寒さに負けないからだづくり!冬の養生のポイントや取り入れたい食材を解説
「養生」という考えを知っていますか? 東洋医学では、季節にあった食生活や生活習慣を実践することで、体調不良を予防できると考えられています。昔から伝わるこの「養生」という考えは、今日においても健康管理に役立てることが可能です。冬を元気に過ごすため、今回は冬の養生について紹介します。
養生とは
養生とは、東洋医学において、食事や生活習慣に気をつけて病からからだを守る考え方のことです。
冬は、冷えによってエネルギーや血の巡りを悪くする「寒邪(かんじゃ)」や、乾燥によって喉や鼻の粘膜にダメージを与える「燥邪(そうじゃ)」があわさることで、体調を崩しやすくなると考えられています。
また、東洋医学における肝(かん)、心(しん)、脾(ひ)、肺(はい)、腎(じん)の5つの臓腑のうち、冬は冷えによって「腎」が弱まりやすい季節です。「腎」は、生殖活動やホルモンの分泌など、人間の成長や老化に深く関与しており、生命の源である精を貯蔵する働きを担っていると考えられています。「腎」が弱まると、からだの生命力が衰え、元気がでなかったり老化が進んだりしてしまいます。
そのため、冬は「腎」を冷やさないよう食事や生活習慣を見直すことが大切です。(※1)
冬の食養生のポイント
冬の食養生のポイントはからだを温めることです。食材選びや調理方法を工夫してからだを冷やさないようにしましょう。
温性の食材を取り入れる
食材は5つの食性(寒性・涼性・平性・温性・熱性)に分類されており、寒性と涼性はからだの熱を冷ます性質を、温性と熱性はからだを温める性質を、そして平性はそのどちらにも属さない性質を持っています。
なかでも、冬におすすめなのは、内臓を温め、からだの動きを活発にする温性の食材です。寒い場所で採れる、冬が旬、色が濃いなどの特徴があるので覚えておきましょう。(※2)
食材は火を通して調理する
からだを冷やす食材でも、加熱調理をすることで食性を変化させることができます。そのため、食養生において食材の調理方法は重要なポイントです。
たとえば、大根は涼性の食材ですが、加熱することで食性を変化させることができます。冬はできるだけサラダなどのように食材を生のまま食べるのを避け、茹でる、焼く、煮るなど火を通して食べるようにしましょう。(※2)
冬の食養生で取り入れたい食材
一見難しそうに思える食養生ですが、食材や調理方法を工夫するだけなので誰でも簡単に始めることができます。冬の食養生におすすめの食材を紹介するので、ぜひ毎日の食事の参考にしてください。
温性の食材
温性の食材はからだを温めるため、寒く冷えやすい冬にぴったりです。蓮根、人参などの根菜類、サケやブリなどの旬の魚、生姜やにんにくなどからだを温める薬味を取り入れましょう。(※2)たとえば、温性の食材をたくさん使った鍋やスープにすると、からだを内側から温められます。
黒い食材
東洋医学では、「腎」の機能を高める食材として「黒い食材」がよいとされています。たとえば、黒ごま、黒糖、黒豆、黒米、海藻類などが黒い食材として挙げられます。白米を黒米の入った雑穀米に代えたり、黒豆茶を飲んだりして、日々の食事に色が黒いものを取り入れてみましょう。(※1)
食事以外の養生法
冬の養生では、食事に加え、生活習慣を見直すことも大切です。
東洋医学には、「冬は夜は早く寝て、朝はゆっくりと起きるのがよい」という教えがあります。今の世の中でその教えの通りに行動するのは難しいですが、冬の間は早めにベッドに入り、長めの睡眠をとってからだを休めることで、体調を崩しにくくなりますよ。
また、生活のなかでこまめにからだを動かす習慣をつけることも大切です。休みの日にまとめて運動するよりも、1日のなかで軽度な運動をいくつか取り入れるのが効果的。家事をしたり、散歩をしたりなど、無理なくできる強度の運動を行いましょう。
今年の冬は養生で健やかに
東洋医学に昔から伝わる養生は、今の時代においても健康管理の参考になる考え方です。冬の間は、からだを冷やさぬよう食事や生活習慣に気をつけることで、健やかに過ごすことができます。今年の冬は、養生を通して自分のからだと向きあってみるのはいかがでしょうか。
PROFILE
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):
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