き合うママが5人のきょうだいたちに伝え続ける言葉【レックリングハウゼン病体験談】

レックリングハウゼン病は、出生約3000人に1人の割合で発症するといわれる病気です。紬乃ちゃんの場合は、体中にできたカフェ・オ・レ斑が診断の決め手となりましたが、幼児の場合は「わきのしたや足のつけ根にそばかすような斑点ができる」「黒目に小さな粒のようなものがある」のもレックリングハウゼン病を疑うサインです。

3回目のインタビューは、紬乃ちゃんの就学と、和泉さんが紬乃ちゃん自身や柚乃ちゃんのきょうだいたちに病気のことをどのように伝えているのかについて紹介します。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

TO smile#endnfホームページ

大河原和泉さん(おおかわらいずみ)

PROFILE
1男5女のママ。末っ子紬乃ちゃんが、レックリングハウゼン病と診断されたことをきっかけに患者・家族会「To smile」を立ち上げ、代表を務める。レックリングハウゼン病の医療セミナーを開催するなどして、患者さん・家族に最新の正しい情報を伝えるために活動を行う。

佐谷秀行先生(さやひでゆき)

PROFILE
神戸大学医学部卒。藤田医科大学腫瘍医学研究センター センター長。医学博士。熊本大学医学部腫瘍医学講座教授、慶應義塾大学医学部先端医科学研究所教授などを経て現職。専門は腫瘍生物学 。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年6月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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