令和のパパは「育児は楽しい!!」が主流。 一方で、ママが感じる違和感は!?
イクメンはもはや死語。育児をする男性を声高に称賛するのではなく、男性も育児をするのは当たり前の令和の今、育児や夫婦関係においてママ・パパは、どんな悩みを抱えているのでしょうか。たまひよが3000名以上のママ・パパにリアルな本音を聞きました。
8割近くのパパが「育児を楽しんでいる」
令和の現在、育児をする男性を声高に称賛するのではなく、男性も育児をするのは当たり前の時代に突入しつつあります。
そこでたまひよが子育てまっただ中のパパに率直な質問をぶつけてみました。「パパは子育てを楽しんでますか?」今のパパはどのような気持ちで育児に取り組み、男性の育児参加についてどう感じているのでしょうか?※1
なんと8割以上のパパが「育児を楽しんでいる」と回答! 育児を義務ではなく、前向きにとらえているパパが大半を占めていることは、ママにとっても喜ばしいことでしょう。
※1 たまひよのアプリ「まいにちのたまひよ」の利用者計3,330名にアンケートを実施(調査期間2024年6月24日~6月30日)
さらに「パパがもっと子育てを楽しめるようなるため、望むことは?」という質問もしてみました。結果がこちら。
1位 職場の理解が進み、パパが育休や休みを取得しやすくなってほしい
2位 パパの仕事の忙しさが解消され、もっと家庭に時間を割けるようになってほしい
3位 ママとの協力体制をうまく築きたい
1〜3位それぞれの回答に対するフリーアンサーをご紹介します。
パパ育休が取得できたとしても……
1位 職場の理解が進み、パパが育休や休みを取得しやすくなってほしい
「育児中の母親に大変な思いをさせながら働いてもらうより、経済的なゆとりを持たせるべきだと思う。減税などで手取りが増えれば、経済的不安がある程度軽減されるので、心にゆとりが持てて育児を楽しめると思う。ママにゆとりが生まれれば、間接的にパパのゆとりも生まれるのでは」(30代・女性)
「育休が取れても、金銭的な不安があると短期でしか取得できない家庭も出てきます。国による金銭サポートが必要」(30代・女性)
――最大4週間取得できるパパ育休が2022年に創設されました。2025年にはパパ育休を取得しても、通常勤務しているのと変わらない給与分の給付金が支給されるよう検討はされているものの、2024年段階ではパパ育休を取得すると、手取りは8割り程度になるとされています。ダブルインカムの夫婦なら、妻の育休で手取りが減り、育児への支出も増えている状況で、夫の収入も少なくなるのは家計にはかなりの打撃ですよね。
「育休がもっとフレキシブルだったらいいと思う。例えば1カ月の休みだけでなく『15時までの時短勤務を3カ月間』など、選択肢のバリエーションがあった方がいい。時短勤務があれば、仕事復帰する際の負担も和らぐし、パパのサポートが得られなくなるママの不安も軽くなると思う」(30代・女性)
――赤ちゃんの性質が一人ひとり違うように、家庭ごとに育児の方針も変わってきます。まして育児に慣れていない手探りの状態であれば、なおさら画一的な期間ではなく、それぞれの家庭が最適な育休を選べるようバリエーションがあると助かりますよね。
「夫はフリーランスのため育休制度の網からこぼれ落ちており、私がワンオペ育児をしないといけない場面が多々あります。多様な働き方がある時代だからこそ、どんな働き方でも育休が取れる制度を作ってほしい」(30代・女性)
――正社員でも派遣社員でもフリーランスでも、育児をする親という立場では同じはずですよね。
パパも育児をしたくても、休めないのはナゼ?
