“秋の味覚”に要注意。子どもに食べさせると危険な食べ物も! 気をつけたい6つの食材【管理栄養士】
収穫の秋、おいしい旬の食材が・・・
生後5~6カ月ごろから始める離乳食。離乳食では少しずつさまざまな食材、味、香りを体験しながら、幼児食に進み、大人と同じような食べ物を食べられるようにしていきます。発達の段階に合わせて食べさせる食材を増やしていくことは、赤ちゃんのそしゃくや胃腸の働きを促し、食べる意欲や好奇心、探究心を育てます。
ただし、赤ちゃん・子どもは口の動きや消化器官などの働きが発達途中で、大人とは違うので、食べさせていいのものと、まだダメなものがあります。赤ちゃん・子どもに食べさせてはいけない秋の食べ物、食べさせるときに注意をしたいものについて、管理栄養士の太田百合子先生に聞きました。
つるつるした球形の「ぶどう」は、のどに詰まりやすくて危険!
夏~秋が旬のぶどうにはいろいろな種類があります。皮をむき、月齢に合ったサイズに切れば、離乳期の赤ちゃんに食べさせても大丈夫です。ただし、粒が大きい種類のぶどうを切らずにそのまま食べさせるのは絶対にやめてください。
【注意が必要な理由】つるつるした球形のものは、のどの奥につまりやすく危険です
粒が大きいぶどうのように、つるつるした球形のものは、のどの奥にするっとはまりこみやすく危険。のどにつまって息ができなくなると、命の危険があります。
赤ちゃん・子どもに粒が大きいぶどうを食べさせるときは、発達状況やそしゃく力に合わせたサイズに切ってからに。4歳までは皮をむいてこまかく刻んだり、4つに切ってから食べさせましょう。粒が小さいぶどうも、赤ちゃんにとってはかみ切りにくい食材なので、注意が必要です。2歳になるまでは刻んでから食べさせましょう。
幼児に食べさせるのは厳禁な、「ぎんなん」
ぎんなんは秋が旬です。大人は、茶碗蒸しの具にしたり、おつまみとして食べることが多いでしょう。ビタミン・ミネラルが豊富で、秋の味覚の1つとして楽しめる食材ですが、食べるのは大人だけにしてください。乳幼児にぎんなんを食べさせるのは厳禁です。
大人用に用意した食べ物であっても、赤ちゃん・子どもの手が届くところにあると誤って口に入れてしまう可能性があるので注意が必要です。
食べさせるのが厳禁な理由は以下です。
【ダメな理由・1】ぎんなんがのどに詰まると、呼吸できなくなる恐れがあります
ぎんなんは誤えんの原因になります。
誤えんとは、食べ物や異物が誤って咽頭と気管に入る状態のこと。乳幼児は大人よりそしゃく力が弱く、気管が狭いため、食べ物や異物が詰まりやすく注意が必要。誤えんによって窒息が起こると、命の危険があります。
【ダメな理由・2】乳幼児は少量でも”ぎんなん中毒”を起こす危険性があります
ぎんなんの怖いところは、誤えんの原因になることだけではありません。実は、ぎんなんには中毒を起こす危険性がある、「4ʼ-O-メチルピリドキシン」という物質が含まれているのです。
大人でも一度に食べすぎると”ぎんなん中毒”を起こし、嘔吐やめまい、けいれんなどの症状が出ることがあります。加熱調理をしても、「4ʼ-O-メチルピリドキシン」がなくなることはありません。食べる量が多いほど、中毒のリスクが高まります。何粒食べると中毒を起こすかは、体質によるので一概には言えませんが、目安として大人が一度に40粒以上食べると中毒を起こす可能性があるといわれています。
赤ちゃん・子どもは少量でも中毒を起こすことがあるため、5歳以下には食べさせないようにしましょう。
秋が旬の「きのこ類」、かみにくいので要注意
きのこ類は、スーパーなどで通年買うこともできますが、多くは秋が旬。ビタミンのほか、腸内をきれいにしてくれる食物繊維もたっぷり。ただ、消化力が未発達な赤ちゃんには、負担になりやすいので気をつけましょう。
