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子どもの「くるみ」アレルギーが急増。飲食店や保育園での発症例も。思わぬ料理や調味料に使用されることもあるため、注意を【小児科医】

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クルミ白の背景に隔てられたます。クリッピングパスでます。
●写真はイメージです
Tim UR/gettyimages

近年、ナッツ類、とくにくるみが原因食品になる食物アレルギーが増えています。くるみは単体ではなく、思わぬ料理や調味料などに使われていることも多いので、注意が必要です。
「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#43は、「くるみアレルギー」についての情報です。

近年「くるみ」アレルギーが急増しています

保育園や学校の健診に行くと、健康調査票に「くるみ」アレルギーだと記載してあり、給食は除去対応をしている子どもを診ることが増えてきました。
令和2年の医師対象全国調査で、「くるみ」を含んだ「木の実類」のアレルギー患者数が、鶏卵、乳に次いで3番目に多くなったとわかりました。
「木の実類」とは、ナッツ類全体をさしていますが、原因食材の約半数は「くるみ」でした。
初発の原因物質として「木の実類」は、1~2歳で第2位 3~6歳で第1位、7~17歳でも第2位でした。鶏卵や乳に比べて発症時期、発覚時期が遅いのが特徴です。

2025年4月1日から、「くるみ」の表示義務が開始されますが、対象外のものも

この変化に合わせて 消費者庁はアレルギー物質を含む食品の特定原材料表示について、「くるみ」も従来の7品目に追加して表示義務を課すことを決めました。開始は、2025年4月1日です。(7品目とは、乳、卵、小麦、そば、落花生(ピーナツのこと)、えび、かにです)

とは言っても、特定原材料の表示義務が必要なのは、容器包装された加工食品や添加物だけで、外食(ファストフードやレストラン)や弁当、総菜などの店頭での対面販売品や、量り売り、テイクアウト商品は対象外です。
食事や、注文の際は、に「くるみを使っていませんか」と問い合わせることが大事です。

どんな製品に注意が必要なのか?製品ごとに確認が必要です

「くるみ」入りの、ドレッシング・みそ・そばつゆ・食用油(くるみオイル)などは、形態では判断できません。表示義務開始後も確認が必要です。
パンは、工場で作ったものは袋に表示がありますが、店内のベーカリーで焼いたパンには表示されていません。

私のクリニックで経験した事例などを紹介しますので、イメージしてみて注意をしてほしいと思います。

[事例1]夕食後に、ミックスナッツが好物の両親が、5歳になったので誤えんすることもないだろうと「これ、おいしいよ」とすすめて、初めて口にしたらアナフィラキシーを起こして、救急車を呼んだ。(このような例は複数経験)

[事例2]「くるみ」アレルギーと診断されている小学生が焼き肉屋で、野菜にみそをつけて食べたら苦しくなった。みその材料に「くるみ」が入っていた。

[事例3]店内のベーカリーで作られたアップルパイを購入して帰って食べ始めた。「くるみ」アレルギーの小学生が「なんだかかたい粒が入っているよ」と口から取り出したら「くるみ」だった。店に確認したら素材として使っていたと判明。

[事例4]保育園に「くるみ」を殻ごと持ってきた子がいたが、半分に割ったものも持ってきていて、実がむき出しになっていて、「くるみ」アレルギーの園児が触って、アレルギー症状が出た。園が提供する食材からは除いていたが、まさかの出来事だった。

[事例5]大人数の場も危ないです。親族の法要に出席した際、食卓にナッツ類が提供されており、3歳児が手を出して食べてアナフィラキシーを起こして救急搬送された。その子にはのちにエピペンが処方された。

このように、小学校や保育園の健康調査票に書いてあるし、そして除去しているから大丈夫というわけにはいかないくらい、くるみ入り食品がちまたにあふれています。買い物や外食時も気が抜けません。

もしアレルギーが出たらどうする?

1.皮膚症状(赤くなる、じんましんが出る)
2.嘔吐や腹痛、下痢の腹部症状
3.呼吸が苦しくゼイゼイする呼吸症状
4.そして重症になると血圧が下がって気を失う(ショック)
こういった症状は治療が必要です。夜間でも救急受診が必要な場合もありえます。

本当に「くるみ」アレルギー?

推定だけでは診断がつきません。救急受診だけでなく後日に検査が必要です。とくに、ミックスナッツで症状が出たときは、入っているナッツ類や、ピーナッツ(豆類)の検査も必要です。「くるみ」以外のナッツ類アレルギーを持っている子もいます。中には、エピペンの処方を受けたほうが安心な子どももいます。

2025年4月1日に「くるみ」の表示義務が始まりますが、それだけで子どもを守れるわけではありません。買い物や外食の際なども油断できません。アレルギーがあるとわかった場合は、治療法、予防法を、かかりつけ主治医とよく相談して、トラブルを繰り返さないよう気をつけましょう。また、誤えんの心配がなくなってきたから、と誤えんだけを心配するのではなく、アレルギーの可能性も考えて、初めて食べさせる食材は、少量から食べさせるようにしましょう。

文・監修/太田文夫先生

構成/たまひよONLINE編集部

ナッツ類の消費が身近になって、食べる機会が増えていることもアレルギー増の要因かもしれません。「夏休みなどの旅行や帰省で、いつもと違う環境になって、そこで油断して口にしてしまうことも心配です」と太田先生は言います。実家や義実家に帰省する際なども注意しましょう。
また、アレルギーが怖いからと食べさせる時期を遅くしても、アレルギーの予防にはならないことがわかっています。小さいうちからくるみペーストなどや粉末などを食べさせることができるような研究も進められています。

●記事の内容は2024年7月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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