「正月太り、どうすりゃいいの?」SNSで大人気のダイエットアドバイザー・かのまんさんに尋ねたら、予想より斜め上の回答が返ってきた!
自身の人生を漫画化したコミックエッセイ「自分を褒めまくることがダイエットへの近道でした」(原案:かのまん、漫画:あきばさやか)が好評発売中のかのまんさんにインタビューを敢行!前編では「自分を褒めることの大切さ」についてお話を聞きましたが、後編では今の時期ならではのお悩みトピックNo.1の「正月太り、どうする?」を相談してみることに。すると、予想しなかった斜め上の回答をもらうことになり…。笑いあり涙ありダイエッターに対する深い愛情ありの盛りだくさんな後編、どうぞ!
「年末年始で太った?全人類の体重が増えているから、あなたのそれは太ったうちに入りません」
――今回の記事が公開になるのが1月のお正月休み明けなんです。年末年始に太った分って、どうしたらいいでしょう?
かのまんさん(以下敬称略) まず皆さんに伝えたいのが…年末年始は全人類が太るんで、地球規模で見れば太っていないんです。
――え?
かのまん 全人類の平均体重が増えている。だから、相対的に見れば、あなたは太っていないし、万が一、その時期に維持できたとすれば、それはもはや痩せていると言えますね。
――!!(爆笑)考えが斬新すぎるんですけど(笑)。
かのまん あはははは!そんなふうに捉えて落ち込まないでほしいってことです!まずは自分を責めないこと!
年末年始楽しかった、おいしかった。それでいいんですよ。新しい年を迎えて、気持ちを新たに頑張ろうってタイミングでズーンと落ち込んでいたらつらいじゃない?まっさらな気持ちで、また頑張っていきましょう。くれぐれも空いている穴を土で埋めていくような努力をしないでくださいね?
――穴を埋める?どういうことでしょう?
かのまん よく「いっぱい食べちゃったから運動してチャラにしなきゃ」みたいに言いませんか?あれ絶対ダメ。
――え!むしろいいことだと思っていました。
かのまん ダメなの。それをやるとしだいに運動が苦痛になってしまうんですよ。それって要するに「やらなければならぬ」の義務感にがんじがらめになっている思想で。努力が苦痛になってくる。普通に「よしやろう!」でいいんです。
代償行為みたいに、穴埋めしよう、チャラにしようみたいな気持ちでやっていると、“いっぱい食べたらいっぱい動く、いっぱい食べたらいっぱい動く”ともう止まらない。運動脅迫という、心の病気につながってしまうこともあるんです。
そうして実際摂食障害になってしまう人もいます。結構ダイエットって心の病気と紙一重のところがあるんです。みんな自分に関係のない話だと思っているけど、実は身近な話で、沼場にストンとハマってしまうことがある。だって“やらねばならぬ”の思想って脳内豚(※かのまんワード。脳内にある食欲の化身)にむちを打つ行為じゃないですか。自分への罰なんですよ。続けられるわけがありません。
いっぱい食べた分を調節じゃなくて、脳内豚にむちを打つんじゃなくて、肩に手を置いてね「今、いっぱい食べたんだから、エネルギー満タンだろ?グリコーゲン、めっちゃあるぜ?」って。食べた分をパワーに筋肉にしてやる!という気概でやってください!
――なんかやる気がみなぎってきました!
かのまん よく「考え方1つ」と言うけれど、やっていることは一緒なんです。だけど、考え方が違う。筋トレだけじゃなくて、食事管理もそうです。もちろん、やらないといけないことは一緒ですが、自分の考え1つで、それが苦だけじゃない、自分のために、自分を大切にするために、未来の私に感謝してもらうためにやることなんだと思うだけでも、モチベーションがだいぶ変わってきます。
「年末年始という大航海に出た“食いすぎ丸”を帰港させる日を決めよう」
――かのまんさんのお話で、ダイエットのスタート地点でのマインドのあり方がまず違ったんだ、そこが大事なんだということがよくわかりました。
かのまん ここからやっと実践編です。太っちゃったのは太っちゃったでいいんです。正月太りをした私、それが普通。責めない。ここから1歩ずつ階段を上っていく。ちっちゃいちっちゃい階段を上っていくぐらいの気持ちで、あせらず1歩ずつ進めていきましょう。
まず通常の生活に戻って、再始動する日を決めます。まだ戻れていない人は今から決めてください。出港したままの“食いすぎ丸”を港に戻して、体に気を使った食べ物に変える帰港日を決めるんです。そうしないと、年末年始という大航海がいつまでたっても終わらないから!
