夫婦でそれぞれで貯蓄している「夫婦別貯蓄」が増加中。パートナーの貯蓄を知らなくても大丈夫なの⁉【FPに聞く】
「たまひよ」アプリユーザーに「あなたの家庭では、月々の貯蓄はパートナーと別々にしていますか?それとも1つの口座で一緒にしていますか?」と、質問。すると「別々に貯蓄」が過半数を超えました。しかも「貯蓄額はお互いに知らない」と答える人が続出。ライフスタイルアドバイザーで1級FP技能士の前田菜穂子さんに伺いました。
Q. あなたの家庭では、月々の貯蓄はパートナーと別々にしていますか?それとも1つの口座で一緒にしていますか?
別々に貯蓄している 54.5%
1つの口座で貯蓄している 32.3%
貯蓄していない 7.3%
その他 5.9%
「別々で貯蓄している」と答えた人の99%は正社員でした。夫婦共働きで安定した収入があることも大きな要因のようです。
Q. 「別々に貯蓄している」とお答えになった方に伺います。パートナーの月々の貯蓄額や貯蓄総額を知っていますか?また、あなたの貯蓄額は知らせていますか?
お互いに知らない 42.6%
お互いに知っている 35.8%
パートナーの貯蓄額は知っているが、自分のは教えていない 9.8%
自分の貯蓄額は伝えているが、パートナーのは知らない 5.9%
その他 5.9%
「別々で貯蓄している」夫婦の4割以上が「お互いに知らない」と、回答。理由は「それで困っていない」「特に問題はない」「独身時代の名残り」という回答が目立ちました。
安定した収入が信頼につながる? 【別々に貯蓄/貯蓄額はお互いに知らない】
「生活費は共通口座にそれぞれが入金するようにし、残りは各々が自由に使えるよう、また干渉し合うことのないように別々にしています。別貯蓄で困ったことはありません」(シーユリ)
「別々にしている理由は特にありません。一緒にすることも検討しましたが、お金のやり取りがめんどくさくて現状維持という感じ。お互いに資産運用をやっているので順調に貯蓄はできているとは思います」(ncl)
「お互いのプライベートは大切にしたい。ただし3万円以上の出費は申告するようにしています」(すがきや)
「夫は倹約家なので信頼しており、貯蓄額等は確認していません。資産運用しているか気になりますが、お互いにその辺りは口出ししていません」(さくまま)
という納得の声がある一方で、やはり不安の声も届きました。
「生活費や子どものお金はその都度もらっているし、相手の貯蓄を知ってショックを受けたくないのであえて聞かない……」(ひよこ)
「独身時代からの名残りでそのまま別々です。2人合わせてどれくらいの貯蓄があるか不明なので、将来的に学費など足りるのか不安です」(ぽむ)
「お小遣い制は窮屈ということで、1ヶ月の生活費と貯蓄分をふたりで出し合い、残りはそれぞれで貯蓄をしています。お財布が別だと浮気しやすいと聞いたことがあるので、そこも心配」(ゆうやママ)
お金の話はオープンに 【別々に貯蓄/貯蓄額はお互い知っている】
「別々にしているのは、わざわざお金を移動させるのが面倒だから。お互いオープンに話すので問題はありません」(ねこすき)
「それぞれ給料から生活費や必要経費を引いた額を別のところに貯蓄しています。本当は夫婦合わせての貯蓄額がわかりやすいよう共通の口座に入れたいのですが、共通の口座というものが無いため、今の貯蓄方法になっています」(まるまま)
「それぞれで貯蓄ですが、10万円を超える買い物は相談して買うようにしています」(さのさの)
教えたくない理由は相手の金銭感覚 【別々に貯蓄/相手の貯蓄額は知っているが、自分は教えていない】
「夫が全く貯金ができないタイプです。定期積立とNISAの積立を本人の口座でやっていますが、ちょくちょく引き出すのでまったく貯まりません。そういうタイプなので共通の口座は絶対作りたくない」(emi)
「金遣いが荒いので、一緒にしたら使い込まれるので」(ななんた)
納得している人は少数派 【別々に貯蓄/自分の貯蓄は教えているのに相手の貯蓄は知らない】
「夫の貯蓄額は知りません。ただ私は金融知識があり、夫が投資に回してもよいと思うお金が証券口座に定期的に入ってくるので、それを私が資産運用しています。もちろん、何に投資するかなどは事前に話し合い、その株式を購入してもらっています」(LUCAS)
と、余裕のあるコメントは少数派。
「生活費ごとに夫婦で分担をしています。たまに貯蓄の話になり、お互い『いくら位はあるよ』と、報告はしていますが、口座を確認しているわけではないので真実はわかりません」(りーちゃん)