2位 パパの仕事の忙しさが解消され、もっと家庭に時間を割けるようになってほしい
「夫は、育休を希望すると同僚に皺寄せがいく構造が辛いと話しています。会社も育休を実現させようとしてくれますが、無理やりだと心苦しく、戻りづらい現実があります」(20代・女性)
「夫が自営業で働けば働くほど稼げるため、休もうとしない。会社員以外の制度も整え、育児する時間が取れるよう促す取り組みが必要」(20代・女性)
――子育てに限らず、介護や自身の不調など、いつ何時働けない状況になるか、わかりません。育児中の人もそうでない人も、お互いさまの気持ちで働けるといいですね。
出産前に男性も一通りの家事ができる生活力を
3位 ママとの協力体制をうまく築きたい
「夫も家事が一通りできるといい。子どもが生まれてから、慣れない家事と育児をするのはかなり大変だし、妻が辛い」(30代・女性)
「妻だけが育児をする場面が多くて夫が知らないことが増えた結果、夫婦間で育児に対する価値観の相違が起こりがち。父子手帳も交付し、夫も育児に参加せざるを得ないよう国に義務づけてほしい」(20代・女性)
「妊婦健診があるように、夫も一緒に受診することを義務づけたらいいのでは。任意だと妻からお伺いをたてる形になってしまう」(30代・女性)
「官民問わず男性が参加できるイベントや男性向けの情報発信が少なく感じます。産後に妻からレクチャーせざるを得ない状況は、妻に負担です」(30代・男性)
――自治体の両親学級や企業の育児イベントなどに参加すると、出産や育児を自分ごととして考えられるもの。夫婦で遊びに行く感覚で参加して、学べるといいですね。
「授乳室に男性は入れないので、男性がミルク授乳できる場所を作ってほしい」(30代・女性)
――授乳室は増えているものの、男性が入れなかったり、入りづらい雰囲気も。もう少し授乳室が増えれば子連れでのお出かけも気軽にできそうですね。
こうした意見を見ていくと、育児を楽しむパパが増える一方で社会の仕組みが追いついていないことがよーくわかります。
育児において大切な姿勢は「素直に聞くこと」と「温かく見守ること」
このアンケート結果を受けて、育児を楽しむパパが増える一方で社会の仕組みが追いついていないことが見えてきました。そこで、家事・子育てを楽しみたいお父さんを全力で応援する「NPO法人おっとふぁーざー」代表理事の舘 直宏さんに問題点や解決策などを聞きました。
――回答の1位、2位は社会構造の問題の側面が強いように感じます。社会が変わるよう働きかけるだけでなく、夫婦や家族間でできることはありますか?
「“がんばる”スタンスは負担が大きくて長続きしにくいもの。夫婦で子育てを “楽しむ”気持ちを大切にしてもらいたいです。子育ては長期間に渡って取り組むもの。無理や我慢をせず、“楽しむ”気持ちを夫婦や家族で共有することが子育ての秘訣だと思います」(舘さん)
――回答の3位を実現させるため、夫と妻それぞれが心がけたらいいことや、具体的な行動はありますか。
「子育てや家事が得意なパパも増えていますが、ママからパパが教わることも多いのではないでしょうか。その際、パパは“照れたり、恥ずかしがったりせずに素直に聞く”、ママは“すぐに改善を求めず、失敗しながら上達する姿を温かく見守る”ことを心がけてほしいです」(舘さん)
――「素直に聞くこと」も「温かく見守ること」も基本的な姿勢ですよね。
「“できる”“できない”を問うのではなく、お互いの経験や立場を思いやり、寄り添うことがより充実した子育てライフにつながると考えます。親になると、わからないことを保育士さんなどからアドバイスを受けます。その際に“素直に聞く”力が必要です。子どもは失敗を繰り返しながら成長していきます。その姿を“温かく見守る”ことも必要です。どちらも親として成長していくには必要。その力を夫婦で養ってほしいです」(舘さん)
――以前と比べ、育児を前向きに捉えているパパが増えたと感じますか?
「『NPO法人おっとふぁーざー』の活動を始めた10年前に比べ、イベントへの来場者が増えましたし、子どもとの時間を楽しむ姿が多く見られるようになりました。産前のパパ向け教室では出産や子育てだけでなく育児休業取得の相談も増え、出産や子育てを自分事として向き合うパパが増えていると実感しています。
“男性の家庭進出”が進み、ママの子育ての負担が軽減され、少しでも時間・体力・精神の余裕が生まれれば、子どもにとっても最高の家庭環境だと思います。
『NPO法人おっとふぁーざー』としてもパパの子育て支援や育児休業支援をさらに充実させていくことが、ママの幸せや元気につながると改めて実感しました。男性が子育てや家事を学ぶ場や機会を増やしていくことが求められおり、行政や企業に働きかけていきたいですね」(舘さん)
取材・文/津島千佳、たまひよONLINE編集部
【9/26から!ぜひ投票にご参加ください】
現在たまひよでは、生み育てやすい社会の実現に向けて活動している3つの団体にフォーカスをあてた「子育てのミライ応援プロジェクト」を実施中。応援したいと思う団体を1つ選んで投票してください! 今回お話を聞いた「NPO法人おっとふぁーざー」もエントリーしているので、チェックしてみてください。
<プロフィール>
「NPO法人おっとふぁーざー」代表理事 舘 直宏さん
保育士として17年勤務した後、「NPO法人おっとふぁーざー」を設立し、代表理事に就任。家庭では3児の父親であり、第3子が誕生した際に8カ月の育児休業を取得。保育士と父親の経験や知識を活かし、男性が子育て・家事を楽しんで積極的に関わることができる社会を目指す。男性の家庭進出支援イベントの開催をはじめ、福井県男女共同参画審議会、福井県こども・子育て応援会議などの委員も務め、男性の育児休業取得支援に取り組んでいる。