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27回もの入院をしたダウン症のある娘。自身の大病も経験しつつ音楽を届ける活動を続ける母

更新

miyabiちゃんの横で「うた絵本LIVE」を行う七緒子さん。

荻田七緒子さん(44歳)は、13歳、11歳、9歳、5歳の4人の子どもがいます。末っ子のmiyabi(みやび)ちゃんは、生まれてからダウン症候群(以下ダウン症)とわかりました。ダウン症は、最も頻度が高い染色体異常の1つです。miyabiちゃんは5歳までに27回もの入院治療を経験しています。
miyabiちゃんの成長や、歌を通して子育て中のママ・パパと交流する七緒子さんの活動、七緒子さんに見つかった突然の病について聞きました。
全2回のインタビューの後編です。

▼<関連記事>前編

入退院を繰り返し、1歳11カ月で気管狭窄の手術

気管狭窄の手術を終えて。

miyabiちゃんは、生後間もなく入退院を繰り返し、5歳の現在まで、27回入院しています。

――miyabiちゃんの合併症や入院について教えてください。

七緒子さん(以下敬称略) ダウン症があるmiyabiは、呼吸器系の合併症があります。気管狭窄は、気管が狭くなる病気で、生後6カ月ごろに医師から「気管が砂時計の穴のように細くなっている部分があるけれど、すぐに手術はしなくてもいい」と言われていました。
そのため体力がつくのを待ち、1歳11カ月で手術をしました。miyabiが行ったのはスライド気管形成という手術で、医師から「人工心肺を装着して、手術は8時間ほどかかる」と言われて、不安でいっぱいでした。
手術は無事に成功して、ほっとしました。

哺乳力が弱く、経鼻栄養チューブを

生後9カ月のmiyabiちゃん。

miyabiちゃんは穏やかで育てやすい、と七緒子さんは言います。そんな七緒子さんがmiyabiちゃんの乳幼児期に最も悩んだのは、経鼻栄養チューブのことです。

――miyabiちゃんの子育てで、大変なことや注意が必要なことはありましたか。

七緒子 miyabiは、生まれてすぐに哺乳力が弱くて、経口摂取ができずに経鼻栄養チューブが必要でした。経鼻栄養チューブを十二指腸まで入れていた(EDチューブ)のですが、miyabiが引っ張ったりすると抜けてしまうことがあるんです。
抜けてしまうと医師に入れてもらわなくてはなりません。車で片道40~50分かけて病院に行くため、とにかくmiyabiから目が離せなくて。抜けたままの状態が続くと脱水になるので、昼夜問わず気を張っていて、そのころが最も大変でした。

――miyabiちゃんは、現在もEDチューブが必要なのでしょうか。

七緒子 1歳1カ月になり、消化機能が発達して、胃までチューブを入れるNGチューブというものになりました。NGチューブは、もしmiyabiが触って抜けても、私が直せます。
成長と共に逆流もなくなり、3歳になる少し前にNGチューブも卒業できて、自分で食事がとれるようになりました。miyabiは食べることが大好きですが、なかでも今は、ミートボールが大好物です。

療育に通ってから「おはよう」とはっきり言えるように

2歳のころのmiyabiちゃん。


2026年4月から、miyabiちゃんは保育園の年長クラスになります。現在は、保育園のほかに3カ所療育にも通っています。

――miyabiちゃんの生活について教えてください。

七緒子 私が仕事を始めたこともあり、miyabiは、2歳クラスの終わりごろから保育園に通っています。
保育園のほかには、個別の運動療育やバランス感覚などを養う感覚統合の療育、集団療育にも通っています。
miyabiは言葉の発達にゆっくりな面があり発音が不明瞭でしたが、療育に通うようになってから「おはよう」「バイバイ」「イヤ!」など、だいぶはっきり話せるようになりました。

――miyabiちゃんは、どのような子ですか。

七緒子 穏やかで、よく笑って明るい子です。上の3人が男の子なので、miyabiは家族の中でアイドル的存在です。ダンスやお絵描き、ブロック遊びなどが大好きです。

七緒子さんに子宮筋腫が見つかり、子宮全摘を決意

3歳の誕生日にママと。

2024年12月、七緒子さんは職場の健康診断をきっかけに約9cmの子宮筋腫が見つかりました。

――七緒子さんに、子宮筋腫が見つかったそうですが・・・。

七緒子 miyabiが保育園に入園したと同時に、私は介護の職業訓練に通いました。勉強をして、今は訪問介護員をしています。
職場の健康診断で、極度の貧血と診断され、内科を受診して、鉄剤を1カ月服用したのですが改善しなくて。内科の医師に婦人科を受診するように言われて、約9cmの子宮筋腫が見つかりました。
思い返せば、生理になると10日~14日ぐらい続くし、経血の量もすごく多かったんです。そうしたこともサインだったのかもしれません。
医師からは「この先、妊娠を望まないならば、がんのリスクを減らすために子宮全摘をすすめる」と言われました。
その言葉を聞いたときは「子宮全摘したら体調がおかしくならないのか?」「子育てはできるか?」「仕事は続けられるか?」などと悩みました。一方で、子どもたちとの将来のことを考えると「がんのリスクを減らすために、子宮全摘をしたほうがいいのかな?」とも思いました。