――“食いすぎ丸!”(笑)。どうしてそんなにおもしろワードばかり思いつくんですか!?
かのまん あははははは!だってさ、「過食」とか言うと嫌な気持ちになりません?「食いすぎ丸、出港ッ!!」と言ったほうが(手を振りながら)「おーい達者でな〜いつか帰って来いよ〜!」みたいになるじゃないですか。言葉1つでも面白がって前向きに考えられるような言い換えをしたほうがいいと思うんです。
――なるほど!食いすぎ丸が戻ってくる日を決めた。その日が来た。次にやることは何でしょう?
かのまん いきなりフルパワーで食事管理したり運動したりしてはいけません。今日からサラダチキン、ゆで卵、玄米とか絶対ダメですよ。
――え!?そういうダイエット、よくやります。
かのまん うーん、それが続くのはできて3日かな。
――ギクッ! 完全に見透かされている(苦笑)。
かのまん だいたい3日で脳内豚の反動、暴動が起こります。「お前、もしかしてダイエットしてんだろ!?(怒)」って脳内豚がキレだすから、最初は食事の量をある程度維持しつつ中身を変えていきましょう。油っぽいラーメンをどんぶりの具だくさんみそ汁に変えるとか、中華麺を豆腐麺に変えるとか。似ているけど、ちょっと違うもので脳内豚をだましだましやっていくんです。
運動も突然ハードにランニング1時間とかやるのはNG。毎朝ラジオ体操をするとかそういうところから始めます。じわじわやって、習慣に変えていけばいい。そうしないと結局継続ができないんです。運動も食事管理も習慣になるのがいいと言われるけど、大変なことから始めても習慣になるわけがありません。
だから簡単にできるラジオ体操!朝のラジオ体操をやったら毎日カレンダーにスタンプを押したりするといいですよ。小学生に戻った気持ちで。そうして朝の10分体操が気持ち良くて当たり前になってきたら、そこで初めて少し内容を変えればいいんです。
「あなたはダイエットを始めたばかりの赤ちゃん。自分を許しながら、継続していこう」
――今、小学生に戻った気持ちでと言われましたが、スモールステップでハードルの低いものから始めるとか、モチベの上がるスタンプとか、子どもにしている工夫を自分のためにやればいいんだ!と気づきました。
かのまん そうそう。私は「ダイエットを始めた人はみんな赤ちゃん」と言っているんです。自分のことを赤ちゃんだと思うってすごく大事!それがベースにあるとできなかったときも「しょうがねえだろう、だって赤ちゃんなんだから」と思えるじゃないですか。
ダイエットを始めて3カ月だとしたら、生後3カ月。バブバブなので、できないのがあたりまえなんです。「生後3カ月にしちゃ、私結構できているほうかな」と思いながらやっていくことが大事だし。赤ちゃんだからおなかすいたら食べちゃうよな、イライラしたら食べちゃうよなと思いながら、やっていったほうがダイエットは継続しやすい。赤ちゃんなのに仕事している!赤ちゃんなのに赤ちゃんの世話している!(笑)って考えたほうが自己肯定感も上がって、余計なストレスもたまらないしね。結局、みんなダイエットが続かないから悩むわけじゃないですか。自分を許しながらのほうが絶対にダイエットは継続できると思います。
――すごく納得するものの、自分を甘やかしてしまうような気がして、抵抗感もあります。
かのまん 「甘やかす」と「許す」は似ているようで、否なるものです。私が伝えたいことも甘やかして、なんでもいいよいいよって意味じゃなくて。あくまで自暴自棄にならないために、ある程度許して前を向く必要があるって伝えたいんです。
年明けに急発進したけど、しだいにブレーキかかってできなくなったときに「でも赤ちゃんですからね」と思っていれば、「赤ちゃんなのにむちゃをしてしまいました…もうちょっと目標を下げてみましょう」とスッと軌道修正ができるはず。
具体的に言うと、週3筋トレするって決めたのにまったくできなかったとしたら、じゃあ何曜日は時間があってできそうだからこの曜日と具体的に決めて、この筋トレメニューだけはやりましょうとか、そういった感じで目標を下げて、できたらステップアップ、できなかったらまた別の方法を考えてと、行ったり来たりを繰り返しながらそのときできることをするほうが継続はしやすいし、気づいたら体のラインが変わっているという結果につながりやすいです。
「あなたの思っている“普通”は幻想。まやかしの普通に苦しめられないで」
――ダイエットを始めようと思ったときに、目標というかこれくらいして普通と思うラインがみんな高すぎるんですかね。
かのまん ダイエットに限ったことではないですね。以前「あなたが思う普通の人、普通のお母さんってどんな人か紙に書いて」というのを、かのまんチャレンジと名づけてやってもらったことがあって。みんな書いてくれたんですね。子どもと公園に週何回行って、体はスレンダーでいつもきれいで、爪(つめ)がうんたらかんたらでって…書いていくと「これ全然普通じゃねぇわ!」って結果になるんですよ!
