サプリメントの摂り過ぎはNG!過剰摂取による影響や注意すべきサプリメントを薬剤師が解説
サプリメントは健康維持に役立つ一方で、過剰摂取には注意が必要です。飲み過ぎると調子がよくなるどころか、深刻なトラブルにつながることもあります。今回は、サプリメントの過剰摂取による悪影響やとくに過剰摂取に注意が必要なサプリメント、安全な摂取方法を薬剤師が解説します。
サプリメントの過剰摂取による影響
サプリメントは、健康維持や美容のために手軽に栄養を補える便利なアイテムです。しかし、摂り過ぎると健康を損なうことがあるので注意が必要です。
サプリメントは錠剤やカプセルなどの形状で手軽に摂取できるうえ、食品のような味わいや食べ応えがないので満腹感を得られません。そのため、つい「あと1錠くらい多く飲んでも大丈夫かな?」などと考えてしまいがちです。
しかし、過剰摂取するとおなかの不調や脱水症状が起きたり、腎臓や肝臓に負担がかかったり、精神状態が不安定になったりするおそれがあるため、自己判断で量を増やしてはいけません。(※1)
サプリメントはあくまで補助的なものであり、1日の摂取目安量を守ることが大切です。
過剰摂取を注意すべきサプリメント
過剰摂取にとくに注意が必要なサプリメントについて解説します。
脂溶性の栄養素
脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、Eなどは、体内に蓄積しやすい性質があります。そのため、これらを含むサプリメントを飲み過ぎると過剰症による食欲不振や吐き気、頭痛などが起こるリスクがあるので注意が必要です。
たとえば、ビタミンAの摂り過ぎは頭痛をもたらし、慢性的に過剰摂取した場合には肝障害や脱毛、皮膚の落屑(らくせつ)、骨密度の低下、筋肉痛などが起こります。(※2)また、ビタミンDの過剰摂取は高カルシウム血症を引き起こし、腎臓や心臓に悪影響を与えるおそれがあります。(※3)
なお、ビタミンEは摂取したうちの3分の2ほどが便から排出されるので、比較的体内に蓄積しにくい脂溶性ビタミンです。しかし、サプリメントで極端に大量に摂取した場合には、過剰症になる可能性があります。(※4)
ミネラル
カルシウム、鉄、マグネシウムなどのミネラルは、過剰に摂取すると体内のミネラルバランスが崩れて、嘔吐や下痢、肝臓や腎臓の異常などの健康被害をもたらすことがあるので注意しましょう。
たとえば、カルシウムを過剰摂取すると、高カルシウム血症や尿路結石、便秘、軟組織の石灰化などを引き起こす可能性が高いです。(※5)また、鉄は長期的に過剰摂取した際に鉄沈着症を発症するおそれがあります。(※6)
なお、マグネシウムは摂り過ぎた際に尿から排出されるため、通常の食事で過剰症になることはほとんどありません。しかし、サプリメントの過剰摂取や腎機能の低下時には、高マグネシウム血症による下痢や吐き気、心電図異常などが見られるおそれがあります。(※7)
サプリメントの過剰摂取を防ぐ方法
サプリメントの過剰摂取を防ぐための2つのポイントを解説します。
1日の摂取目安量を守る
サプリメントの過剰摂取を防ぐためには、パッケージに記載された摂取目安量を守ることが欠かせません。効果を早く実感したいからといって、自己判断で飲む量を増やすのはやめましょう。
また、効果が実感できない場合は体質に合っていなかったり、不調の背景に別の疾患などが隠れていたりする可能性があります。一定期間飲んでも効果が実感できないときは、増量するのではなく、サプリメントの種類を変える、医師や薬剤師に相談するなどの対処が必要です。
サプリメントの摂取状況を記録する
サプリメントの過剰摂取を防ぐためには、摂取状況を記録することも大切です。サプリメントの種類や飲んだ時間、量などを記録すると、飲み忘れや重複摂取を防ぐことができます。食事内容も記録すると、特定の栄養素の過剰摂取や、食品との飲み合わせが悪いサプリメントの摂取を避けることができます。
記録はノートやスマホアプリなど、自分に合った方法で行いましょう。記録を定期的に見返すと摂取状況を把握しやすくなり、より安全にサプリメントを活用できるようになります。
サプリメントを安全に活用しよう
サプリメントを過剰に摂取すると、からだへの悪影響になる可能性があります。とくに、脂溶性の栄養素やミネラルは、過剰摂取が重篤なリスクにつながるおそれがあるため注意が必要です。摂取目安量を守って、自身の摂取状況を記録しながら正しくサプリメントを活用しましょう。
<参考文献>
※1 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報「健康食品をお使いの方へ~過剰摂取の危険性~」
※2 厚生労働省「1-6ビタミン」
※3 公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンDの働きと1日の摂取量」
※4 公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンEの働きと1日の摂取量」
※5 公益財団法人長寿科学振興財団「カルシウムの「働きと1日の摂取量」
※6 公益財団法人長寿科学振興財団「ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量」
※7 公益財団法人長寿科学振興財団「マグネシウムの働きと1日の摂取量」
PROFILE
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010132&utm_source=tamahiyo&utm_medium=referral&utm_campaign=250426