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3人きょうだいのママが実践。子育ての大変~っ!?を解決するおうちでできるモンテッソーリ【インタビュー】

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長男も二男も、三男にとっても優しくしてくれるそうです。

子どもの個性を伸ばす優れた教育法として注目されているモンテッソーリ教育。日本ではプロ棋士の藤井聡太さんがモンテッソーリ教育で育ったことも知られています。5歳、3歳、1歳の3人の男の子のママである北川真理子さんは、10年以上のモンテッソーリ教師としての経験をいかし、自身の子育てにもおうちでモンテッソーリ教育を実践しているそうです。北川さんにおうちでモンテッソーリ教育に取り組むポイントについて聞きました。
全2回のインタビューの1回目です。

環境を整えたら「寝ない」「食べない」で悩まない

洗面所近くに子ども用ベンチを置いて、座って歯磨きする環境を作ったそうです。

――出産前は10年以上にわたってモンテッソーリの幼児教育に携わっていたそうですが、モンテッソーリ教育の基本的な考え方を教えてください。

北川さん(以下敬称略) モンテッソーリ教育は、子どもの自立を育む教育法として、20世紀初頭にイタリアのマリア・モンテッソーリ博士が提唱しました。子どもには自分を育てる力が備わっているという「自己教育力」に注目した教育法で、子どもたちの自発的な活動を大切にしています。

私がモンテッソーリ教育と出会ったのは中学生のころ。仲よしの先輩がモンテッソーリ教育を受けて育った人で、教育の内容や教材のことをいろいろと教えてくれて、そのときは「へえ〜、おもしろいなぁ」くらいに思っていました。

幼いころからずっと幼稚園の先生になりたかった私は、短大で保育士と幼稚園教諭の資格を取って就職活動をしました。そのときにモンテッソーリ教育を取り入れている園に出会い「子どもが自分で育つ力を信じる」教育内容に興味を持ち、就職しました。働きながら研修を受けて学びましたが、もっとちゃんと勉強したいと思い、仕事を辞めて1年間モンテッソーリ教師トレーニングセンターで学び、ディプロマ資格を取得しました。その後、モンテッソーリ教育の幼稚園で教師として勤めました。

――3人の子育てでおうちモンテッソーリを取り入れることで、どんないいことがありますか?

北川 モンテッソーリ教育で大事にしていることの一つに、環境を整えることがあります。よく子育ての困りごととして「なかなか寝てくれない」「ごはんを食べてくれない」などを聞きますが、それらの解決のコツは環境を整えること。自然に眠りにつくために、寝室は「寝るだけ」の環境にする、夕方から徐々に照明を落とすような環境にして、「ふとんに入ったらお話をしないよ」「おもちゃは持っていかないんだよ」と伝えます。

また、食事に集中できるように事前におもちゃを片づけて「ごはんのときには遊ばないよ」と伝えます。いずれにしても強く言ったりしかったりせずに、当たり前のことだと伝えることがポイント。このようにして、わが家の場合は、寝てくれないとか食べてくれないといった困りごとはほとんどありませんでした。

子どもの気持ちを尊重して、イヤイヤ期や赤ちゃん返りを乗り越える

パズル遊びに集中する二男。遊びの間はとっても真剣!

――おうちモンテッソーリは、イヤイヤ期対策もできるのでしょうか?上の2人のイヤイヤ期はどんなふうに乗り越えましたか?

北川 わが家の長男と二男もそうでしたが、イヤイヤ期の激しさは本当にすごいですよね。 ただ、イヤイヤ期は自己肯定の時期でもあるんです。子どもが自分で考える、決める、自分でできる、という心が芽生える時期なので、この時期こそ子どもの気持ちを受け止めて、満たしてあげることが大事というのがモンテッソーリ教育の考え方。自分でやる、選ぶことで、自分はできるんだ! と自己肯定につながります。

たとえばわが家の場合、朝食に白米を用意しても「パンが食べたい!」と爆発することがありました。そこで「今日はごはんだけど、でもパンを食べたかったんだよね」と、まず子どものパンを食べたい気持ちをしっかりと受け止めてあげるようにしました。そして「パンを食べたいんだよね、そしたらパンは明日買おうか」と話し、時間がたってくると子どもも「パンが食べたいけど、でも今日はごはんなんだ」と受け入れ始めてくれました。

とはいえ、イヤイヤ期のエネルギーのすさまじさに親は疲れちゃいますよね。マイナスにとらえると余計に疲れてしまうので、できるだけ「すごいな、これだけの自己主張するエネルギーがあるなんてすばらしい!」と思うようにしていました。

――赤ちゃん返りなどはどうでしたか?

北川 二男の赤ちゃん返りは、三男の妊娠中にあって、よく「おかあさん〜!」と甘えてきたり、「抱っこ、抱っこ」とせがまれたりしました。そういうときは「おなかが大きいから抱っこはできないよ」と否定の言葉は言わないようにして、しゃがんでぎゅっと抱きしめていました。二男はすぐ受け止めてあげられる甘え方だったから、そんなに困った赤ちゃん返りではなかったんです。

でも長男の赤ちゃん返りは、三男が生まれて半年くらいたったころ、お友だちのことをひっかいたり、かんでしまったり、お友だちの遊んでいるものを取ってしまったりといった行動として出てしまいました。それで、長男は少し保育園を休ませて私と2人だけの時間を作ったり、夜寝る前にオイルマッサージでスキンシップをするなどして、ケアをしました。数カ月したころ、保育園の先生に「長男くんは落ち着きましたね」と言われたときは本当にホッとしました。

けんかは子どもの気持ちを代弁してガイドする

とっても仲よしきょうだいだけど、けんかをすることもしばしば。

――3人きょうだいがけんかをすることはありますか?

