SHOP

内祝い

  1. トップ
  2. 赤ちゃん・育児
  3. 赤ちゃんの病気・トラブル
  4. 出産後、黄疸が続く長男。生後3カ月で胆道閉鎖症と診断、緊急手術に。「ぐったりしたわが子が心配で、毎日泣いていた」【体験談】

出産後、黄疸が続く長男。生後3カ月で胆道閉鎖症と診断、緊急手術に。「ぐったりしたわが子が心配で、毎日泣いていた」【体験談】

更新

胆道閉鎖症の治療で手術を受けるも、病状が悪化していった心湊くん。

宮城県に住む鈴木桃子さん・静弥さん夫妻には、長女(7歳)、長男(5歳)の2人の子どもがいます。長男の心湊(みなと)くんは、生後3カ月で「胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)」と診断され、手術を受けることになりました。母親の桃子さんに、心湊くんの生後間もないころから、病気が悪化してしまった当時の様子について話を聞きました。全2回のインタビューの前編です。

エコー検査で異常を指摘されるも、無事に生まれた赤ちゃん

生後10日ほどで心湊くんが退院した日の家族写真。

2020年、第2子の妊娠がわかった桃子さんは、長女のときと同じ産院で妊婦健診を受けていました。しかし、妊娠中期のエコー検査で、おなかの赤ちゃんに下大静脈欠損症(かだいじょうみゃくけっそんしょう)の可能性があると指摘されます。下大静脈欠損症とは下半身から心臓へ血液を運ぶ太い血管が生まれつき作られていない、もしくは通常とは違う血管のつながり方をしている状態です。
赤ちゃんが生まれたあと、万が一の事態に対応するため、小児専門病院の紹介を受け、桃子さんはそちらへ転院することになりました。

「転院先で、下大静脈欠損症については、血管のつながり方が通常とは異なるけれど、とくに治療は必要ないだろうということでした。また、首の後ろにむくみがありダウン症候群の疑いがあるからと羊水検査も受けましたが、結果は陰性。妊娠中にいろいろと心配なことはありましたが、前向きに考えようと思っていました。

2021年夏、妊娠38週1日の明け方ごろから前駆陣痛が始まりました。長女を実家に預け、病院へ向かい、夕方ごろに出産。コロナ禍だったため夫は立ち会いできませんでしたが、心湊は無事に生まれてきてくれて、とても安心しました。心湊は元気そうに見えたのですが、黄疸があったことや停留精巣(ていりゅうせいそう)の所見もあり、念のためGCU(新生児回復室)へ入院することになりました。

ミルクの吐き戻しが多かったことから腸回転異常症の可能性も調べることになり、生後1週間ごろに、検査手術をしました。しかし、とくに異常は見つからず、問題はないとの結論に。生後10日ほどで退院し、自宅での生活が始まりました」(桃子さん)

退院後も、心湊くんの日々の成長は順調そのものに見えました。

「泣いて、ミルクを飲んで、おむつを替えて。上の子のときと何も変わらない育児でした。うんちの色も普通だったので、まさか大きな病気が隠れているなんて考えもしませんでした。黄疸がなかなか落ち着かないようにも見えましたが、1カ月健診でもとくに異常は指摘されず、安心して過ごしていました」(桃子さん)

生後3カ月で胆道閉鎖症と診断

肝臓の状態が悪くなり、心湊くんはどんどんやせてしまいます。

事態が急変したのは、心湊くんが生後3カ月後半ごろのことです。

「心湊に風邪症状があったので近所の小児科を受診したんです。そのとき、看護師さんから『黄疸がかなり強いです。重い病気の可能性もあるので、大きな病院で診てもらったほうがいいです』と指摘され、とても驚きました。普通に生活して成長していると思っていたので、まさか大きな病気があるなんて思わなくて。あの看護師さんが気づいてくれなかったらと思うと、今でも怖くなります。医師や看護師と相談し、心湊が生まれた小児専門病院を受診することになりました」(桃子さん)

受診すると、その日のうちに緊急入院することに。検査で判明した心湊くんの病気は「胆道閉鎖症」でした。肝臓で作られる胆汁(消化液)を腸管へ流す通り道の胆管が、何らかの原因でふさがれてしまう病気です。胆管がふさがれると、胆汁が肝臓にたまり、肝臓に炎症や傷害を起こし、肝機能障害が進行してしまい、肝硬変から死に至る危険性もあります。

「医師からは、『胆道閉鎖症は早期発見・早期治療が大切な病気です。心湊くんはすでに生後3カ月になっているため、病気が進行している可能性があり、できるだけ早く葛西手術を受ける必要があります』と説明されました。そして心湊は、より手術環境の整った大学病院へ転院することになりました。私たち夫婦は、『胆道閉鎖症』という病気の名前も初めて聞いたくらいで、すぐに手術が必要なほどの症状だなんて、思ってもいなくて本当に不安でした。

