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「前日まで元気だった妻、ある朝目を覚まさなかった」。突然、生後8カ月の双子の女の子を1人で育てることになったシングルファザー【体験談】

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双子の出産直後。しなみあパパさんの愛娘・しなちゃんとみあちゃん。

2021年に結婚し、2023年、女の子の双子が生まれたしなみあパパさん夫婦。ところが、2023年11月8日の朝、双子の母である妻は目覚めることがなく、帰らぬ人ととなりました。しなみあパパさんは、ある日突然、シングルファザーに。生後8カ月の双子の子育てを1人ですることになった思いを聞きました。
全2回のインタビューの前編です。

妊活に苦労し、人工授精で双子を授かる

しなみあぱぱさんと妻の結婚式の様子です。

――しなみあパパさんは2021年に結婚されたそう。奥様はどんな人でしたか?

しなみあパパさん(以下敬称略) 妻は自分の意見をしっかり言ってくれる、まっすぐな気持ちをもった人でした。
僕も妻も、子どもが大好きでした。2021年に結婚し、すぐにでも子宝に恵まれたらいいなと思っていたんです。
でもしばらく様子を見たものの、なかなか授からなくて・・・。妊活がうまくいかず、泣いている妻を見るのは、僕もつらかったです。

自己流の妊活では難しそうだと判断し、結婚して1年半くらいで病院に行きました。医師の指導のもとタイミング法を試し、その後人工授精を始めました。2022年から人工授精が保険適用されるようになった、そのタイミングでのスタートだったことを覚えています。
2回目くらいの挑戦で、無事に妊娠することができました。妻も僕も大喜びでした。
人工授精に取り組んでから、わりとスムーズに妊娠しました。だから妊活に1年半も時間をかけるのではなく、もっと早く病院に行けばよかったなあと2人で話したことを覚えています。

――おなかの赤ちゃんが双子の女の子と知ったとき、どう思いましたか?

しなみあパパ すごくうれしいのとびっくりしたのと「これから大変だ!」といういろんな気持ちがあふれそうになりました。
一方で、もしかしたら双子かもしれないという気持ちも少しだけあったんです。というのも、人工授精を受ける際、いろいろ調べたところ、双子の妊娠確率が上がる可能性があるということを知ったからです。

もともと、妻も僕も「子どもは2~3人欲しいね」と話していました。
もし授かったのが1人だったら、2人目の妊活をすることになったと思います。もう一度妊活するとなると、また数年かかりそうだし妻に負担がかかってしまう・・・と心配していました。一度に2人授かったのは、すごくうれしかったです。双子は一卵性でした。

帝王切開で双子を無事出産

産まれたばかりのしなちゃんとみあちゃん。

――出産の様子はいかがでしたか?

しなみあパパ 双子の出産は帝王切開が一般的だと思います。妻は「経腟分娩で産みたい」と希望し、医師とも相談していました。出産直前まで頑張りましたが、「これ以上は体への負担が大きい」と言われ、帝王切開となりました。出生体重は長女のしなは2466 g、二女のみあは2140 gでした。

生まれたばかりの双子に会ったときはすごく感動しました。「無事に生まれてくれてありがとう」と思い、頑張ってくれた妻にも感謝の気持ちでいっぱいでした。

――産後の様子を教えてください。

しなみあパパ 妻は里帰り出産でした。産後、半年くらい実家に戻っていました。周囲に聞くと、里帰りは1カ月くらいが一般的なのかな?と思いましたが、うちは双子ということもあり、ずいぶん長い間お世話になりました。妻の両親は「双子だとお世話も大変だから、しばらくうちにいらっしゃい」と言ってくれたんです。
妻の実家は、僕たちが住んでいるところから車で10分くらいのところにあります。

僕は仕事が終わったあとや、休みの日など、週2~3回は妻と子どもたちに会いに行っていました。妊娠前、妻はトリマーとして働いていましたが、妊娠8カ月くらいまで働き、産休と育休を取得していました。

――しなちゃん、みあちゃんの名前はどのように決めましたか?

しなみあパパ 僕と妻がそれぞれの子どもの名前を決めました。長女である「しな」は僕が決めました。家でミニチュアシュナウザーという犬種の犬を飼っているんですが、この犬種はよく「シュナ」と略されているんです。その響きが好きで、そこから「しな」としました。
妻は昔から女の子を授かったら「みあ」と名づけたいと考えていたようです。
結果的に「しな」「みあ」と子音が一緒で、双子っぽい雰囲気になったと思います。

いつもと変わらぬ日だったはずなのに・・・目を覚まさなかった妻

お昼寝をしている1歳ころのしなちゃんとみあちゃん。

――2023年11月8日の朝、奥様は起きてこなかったそうです。どんな状況だったのでしょうか?

