生後2カ月のときにシングルファーザーになり、今は息子と2人暮らし。「ママはどこ?」と聞かれてしまい…【YouTuber・二か月のパパ】
5歳の男の子・おうきくんを育てるシングルファザーの二か月のパパさん(43歳)。YouTubeでリアルなシングル家庭の子育ての様子を発信しています。二か月のパパさんに、男手一つでおうきくんを育てる現在について話を聞きました。全2回のインタビューの前編です。
生後2カ月で、一人息子のシングルファザーに
――シングルファザーで生後2カ月の息子さんを育てることになった経緯を教えてください。
二か月のパパさん(以下敬称略) 実はもともとシングルマザーの方と結婚して息子が生まれました。妊娠がわかってから出産するまでの間にいろいろなことがあって夫婦でたくさん話し合った結果、お別れすることになりました。
離婚理由が気になる人もいるのはわかっています。私も離婚や親権について話せば悩んでいる人の参考になるのでは、と迷いましたが、やはり公の場で言えば言うほど私の一方的な意見になってしまいます。私にも至らないところがあったかもしれません。詳しくはお話しできませんが、協議の末、親権と監護権を父親の僕が取得し、生後2カ月の息子を男手一つで育てることになりました。
――複雑な事情があるなか、パパさんにとっておうきくんはどんな存在でしたか?
二か月のパパ 僕はずっと子どもがほしいと思っていて、おうきは僕にとって初めての赤ちゃんでした。
生まれたばかりのおうきは、光って見えました。ずっと一緒にいたい、この子を僕が守っていきたいと強く思いました。
――離婚当初、仕事と育児のバランスをどのようにしていましたか?
二か月のパパ 当時、僕は24時間対応のコールセンターの管理職をしていました。遅番の日は23時まで仕事、夜勤の日もありました。離婚した初めのころは両親と同居して、僕が不在の間にお世話を頼んでいたんですが、両親ともすでに70代で高齢です。
0〜1歳っていちばん手のかかる時期で、体力的にも両親に負担をかけてしまうことが心配でした。自分が親として成長するためにも、実家を出よう、と決めました。
子どものために早く帰るには遅番や夜勤はできないので、残念ながら管理職は辞めることに。ただ収入も減ってしまうので、副業を考え始めました。
――現在はどんなふうに仕事をしていますか?
二か月のパパ 実家から自立を考えていたころ、2020年12月から副業としてYouTubeの動画配信を始めました。もともとYouTubeを見るのが好きだったので、子育てしながらの副業として動画編集などを自宅でやろうかな、と思ったのがきっかけです。自分で発信してみたら、それが予想外にうまくいって収益化できました。その状態が半年ほど続けられたので、少しずつ貯金をして、息子が2歳半のときに実家を出て、2人暮らしを始めました。
今はYouTubeをメインの仕事にしています。ほかにも時期によって週3回ほどコールセンターの派遣社員をしています。
――現在の生活のスケジュールを教えてください。
二か月のパパ 息子は幼保一体型の幼稚園に通っています。14時のお迎えまで仕事をして、お迎えのあとは一緒に公園に行って遊んだり・・・、その後帰宅して夕食づくり、夕食、おふろ、寝かしつけ。そしてその後にまた仕事をしています。
「強く生きよう」応援コメントをたくさんもらった
――副業を考えてYouTube発信をスタートしたとのことですが、動画を投稿してみてどのような反響がありましたか?
二か月のパパ YouTubeを始めたときにシングルファザーの方たちからたくさんの励ましや共感のコメントをいただきました。「私もシングル父です。強く生きましょう。あなたの味方は絶対にいます」「父子家庭は本当に大変です。学校行事なども父親の参加率が低く、とくにPTAは苦労した記憶があります」「お父さんのまっすぐな愛は息子さんに必ず伝わると思います。共に頑張りましょう」などのコメントが寄せられました。
こんなに反響があると思っていなかったので、僕自身も驚きました。そして、とってもうれしいコメントが多かったんです。
――シングルファザーとして子育てする中で、孤独を感じることはありますか?
二か月のパパ 実家にいたときはおうきの祖父母がいるのでそこまで思いつめることはなかったけれど、実家を出て、1人で子育てし始めたときに「うわ、寂し!」と感じました。意識して前向きな気持ちでいないと、自分が壊れてしまうな、と危機感があったと思います。
そういうとき、YouTubeがかなり心の支えになりました。こんなにたくさんの人が応援してくれて、息子の成長を一緒に喜んでくれると思ったから頑張れた気がします。それに、僕がネガティブなことを発信したら視聴者さんも心配するんじゃないか、という思いもあって前向きでいられたのかもしれません。
――YouTubeチャンネルにはいつも、視聴者から温かいコメントがたくさん寄せられていますね。
二か月のパパ ありがたいです。3〜4年続けてきましたが、ずっと視聴者さんたちに助けられてきました。子育てで感染症などの大変なことが続くと、心が折れそうになったりすることもあるので・・・。コメントをいただくことが僕自身のモチベーションにもなって、子育てを頑張ってこられたと思います。それに、YouTubeを始めた以上は急にやめることはできない、という使命感もあって続けているかもしれません。
ママはどこ?と聞かれて・・・
――おうきくんにママのことや家族のかたちについてどんなふうにお話していますか?