夫に相談して、大きな病院でセカンドオピニオンを受けたところ同じことを言われたので、子宮全摘を決意しました。手術をしたのは2025年7月。腹腔鏡手術で、当初、手術時間は6時間の予定でしたが、子宮内膜症も見つかり手術時間は9時間におよびました。

――miyabiちゃんは、自宅でママの帰りを待っていたのでしょうか。

七緒子 夫と私の母が、自宅で子どもたちを見てくれていました。8日間入院して、自宅に戻ると、miyabiが療育から帰って来たところでした。私を見つけると、ちょっと驚いたような表情をしたのですが、すぐに抱きついてきてくれてうれしかったです。

miyabiちゃんと一緒に、弾き語りや「うた絵本LIVE」を開催

3歳のmiyabiちゃん。きょうだい4人で七五三の記念撮影。

七緒子さんは、高校生のころから路上ライブなどをしていて、歌が生活の一部です。子どもが生まれてからは、親子向けに弾き語りや、絵本の世界を音楽に合わせて楽しむ「うた絵本LIVE」を開催しています。

――七緒子さんの音楽活動について教えてください。

七緒子 私は高校生のときに友だちとユニットを組んで、路上ライブをしていました。社会人になっても音楽活動を続けていて、私の4人の子どもたちは、おなかにいるときから私の歌を聞いて育っています。

今は、カフェやイベント会場などで、親子向けに弾き語りをしたり、「うた絵本LIVE」を開催しています。子どもたちは、キラキラした目で音楽と絵本を楽しんでくれます。

――LIVEのときは、miyabiちゃんも一緒ですか。

七緒子 miyabiは最前列に座って、楽しんでいます。赤ちゃんのころは、おんぶして弾き語りをしていたこともあります。
お客さんには「私自身4人の子どもの母で、一番下の子はダウン症なんです。でも彼女のおかげで、私の音楽人生はすごく彩られました」とmiyabiのことを話しています。

――LIVE会場では、お客さんからどのような声をかけられたりしますか。

七緒子 ママ・パパたちから、いろいろな声をかけていただいています。
ときにはダウン症の子どもがいるママから相談を受けることもあります。ダウン症のある1歳の子どもをもつママから「ミルクが飲めずに、経管栄養なんですが、ずっとこのままかな・・・」と言われて、miyabiのことを話したこともあります。個人差はあるけれど、私の経験が少しでも役に立つならうれしいです。

――七緒子さんは、音楽健康指導士の資格を取得されています。

七緒子 音楽健康指導士とは、歌と音楽の力で、心や脳を元気にするために必要なことを学ぶ民間資格です。

音楽健康指導士の資格を取得しようと思ったのは、miyabiの入院が続き、私に何かできることはないかな? と思ったのがきっかけです。

私が住む地域は、異業種交流会が盛んなのですが、たまたま参加した異業種交流会で、現在、私がお世話になっている事業所の所長と出会いました。音楽健康指導士のことを話したら、「うちの事業所で働いて、資格をいかしてみませんか?」と声をかけてくれて。私が好きな音楽と音楽健康指導士の資格が役に立てる場所があることを、初めて知りました。

振り返ればmiyabiが生まれてから、人の輪が広がり、出会いが増えました。みんな優しくて、あたたかな人ばかりです。

miyabiが生まれて、ダウン症の疑いがもたれたとき、私は動揺して母にLINEで相談しました。母は児童養護施設で働いていたことがあるのですが、母から「もしmiyabiちゃんがダウン症なら、まわりの人がみんな優しくなるよ」と返信があって・・・。私が知らなかった世界を、母とmiyabiが教えてくれたような気がします。

お話・写真提供/荻田七緒子さん 取材・文/麻生珠恵 編集・構成/仲村教子(entente)、たまひよONLINE編集部

3月21日は国連が制定した「世界ダウン症の日」。ダウン症への理解を広げるための国際的な啓発デーです。ダウン症の多くは、21番目の染色体が3本あることに由来しています。その日は、ダウン症カラーと言われるブルー&イエローのライトアップがあるなど、各地で啓発イベントが開かれます。七緒子さんも「昨年は、世界ダウン症の日にゴミを拾いながら歩くバディウォークに参加しましたが、今年も何かに参加したいと考えています」と言います。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2026年2月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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