北川 3人いると、やはりよくけんかになります(笑)。長男と二男のけんかでは、二男が「お兄ちゃんが遊んでるのがほしい」「自分もやりたい」と言って、ワーッと泣くことが多いです。その場合はまず「どうしたいの?」と聞きます。「お兄ちゃんのおもちゃを使いたかったの? そしたら使いたいって言えばいいんだよ」と伝えます。その後「貸してほしい」のか「一緒に遊びたい」のかを聞きます。

長男は「ぼくはこれで遊びたい」と自分の気持ちを言葉に出すことはできるんですけど、相手に「貸して」とか「一緒に遊ぼう」と提案ができないタイプ。そこで長男が二男のおもちゃで遊びたいときには「それで遊びたいんだね、いいと思うよ」と気持ちを受け止め、さらに「貸してほしいの? それも一緒に遊びたいの?」と聞いて気持ちの整理をしてあげます。

――2人の気持ちを整理して、解決法を提案してあげるんですね。

北川 きょうだいげんかが始まったら、大人が「いい」「悪い」を決めることや、「貸してあげなさい」と決めつけはしないようにします。2人で話し合いができるように、気持ちを代弁したり、解決法をガイドしながらかかわります。どういうふうに歩み寄るかは、そのときの状況によります。長男が譲れるときもあるし、その逆もあります。

大事なのは、子ども同士が、お互いの気持ちと、どうしたいのかを伝え合って、子ども自身が考えること。けんかのたびに言葉でのやり取りを繰り返していくと、しだいに親が何も言わなくても、2人で解決できるように。そんなときの2人のやり取りは、聞いていて感動します。

――親は少し様子を見ていたほうがいいのでしょうか?

北川 もちろんけがになるようなけんかには気をつける必要がありますが、きょうだいがもめ始めたときはまず見守ります。けんかになっちゃうかな、たたいちゃうかな、と、ヒヤヒヤしながら見ていると、最近はきょうだいどうしで自分の気持ちを伝え合いながら「じゃあ、こうしようよ」「うん、いいよ」って、解決できるようになってきました。2人の気持ちが切り替わって、一緒に遊び始める姿を見ると、2人の成長を感じてとてもうれしいです。

子どもの気持ちを肯定的に受け止めると、先を見通す力がつく

キッチンで料理のお手伝いをする長男。

――きょうだいがそれぞれ家で遊びたい、外で遊びたい、と遊びたいことが違う場合にはどうしていますか?

北川 子どもの意見をいったん受け止めることがモンテッソーリの考え方です。でも、生活の中ですべてを子どもの希望どおりにすることはできないので、子どものやりたいことに順序をつけたり、整理したりする必要がありますよね。まずはそれぞれ何をしたいかを聞いて、たとえば1人が「外遊びしたい」、1人が「家で遊びたい」と違った場合には「いいよ、じゃあ両方やろう」といったん受け止めます。そして、その日の予定を踏まえつつ、「お友だちがいるかもしれないから午後にしようか」「昼は暑いから夕方にしようか」「午前中は外でいっぱい遊んで、午後はおうちの中で過ごそうか」などと提案して、調整します。子どもがもし「嫌だ!」と言ったら、「でも、そのほうがいっぱい遊べるよ」と説明して、なるべく言葉で理解してもらえるように伝えています。

――そういうときの子どもへの声かけのコツはありますか?

北川 否定の言葉ではなく、肯定の言葉を使って子どもの意見を受け止めることが大切です。すごく暑い日に「外に行きたい!」と言われるとつい「今日は暑いからダメなんだ〜」と否定の言葉を使ってしまいがちですが、まずは「いいよ」と肯定します。「いいよ、外で遊びたいんだね。でも今日は暑いから明日行こうか」というふうに。「おやつ食べたい」と言われたら「いいよ、ごはんのあとね」と、肯定してから、いつなら大丈夫なのかを伝えます。そうすると「これとこれが終わったら大丈夫なんだ」と理解でき、先を見通す力が育ってきます。

大人もそうですよね。旅行に行きたくても「今は忙しいから行けない」と考えるのと、「3カ月したら旅行に行ける!」とでは、前向き度合いが違います。子どもに対しても、今はだめ、できない、ではなくていつだったら大丈夫だよ、と前向きな伝え方をしています。

お話・写真提供/北川真理子 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

自身も3人きょうだいだったから「自分の子どもも3人ほしいと思っていました」と北川さん。「毎日がにぎやかですが、モンテッソーリの考え方を取り入れることで、子どもが自分でできることが増えていき、成長を感じることがとてもうれしいです」と話してくれました。

北川真理子さん(きたがわまりこ)

PROFILE
合同会社コソダチ代表、国際モンテッソーリ協会0-3歳/3-6歳ディプロマ、国際モンテッソーリ協会認知症ケアワーカー、幼稚園教諭、保育士。モンテッソーリの幼稚園や保育園などで10年以上にわたって勤務した後、第1子妊娠中に Instagramで「モンテッソーリアンまりこ」としてモンテッソーリ教育に関する情報発信をスタート。現在はモンテッソーリ教育を学べるオンラインサロン「子育ての学校」の運営も行う。著書に『いちばんていねいな はじめてのおうちモンテッ ソーリ』(KADOKAWA)などがある。 3 児の母。

北川真理子さんのInstagram

北川真理子さんのX(旧Twitter)

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年7月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

『子どもが自分でぐんぐん伸びる まいにちのおうちモンテッソーリ』

モンテッソーリ教育の原則である「子どもの自主性を伸ばし、ひいては知能を伸ばす」ために、日々おうちでできることを写真つきでわかりやすく紹介。3人の乳幼児を育てる著者が、実際に日常生活で取り入れているポイントが満載! 北川真理子著/1705円(KADOKAWA)

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