しなみあパパ 前日の7日、僕は仕事に行き、妻は家で子どもたちの面倒を見ていました。いつもと変わらない1日でした。
妻が長女・しなの目の様子が気になり、病院に連れて行ったようです。目薬をさすのがとても大変だったらしくて。仕事中の僕に「しながすごく泣いているから、今日は早く帰ってきてほしい」というLINEが届いていました。
僕が妻のLINEに気づいたのは妻が送ってくれた2時間後くらいです。仕事が終わったときでした。「これから帰るけど、大丈夫?」と送りました。妻からは「とりあえず大丈夫だよ」と返事がありました。

僕が帰宅すると、妻からは「やっと子どもたちが寝てくれたー。大変だったー」というLINEが届いていました。寝かしつけを終えた妻は、子どもたちと一緒に寝室にいました。
僕としては、ちょっとでも妻と娘たちの顔を見たいなと思ったんです。でも、もし寝室に入って子どもたちを起こしてしまったら、もう一度寝かしつけをしないといけなくなります。それは大変だと思い、その日の僕は寝室の隣の部屋で眠りました。

仕事が残業になり遅くなったときには、そのようにすることが多かったんです。
振り返ってみると、このときに部屋をのぞきに行ったり、一緒の部屋で寝たりしていれば、妻の異変にすぐに気づけたのではないかと思うんです。悔いばかりが残ります。

――翌朝の様子はいかがでしたか?

岡田 仕事に行くため起床すると、子どもたちがすごく泣いていたんです。妻は眠りが浅いタイプで、ちょっとした音でもすぐに目を覚ましていました。
だから子どもたちが泣いているのに寝ているなんてめずらしいと思ったんです。
7時ごろ寝室に入り、妻に声をかけたのですが、まったく反応がありませんでした。そのときも、まだ異変に気づきませんでした。

「どうしたの?」と、近づいて肩をたたいて起こそうとしました。すると、妻はうっ血しているような、紫色のような顔色をしていたんです。あきらかに様子がおかしく、そこからの僕はパニック状態でした。とにかく救急車を呼んだのですが、病院に運ばれた時点で、妻はもう亡くなっていて・・・。

――いつもと変わらない生活を送っていたのに、突然のことにショックだったと思います。

岡田 まったく信じられず「夢でも見ているのかな」という気持ちでした。これからまだ赤ちゃんの娘たちをどう育てていったらいいんだろう・・・とも思い、ぼう然としました。

でもあの朝、娘たちが泣いてくれて本当によかったです。
もし静かだったら、疲れているであろう妻を起こすのがかわいそうだと思い、声をかけなかったはずです。
そうしたらもっと発見が遅かっただろうなと・・・。おそらく、仕事を終え、帰宅してから状況に気づくことになっていました。そうなっていたら妻だけじゃなく娘たちも大変だったと思います。
だから、あのとき子どもたちが泣いてくれたことだけは、本当によかったと感じています。

――原因はわかったのでしょうか?

岡田 「全身性炎症反応症候群」が原因だったと言われました。それまでまったく聞いたことのない病名でした。細菌感染、外傷や出血性ショックなどにより、全身に急性に炎症反応が起きた状況だったとのことでした。直前までいつもと変わらない様子で、急に倒れてしまうそうです。「敗血症」といわれる病態と似ているらしいです。
妻も、前日まで元気でした。持病などもまったくなかったんです。

振り返ってみれば、5日くらい前に「風邪をひいたかもしれない」と言っていました。だるさなどを感じていたのかもしれません。病院に行き風邪と診断され、薬を処方されていました。その薬を飲んで「だいぶよくなった」などと話していました。

ただ、この風邪の症状と全身性炎症反応症候群に関連があるのかはわかりません。妻の体調で思い当たるのは本当にそれくらいです。

「当たり前の日」は奇跡のようなことだと実感

しなちゃんとみあちゃんは元気いっぱい成長しています。

――本当に突然の出来事だったのですね。

しなみあパパ 妻とは、この先もずっと一緒に生きていくと思っていました。しなとみあを育て、隣で笑いながら、いろんな経験をわかち合っていくんだと信じて疑いませんでした。
まさかこんな形で突然別れることになるとは想像もしていなかったんです。「いつも変わらない明日」が訪れるのは当たり前ではないんだと痛感しています。夫婦げんかをしていたことさえ、幸せだったんだと感じます。

――現在は、しなみあパパさん1人で子育てをしているのでしょうか?

しなみあパパ はい。そのとおりです。幸いなことに勤務先も僕が1人で子育てをすることに理解をしてくれて、協力してくれます。妻の実家も忙しいときは預かってくれるし、周囲も手を貸してくれます。まわりの人に助けられていて、本当に感謝しています。

空の上にいる妻は、僕が1人で子育てしている様子を心配しているんじゃないかなと思います。それでもきっと見守ってくれていると信じています。
妻との突然の別れを経験してから、しなとみあと一緒に過ごせているのは、当たり前のことではなく奇跡のようなことなんだと感じる毎日です。

お話・写真提供/しなみあパパ 取材・文/齋田多恵、たまひよONLINE編集部

▼続きを読む<関連記事>後編

しなみあパパさんの話を聞き、「当たり前だと思っている日常は決して日常ではない」のだと感じました。天国のママもしなみあパパさんと娘さんたちを見守ってくれているはずです。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

しなみあパパさん

PROFILE
2023年、双子のしなちゃんとみあちゃんを授かるも、同年11月8日に妻が突然亡くなってしまう。シングルファザーとして子育てする様子をSNSで発信している。

しなみあパパさんのInstagram

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2025年9月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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