「夫が地域の祭りの組織や消防団に入っており、飲み会などが多く、結婚当初から『家計は別々で管理』と、言われました。私は倹約家なので貯蓄は着実に増えていますが、夫の貯蓄額は知りません。今は男のプライドもあるのかなとあえて聞いていません。必要な時期になったら聞きたいと思います」(ゆきだるま)
「夫が家計 (管理・貯蓄・将来設計等全て)を担当しています。私の貯蓄は圧倒的に少ないので、こちら側は包み隠さず伝えています。しかし収入も貯蓄も少ない私が、なぜか食費と子どもにかかる費用を全て負担しています。加えて、夫は自分に自由にお金を使っているなと思うことがたびたびあり……。夫の総貯蓄額も知りたいと現在悩み中です」(ほのママ)
「夫はチマチマ貯金をするよりも、働いて収入を増やした方が良いと考えるタイプです。老後や教育費のために、今から夫婦で長期積立をしたいのですが、夫はやりたがらず私のみ。働けなくなったらどうするのか?と、話してもあまり良い反応はないです」(とみぃ)
「夫婦別財布」が浸透しつつある昨今ですが、「夫婦で別貯蓄」は問題ないのでしょうか?ライフスタイルアドバイザーで1級FP技能士の前田菜穂子さんに伺います。
「マイホームや大学費用など積み立てるべきお金を試算し、“お互いが自由に使えるお金はいくらあるのか”を明確に」と、FP前田さん
「『夫婦別財布』や『夫婦で別貯蓄』の良さは、お互いが経済的自立を保ち対等な関係でいられる点です。でも
『収入も貯蓄も少ない私が、なぜか食費と子どもにかかる費用を全て負担しています。加えて、夫は自分に自由にお金を使っているなと思う(後略)』(ほのママ)
とコメントにあったように、情報が不透明だと不安や不公平感を呼び、“別財布・別貯蓄“の心地よさが損なわれていきます。
同じようなモヤモヤがある方は費目別の家計を、1ヶ月分だけでも夫婦で確認していただきたいです。その流れで、生活費を出し合う割合や、大学やマイホームなど積み立てるべきお金は?お互いが自由に使えるお金はいくらあるのか?……と、明朗会計にむけて話し合ってください」
銀行は「代理人カード」、クレジットカードは「家族カード」で集中管理がおすすめ
「次は管理の問題です。
家計管理アプリに夫婦の口座とカードを紐づけして全収支把握することも可能ですが、これは猛者(笑)。
皆さん、お忙しいと思うので若干緩めな選択肢をご紹介します。
共同名義の銀行口座の開設は難しいので、おすすめするのが『代理人カード』(口座名義人の生計同一親族が、名義人の口座から入出金や振込ができるキャッシュカード)です。さらにクレジットカードでは『家族カード』(カード名義人の生計同一親族として使えるカード)を発行し、夫婦どちらかの口座で集中管理する方法です。
『働けなくなったらどうするのか?』(とみぃ)
という心配は、この口座に緊急予備資金として生活費の半年分をいれておくと安心につながります。
ただし、この方法が有効なのは『普段使い~近い将来必要なお金』まで。定期預金や貯蓄性のある保険、投資の状況を把握しようとすると『情報公開』の機会を持つ必要があります。
おすすめはマイホームや私立の小中学校進学など大きな支出を検討するとき。『大きなお金がかかるって聞いて心配なの。お願い!』と、訴えると協力が得られやすいですよ」
前田菜穂子
みつめFP事務所代表で、1級FP技能士(国家資格)、CFP®(日本FP協会)、育勉®インストラクター、日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー(平成29年10月~令和7年9月)FPmamaFriendsおこづかい教室認定講師。猛烈に働いた13年間の会社員生活での挫折や長く続いた不妊治療経験など、人生の壁にぶつかったことをきっかけに、金融業界未経験ながら5年間猛勉強してFPの資格を取得。“今より幸せで円満な家庭づくりのお手伝い”をモットーとし、娘として、妻として、母として、そして専門家として広い視野をもち、親子や夫婦でも話題にしづらい「お金のハナシ」に向き合うきっかけを提供しています。プライベートでは一児の母。
文/和兎 尊美
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2024年5月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数341人)
※記事の内容は2024年7月の情報で、現在と異なる場合があります。