「生しいたけ」は独特の風味があり、食物繊維が豊富で加熱しても歯ごたえが残るのが特徴です。歯ぐきでつぶせるようになる10カ月ごろからを目安に、小さく切って食べさせてみても。10カ月未満用のベビーフードにまれにしいたけが入っていることもありますが、ベビーフードのしいたけは水煮を使っていて、その時期に食べられるやわらかさにしているので、食べさせても大丈夫です。「しめじ」も生しいたけと同じく、食物繊維が多くて消化しにくいので、歯ぐきでつぶせるようになるごろが食べさせ始めの目安です。
どちらも離乳食期の赤ちゃんに、こまかく切らずに大きなサイズで食べさせようとすると、かみきれずに丸飲みしてしまいのどに詰まらせる危険性があります。赤ちゃんの発達に合わせたサイズに切ってから食べさせましょう。
また、きのこ類の中には、人体に有毒な成分が含まれる「毒きのこ」も。スーパーなどで販売されているものは問題ないですが、きのこ狩りなどで誤って毒きのこを収穫し、食中毒を起こした事例もあります。大人は多少の嘔吐・下痢で済むようなケースでも、乳幼児には命にかかわる事態になりかねません。きのこ狩りなどで収穫したきのこを乳幼児に食べさせるのは控えましょう。
秋が旬の「くるみ」、近年アレルギーが増えているって知っている?
1年中手に入るくるみですが、秋が旬です。5歳ごろまでの子どもはかむ力が未熟で、くるみなどの固形の木の実類をしっかりとそしゃくできず、誤えんや窒息を起こす危険性があります。この時期までは固形の木の実をそのままの形で食べさせるのは厳禁。
ただ、5歳までまったく口にしてはいけない、という意味ではありません。1歳ごろから野菜や豆腐にペースト状のくるみを混ぜたり、くるみ入りのみそやたれを使ったりして、ペースト状や粉末など誤えんの心配がない形状のものを食べさせてもいいでしょう。
近年、くるみのアレルギーが増えていることから、2023年に食品表示基準が改正され、アレルギー表示が義務づけられる品目(特定原材料)にくるみが追加されました。ただし、アレルギーが怖いからと食べさせる時期を遅くしても、アレルギーの予防にはならないことがわかっています。むやみに避ける必要はありませんが、初めて食べさせるときはごく少量からにしましょう。
甘くておいしい「さつまいもと栗」、食べさせるときの注意点は?
秋が旬のさつまいも。加熱するとやわらかくなり、甘みもあるので子どもに人気の食材の一つでしょう。ただ、ゆでたさつまいもは、おいしくて思わず早食いになり、のどに詰まらせてしまう危険性があります。水分でのどを潤してから、少量をゆっくりと与えましょう。
さつまいもと同じく、秋の味覚として人気の栗。粒が大きいぶどうと同じように、大粒の栗ものどに詰まりやすいので注意が必要。4歳まではこまかく刻んだり、4つに切ったりしてから食べさせましょう。
栗は食べすぎると大人でもおなかがゆるくなることがあります。離乳食の時期には積極的に食べさせる必要はなく、離乳完了期以降に小さく刻んだものを栗ごはんなどにして少量を食べさせるにとどめましょう。
取材・文/たまひよONLINE編集部
「なし、柿などの秋の果物は共通してツルツルしているものなので、赤ちゃんの発達に合わせて加熱したり、すりおろしたり、小さく切ったりしてから食べさせましょう。さんまは骨がのどに詰まりやすいので、よく骨を取り除いてから料理しましょう」と太田先生。どの食材でも、赤ちゃん・子どもの発達状況やそしゃく力に合わせたかたさやサイズに切ってから食べさせることが大切です。赤ちゃん・子どもに厳禁の食べ物は、「食べさせない」ということだけでなく、「赤ちゃん・子どもの手が届くところに放置しない」という点にも注意しましょう。
●記事の内容は2024年9月の情報であり、現在と異なる場合があります。