「ママを一人でカフェに!」クリス・ハートさんインタビュー後編
育児と音楽の勉強のため、活動休止を宣言したクリス・ハートさん。インタビュー後編では、育児環境について思うことや、育児中の夫婦円満の秘訣を聞きました。
こちらもおすすめ→パパ目線の育児を描いた『お父さんクエスト』が好評!小山健さんインタビュー
ママをお休みさせて子どもと出かけるパパが増えている?
――クリスさんはどんな家事を担当されていますか?
毎日、家族の朝ごはんを作っています。最近、息子に野菜を食べてもらうためにフードスチーマーを買いましたが、これが本当に便利。ブロッコリーやスイートコーンといった野菜を入れて蒸すだけで、そのままおいしく食べられます。子どもも野菜好きになってくれたようです。料理が苦手な人でも、スチーマーがあれば温野菜を作れるのでおすすめです。スチーマーでの調理なら、野菜の栄養も残るそうですし。オフの日は、朝ごはんから昼寝の時間まで、僕が上の子の面倒を見ています。
――育児に積極的に取り組み始めて、気づいたことはありますか?
あらためて、お父さんとお母さんの(存在の)大切さがわかりました。僕の両親は、僕が2歳の時に離婚しましたが、それでも父はずっと僕をサポートしてくれていました。週に一度は会うことになっていたのですが、あの時間がとても大切だったんだな、と今になって思います。仕事も育児も頑張る父を見て「僕もああいう父親になりたいな」と思いましたし。
――日本人男性は、育児に積極的に参加していないと言われます。このことに関してはどう感じますか?
確かにそういう声はありますよね。でも最近東京で、子どもと二人で出かけているパパ、増えていますよ。僕が見たところだけかもしれないけれど、自然に変わっていくように思います。これからは、「男だから、女だから」というくくりではなく、それぞれの家族が自分たちにとっていちばんいい方法でやっていくと思います。
――日本の育児環境についてはどう思われますか?
保育園が不足していると言われるけど、アメリカよりもまだまだ日本のほうがいいですよ。アメリカにはそもそも保育園のシステムがないので、生まれてすぐベビーシッターや家族などに預けて、産後1カ月くらいで仕事に復帰するママも多い。この時期の子どもにとって親の存在は大切なのに、一緒の時間をなかなか作れない人が多いんです。
それと僕が「日本で子育てができてよかった」と思えるのは、妊娠中からのサポートがしっかりしていることですね。どこの病院でも「毎月この日に来てください」とか、「この検査をしてください」というふうに案内してくれるので、スムーズに出産できたと思います。日本のような国民皆保険制度がないアメリカだと、全部自分でフォローしないといけない。救急車やベッド代などの医療費は高額で、出産費用が300万円もかかるケースもある。入院代が高いからと、出産翌日に家に帰る母子もいますが、それは赤ちゃんの安全を考えるとよくありません。アメリカがシステムを変えるべき時がきている一方で、これだけ何でも用意してくれている日本はすごいと思いましたね。
ママが1人になる時間を作ってあげよう
――復帰はいつごろとお考えですか?
まだ決めていません。学校のプログラムも2年ありますし、子どものこともあるので、ゆっくりと自分のペースでやろうかなと思っています。
――育休中に、家族で出かけたい場所はありますか?
妻からは海外旅行に行きたいというリクエストをもらっていますが、フライト時間が長いので子どものことを考えるとまだ難しいと思っています。下の子がもう少し大きくなったらチャレンジしようかな、と。
とはいえ、息抜きをしたい気持ちはすごくわかるので、妻が一人になれる時間を作れるように頑張るつもりです。上の子だけなら僕も一緒に出かけられますし、下の子が離乳食を食べられるようになれば、今よりもサポートできるかな。
――最後に、育児中のパパの皆さんにメッセージをお願いします。
ファンの方ともよく育児の話をするのですが、ずっと子どもを見ているだけの生活が続くと、ママのストレスも相当たまるようです。それは子どもにとってもよくないことだから、パパは、ママがカフェなどに行ける時間を作ってあげるといいんじゃないでしょうか。リフレッシュすることでママはまた頑張れるから、パパが手伝うことで、結果的にパパ自身も楽になるはずです。自分一人だけの時間、夫婦二人だけの時間を大切にしてください。
それに加えてもう一つ大切なのは、『ありがとう』という言葉で感謝の気持ちを伝えること。自分が言ったからといって、同じように言ってもらえると期待してはいけませんけどね(笑)。
関連:ママも共感!イクメンパパが描く子育て絵日記
インタビュー中、クリスさんから伝わってきたのは、相手の気持ちを察する力。クリスさんの歌声に人々が感動する理由も、そこに隠されているのかもしれません。パパとして、アーティストとして、育休でひとまわり成長したクリスさんが戻ってくる日が今から楽しみです。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
■Profile/クリス・ハート
アメリカ・サンフランシスコ出身。中学生のときに日本の文化に興味を覚え、13才の夏休みに日本にホームステイを体験。大学でも日本語を専攻し、2009年に日本に移住。2013年に歌手としてメジャーデビュー。2017年に『こころのうた~クリス・ハートベスト』をリリース。