育休をとったパパに直撃!男性育児休業のメリット・デメリット
厚生労働省の「平成27年度雇用均等基本調査」によると、男性育児休業取得率は2.65%で前年の調査より0.35ポイント増加。1996年度の統計開始以来、過去最高になりました。
対して、女性の育児休業取得率は81.5%。育児休業を取得する期間は、女性の場合「10カ月以上12カ月未満」が31.1%と最も高く、次いで「12カ月以上18カ月未満」が27.6%でした。
男性の場合は、「5日未満」が56.9%と最も高く、次いで「5日以上2週間未満」が17.8%。6カ月以上の育児休業を取得した男性はわずか3%と、取得率・期間ともに男女の開きが大きいことがわかります。
厚生労働省は「2020年までに男性の育児休業取得率を13%にする」という目標を立てていますが、現状の数値を見ると達成は難しいと考えられています。
男性の育児休取得率が低いのはなぜなのか? 実際に育児休業を取得したパパ2人にメリットとデメリットを聞きました。
「夫婦で子育てできるのがメリット」~愛知県在住の4児のパパ
「パパも時間を気にせずに一緒に子育てができて、子どもたちの成長を間近で見られるのが男性育児休業の最大のメリット」と教えてくれたのは、愛知県在住のTパパ。Tさん一家はもうすぐ3才になる三つ子と、11カ月になる男の子の6人家族。三つ子が生まれた当時は男性が育児休業を取得できることを知らず、末っ子が生まれて初めて取得し、現在も育児休業中だそうです。期間は1年。職場は男性が育児休業を取得した前例がなく、取りやすい環境ではなかったとのことですが、「4人の子育ては大変だから」と理解してくれたそう。
「夫婦で相談しながら子育てができてメリットのほうが多いです。実家の両親もまだ現役で働いているので、気軽に頼ることができず、三つ子の子育ては本当に大変でした。三つ子が生まれた当時も『男性でも育児休業が取れる』ということを知っていたら、取っていたと思います。混雑する土日を避け、平日に家族でお出かけできるのもいいですね」とママ。
対して、デメリットは「しっかりしていないとダラダラしてしまうこと」だそうです。以前はパパの通勤のために、夫婦で毎朝同じ時間に起きていたけれど、育児休業中は自分たちで気をつけていないと、つい寝坊してしまうなど生活リズムが崩れがちなんだとか。
「3週間の育児休業のおかげでお世話が習得できた」~横浜在住のパパ
神奈川県横浜市在住のSパパは、赤ちゃんが生まれて1カ月後に3週間の育児休業を取得。「勤務先は大きな会社ではなく、男性が9割。以前に男性で育児休業を取った社員はいたものの、取りやすいという環境では決してありませんでした」。ただ、育児休業を取得したいと伝えたところ、期間が短めだったこともあり、快く受け入れてもらえたそうです。
里帰り出産も考えましたが、ママが離島出身だったため、病院などの施設が充実している横浜市内で出産することに。産後1カ月はママのお母さんが育児の手伝いに来てくれたそうです。
育児休業取得後に感じたメリットは、やはりじっくり育児に向き合えたこと。育児休業中に、おむつ替えや着替え、おふろなど、基本的なお世話の段取りをしっかり覚えられたそうです。娘さんが4カ月になった今は、授乳と授乳の間の時間に2人だけでのお出かけもへっちゃら。当然、2人でのお留守番もできて、ママに1人の時間を作ることができるんだとか。「娘は3カ月で哺乳びんを拒否して、今は母乳オンリー。そのため、授乳はできませんが、それ以外のお世話はすべてママの次にできますよ」とSパパ。
育児休業をとることで、ママとたくさん話をするなど時間をかけてママの心や体のケアができたのもよかった点だそう。「ママが出産直後に比べて穏やかになった気がします。やっぱりママが精神的に安定していることがいちばん。それが家庭を明るくするんです」
デメリットは収入。手続きの複雑さや認知度の低さも気になるポイント
Sパパがデメリットだと感じたのは収入面。「育児休業給付金が出るだけでもありがたいことは理解しています。ただ、これから娘にもどんどんお金がかかることを考えると、わが家の家計には余裕がなく、長期間育児休業を取るのは無理だと判断しました」。
育児休業中に出る育児休業給付金は、休業開始前の賃金の50%(最初の180日間は67%)です。男性が育児休業を取得する事例が少ないため、職場への説明が難しいことや、育児休業給付金をもらうための手続きが複雑なこと、「男性でも育児休業を取得できる」ということの認知度の低さも、取得を検討したときから気になっていた点だそう。
TパパもSパパも育児休業を取得したことで、時間に余裕を持って子どもとママと向き合うことができ、家族の絆が深まったと感じるんだとか。
「育児休業は権利なので、ぜひ多くの人に取得してほしい。ただ、男性の育児休業については取得しにくい風潮があるのも確か。それぞれの職場で少しずつでもいいし、期間が短くてもいいから、男性が育児休業を取る事例を増やしていってほしい。その繰り返しによって男性でも育児休業を取りやすくなってくる。そのことが今後、子育てをする若い世代のためになると思っています」とSパパ。
2人のパパが声を大にして言っていたのは「男性の育児休業はデメリットよりもメリットのほうが圧倒的に大きい」ということ。男性の育児休業は、認知度の低さや職場の理解、収入面など壁が高いのが現状ですが、取りたいと思ったパパが当たり前のように取得できる社会になるといいですね。(取材・文:ひよこクラブ編集部)
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。