赤ちゃんの味覚はいつから?子どもが食事をよく食べるようになる裏ワザとは!?
PicturePartners/gettyimages
1日3回の食事が軌道に乗ると、急に食べなくなったり、特定のものを嫌がったりする、いわゆる“中だるみ”に突入する子がいます。また、なかなか食べる量が増えない小食ちゃんも。「どうしたらパクパク食べてくれるの?」とお困りのママ・パパに、ヒントになる情報を入手。日本うま味調味料協会の笠倉さんに取材しました。
関連:食べない、食物アレルギーが心配などの離乳食の悩み、解決します
うま味は母乳や羊水にも含まれている!
子どもが食事を食べない理由は、いったい何なのでしょうか? もしかしたら、「おいしさ」にあるかもしれません。
「人間がおいしさを感じるには、味、見た目、食感、温度、雰囲気、体の健康など、さまざま要因があります。その中でも、最も重要とされるのが“味”です。
味には、“基本味”といわれる、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つがあります。
その中で、子どもが好むのが甘味とうま味。とくに、うま味成分は母乳や羊水にも含まれていて、子どもにとっては生まれる前から慣れ親しんだ味です」(笠倉さん)
この“うま味”を上手に使うことが、子どもがよく食べてくれるようになる近道といえそうです。
味によって、赤ちゃんの表情や反応はどう変わる?
赤ちゃんの味覚に関する、こんな実験結果があります。(データ提供:NPO法人うま味インフォメーションセンター)
苦味・酸味は拒絶、甘味には?
生後4ヶ月の赤ちゃんに、苦味の溶液を口に含ませたところ、拒絶するしぐさを示しました(上写真)。
上の写真は、酸味に対する反応。顔をそむけて「ノーサンキュー」。
一方、甘味の溶液を与えると、おだやかな表情に。
野菜スープにうま味を加えると…
次に、野菜スープを与えたところ、赤ちゃんは少し顔をしかめて、あまり飲もうとしませんでした。
一方、うま味を加えた野菜スープ(野菜スープにうま味成分として0.1%のグルタミン酸ナトリウムを添加)では、おだやかな表情になり、積極的に飲みました。
ただの野菜スープでは野菜の苦味が感じられるため、赤ちゃんはうま味を加えたスープのほうをより好むことがわかります。
******
*本実験は J・E・シュタイナー博士による実験方法に基づき、専門家の監修のもとで実施しました。
乳児は塩味の感度が成人に比べて低く、健康への影響が懸念されるため、塩味をあたえる実験は実施していません。
*参考:J.E Steiner et al., (1987) ©Umami Information Center
******
うま味調理料で手軽にうま味をアップ!
では、どうやってうま味を食事に加えればいいのでしょうか?
「以下の食材にうま味が多く含まれていますので、食べられる時期が来たら、取り入れてみるのもいいでしょう」(笠倉さん)
うま味が多く含まれる食材
・トマト
・玉ねぎ
・ブロッコリー
・アスパラガス
・昆布
・チーズ
・鶏肉
・豚肉
・牛肉
・いわし
・かつお節
・干ししいたけ など
昆布、かつお節、干ししいたけは、だし汁として利用できるので、手軽にうま味をプラスできますね。
もっと手軽にうま味をプラスするには、だし汁の代わりにうま味調味料を使う手も。
「うま味調味料は、子どもの食事に向かないイメージを持つママ・パパもいるかもしれませんが、乳幼児にも安全であることが確認されています。
実は、うま味調味料の原料は、さとうきびなど自然の農産物。製法は、みそやしょうゆ、チーズなどと同じ発酵法です。さとうきびなどの糖分を用い、発酵菌の力を利用してつくられるのが、うま味調味料。
うま味調味料の主成分であるグルタミン酸は、たんぱく質のもとになるアミノ酸なので、母乳や私たち人間の体内はもちろん、植物や動物に広く存在する物質です。
また、うま味調味料に含まれる塩分(ナトリウム)は食塩の1/3程度。さらに食塩に比べると、使用する量ははるかに少なくてもじゅうぶんです。ごく少量でも食材のうま味を引き立てたり、野菜の苦味をやわらげたりする効果があるので、食べ物をおいしくするのに役立ちます」(笠倉さん)
関連:保育園に学ぶ!”よく食べる”離乳食のための環境作り&上手な食べさせ方
子どもの食べない悩みは、ママ・パパにとってつらいもの。思いつめるその前に、どうしたら食べてくれるか、あれこれ楽しみながら試してみませんか? そのときに、ぜひうま味を意識してみて。うま味調味料で手軽にうま味をアップしても。スープなどにほんのちょっと加え、子どもの食欲を刺激してみましょう。「食事=おいしい」と思ってもらうことが、悩み解決の突破口になるかも!?(取材・文/ひよこクラブ編集部)
■取材協力:日本うま味調味料協会
■協力・写真提供:うま味インフォメーションセンター