二か月のパパ 3歳半のころ、突然おうきから「ママはどこ?」と聞かれたことがありました。幼稚園のお迎えでお友だちはママが迎えに来る人が多かったから、不思議に思ったのかもしれません。ママについて聞かれたらどうしようか、僕なりにいろいろ考えていたものの、そのときはうまく答えられませんでした。「パパだけの人もいればママだけの人もいて、うちはパパがママパパ2人分なんだよ」と話したと思います。
その後も半年に1回ほど定期的に気になる時期がくるようで 「お友だちの〇〇くんのママはいるんだよね」「ママがいつも迎えに来るよね」などと確認してきます。でも1度も「ママはいないの?」と聞いてきたことはないです。 ただ、おうきももう5歳で、来年は年長さんです。そろそろママがいたけどお別れしたんだよ、ということを話そうかなと考えています。
でも、僕は2人分の愛情を注いで育てていることに自信をもっているし、息子も2人での生活に慣れているので、「ママが欲しい」とは言わなそうな気がしています。
40代のワンオペ子育てはしんどい!?
――元気いっぱいのおうきくんと過ごしていて、体力的に正直しんどい! と感じることは?
二か月のパパ おうきが成長して体力がついてきたこともあって、今年の夏休みはいちばんしんどかったです。この夏休みは、YouTubeのエピソードを書籍化した『息子が生まれてすぐシングルファザーになった僕の 365日ワンオペ日記』のイベントで7月に上京することが決まっていたこともあり、派遣の仕事も3カ月ごとの更新をお休みしたんです。そこで、幼稚園の夏休みは丸1カ月、おうきを祖父母にも預けずに2人で過ごしてみました。
毎日1日中息子と過ごすことがこれだけ大変だとは・・・。
――どんなことが大変でしたか?
二か月のパパ まず、毎日3食の食事作り。朝ごはんを食べ終わったと思ったらすぐ「おなかすいた」というんです。大人だけだったら昼食は抜いてもいいや、と思いますけど、成長期の子どもの体のことを考えるとそうもいきません。食事が体を作ってこれから成長していくわけですから。同じ食事を3食続けて出せないし、昼はめん類で夜はお肉などルーティンにしてなんとか乗りきりました。幼稚園の給食のありがたみをとても感じましたね〜。
昼から夜までの間はゲームをやったりするんですけど、息子はすぐ飽きて体を動かしたくなるから、サッカーをしたりボクシングをしたり、公園を歩いたり。僕も体力をつけるためにできるだけ体を動かすんですけど、でも子どもにつき合うのはしんどいですよね。僕も43歳で、さすがに年齢を感じました。
いつか息子とラーメン屋めぐりをしたい
――仕事に家事に子育てに、と忙しい中で、自身のストレス発散にはどんなことをしていますか?
二か月のパパ 2週間に1回、買い物帰りのお昼に好きなラーメン屋さんを調べて食べることと、3カ月〜半年に1回くらい地元の友人たちと飲みに行くことです。飲み会のときは実家の両親がおうきを預かってくれます。
やっぱり自分の時間は少ないです。もともとラーメン屋めぐりとサッカー観戦が趣味だったんですけど、ラーメンもたまにしか食べに行けないし、サッカー観戦も1試合全部の時間は見られないのでダイジェストを見ています。でもそれも慣れました。地元の友だちがゴルフや釣りを楽しんでる話を聞くと、うらやましいなとは思いますけど、それは人それぞれだと思って割りきっています。
おうきがもっと大きくなったら、一緒にラーメンを食べに行ったりしたいな、と楽しみにしています。
お話・写真提供/二か月のパパさん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部
二か月のパパさんは、地元で学生時代からの友だちに会うと「高校生みたいなかっこだな」と言われることもあるそうです。「いつもTシャツにジーパンです。自分の服を買う時間はなかなかないですね~」とのこと。
おうきくんのかわいい笑顔の写真からは、二か月のパパさんが深い愛情を持って育てていることが伝わってきます。
インタビュー後編ではおうきくんの急な病気やアレルギー、吃音のことなどについて聞きました。
「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。
『息子が生まれてすぐシングルファザーになった僕の 365日ワンオペ日記 』
生後2カ月でシングルファザーになった新米パパの育児奮闘記。共感必至の子育てネタ満載、シングルファーザー目線のあたらしい子育てエッセイ。二か月のパパ著/1650円(KADOKAWA)
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年9月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。