――笑。そっか!でも確かにそういうイメージが「普通」だと思っていました。
かのまん みんなが考える普通って全然普通じゃなくて、セレブ雑誌に載っているカリスマ主婦モデルなんです。だからその書いた紙をビリビリに破くんですよ。そして今度は今の自分のことをありのままに書く。「掃除ができない」、「よくお総菜を買う」とか。書けたらその上に「これが普通!」って書き込むんです。
――本当だ。それが普通だ!
かのまん そう。みんなが思う普通って幻想、まぼろし・まやかしです。そうして書き出してみないと、みんな“自分の普通”がわからないし、“まぼろしの普通”を追い求めて、常にもがき苦しんで、自分は劣っている、できていないって永遠に思い続けることになる。
だけど、本当は今の自分が普通で、少しでもそこから上がることができれば花丸なんです。自分レベル0から自分レベル100になる戦いをしているんだから。だからこそまず自分の今の普通の状態を否定せず、いいか悪いかでジャッジせず、今はこれが私の普通っていうのを素直に、事実として受け入れる。そこから始めることが大事なのかなと思います。
お話・写真提供/かのまんさん 取材・文/江原めぐみ、たまひよONLINE編集部
パワーワード満載で終始笑いながら首をブンブン縦に振っていた、かのまんさんのインタビュー取材。ダイエットの取り組み方について聞いたつもりが、どの回答も人生の悩み全てに応用できる考え方であることが、印象的でした。
かのまんさんに教えてもらった「自分は赤ちゃん!」という言葉。普段はこんなの全然頑張っていないと思えるレベルでも「赤ちゃんにしてはよくやった!」と速攻で気分が上がったので、おすすめ!2025年はダイエットを始め、「自分は赤ちゃん」の精神で頑張っていきましょう♡
かのまん
PROFILE
1984年生まれ。男の子を育児中のワーキングマザー。産後太りの姿と、食事管理と筋トレで生まれ変わった姿のビフォーアフターをX(当時はツイッター)に投稿したところ、同一人物とは思えないほどの変身ぶりに大反響が起きる。現在、歯科衛生士として働く傍ら、パーソナルジム(オンラインサロンも運営)のリソーレに所属し、ダイエットアドバイザーとしても活躍。著書に『人生が変わる!かのまん整形級ダイエット』『何度でも立ち上がる!かのまんダイエットの戦い方』(いずれも永岡書店)など。
『自分を褒めまくることがダイエットへの近道でした』
原案:かのまん
漫画:あきばさやか
産後のストレスで暴飲暴食がやめられずに激太りした主婦・かのまんが、今のスリムな姿を得るために何が必要だったか、彼女の人生をたどりつつ紹介していくコミックエッセイ。漫画を担当したのは、たまひよの誌面でもおなじみのイラストレーター・あきばさやかさん(かのまんさんのご指名!)。ところどころにダイエットのアドバイスがちりばめられており、いつもダイエットが続かない人こそ読みたい1冊です!
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●掲載している情報は2025年1月現在のものです。