どうしてもっと早く気づいてあげられなかったんだろう…と。しかし、どんなに悔やんでも現実は変えられません。気持ちを切り替え、今できることを考えよう、と必死に前を向こうとしていたと思います」(桃子さん)

小児専門病院に入院した2日後、心湊くんは県内の大学病院へ転院。葛西手術を受けることになりました。葛西手術とは、ふさがった胆管を取り除き、肝臓の入り口にあたる「肝門部」に小腸をつないで、胆汁が腸へ流れるようにする手術です。

「胆道閉鎖症は、黄疸が続く、うんちの色が白っぽいといった症状が手がかりになり、できるだけ早く手術を受けることが大切だと聞きました。でも心湊はすでに生後3カ月後半。医師からは『手術をして最大限サポートしますが、どうなるかはわかりません』と厳しい話がありました。

病気についてインターネットで調べると、厳しい情報ばかりが目に入ってきます。調べれば調べるほどに、悪い方向に考えてしまいそうだったので、最大限サポートしてくれるという医師の話を信じ、自分では調べないことにしました」(桃子さん)

手術のあとも病状が悪化して・・・

2022年2月下旬、病状が悪化していたころの心湊くん。

2021年11月に葛西手術を受けた心湊くん、術後の経過は順調とは言えませんでした。

「葛西手術のあとは少しずつ黄疸が落ち着いて血液検査の数値も改善していました。医師によると、いずれ肝臓の移植手術が必要だけれど、手術するとしても1年後くらいだろうとのことでした。

しかし、このままよくなるかと思っていた矢先に胆管炎を起こしてしまい肝臓の数値が悪くなってしまったんです。ステロイドの投薬治療を受けると改善するのですが、またしばらくして悪化する、そんな状態を数回繰り返しました。2022年2月、生後6カ月になるころに一度退院することができたものの、家でも明らかに元気がなく、ぐったりしていました。元気がない、と受診すると数値が悪化していて再入院。投薬で改善して退院しても、すぐ再入院、それを繰り返していました。

心湊の病状は進行し、すでに肝硬変になってしまっていたんです。生後3カ月後半で病気が診断される前、家族から『おすもうさん』と呼ばれるほどぽっちゃりしていた心湊でしたが、そのころにはすっかりやせ細り、文字どおり骨と皮だけのような状態に。ずっと病室で心湊に付き添い、どんどん具合が悪くなっていく様子を見ながら心配で不安で、毎日涙が止まりませんでした」(桃子さん)

心湊くんの病状はかなり悪化し、すぐに肝臓移植が必要な状態でした。葛西手術をした大学病院では小児の移植手術ができないと、転院をすすめられました。
桃子さんは、心湊くんの移植手術について家族に相談します。すると、桃子さんの父親が肝移植について徹底的に調べてくれました。

「私の父は医療従事者ではありませんが、移植手術のこと、手術の件数、術後の生存率、移植後にまた治療が必要になった場合のことまで詳しく調べてくれたんです。そしてたどり着いたのが埼玉県立小児医療センターの水田耕一先生でした。

担当医に相談すると、埼玉県立小児医療センターに連絡を取ってくださいました。水田先生とオンライン面談をして、心湊の様子を見て受け入れてくださることに。2022年3月、大学病院のある仙台から埼玉まで、心湊は酸素投与を受けながら新幹線で移動することになりました」(桃子さん)

新幹線の移動には夫の静弥さんも付き添いました。

「夫とは新幹線の駅のホームで待ち合わせ、夫婦そろって心湊に付き添うことができました。私はぐったりしている心湊になんとか明るい言葉をかけようと、『やっと病室から出られたね!』『初めての新幹線だね!』と、一生懸命話しかけました。新幹線には医師2人が同行してくれたのですが、後に『ドクターヘリを使ってもおかしくない状態だった』と言われるほど厳しい状態だったようです」(桃子さん)

移植手術を受けるため、心湊くんは埼玉の病院へ入院。体力も落ち、命の危険が迫るなか、一刻も早い手術が必要な状況でした。

【父・静弥さんより】面会後の帰り道に、1人涙が

心湊くんの病室は、ママやばあばが作った応援メッセージカードでにぎやかに飾られていました。

生まれて間もないころの心湊はとってもかわいくて、長女のころと同じように元気な赤ちゃんに見えました。ところが、生後3カ月で病気が判明して緊急入院や手術となり、家族の生活も急変しました。とくに入院中ずっと付き添ってくれていた妻の不安は計り知れません。

仙台で葛西手術をした当時はコロナ禍で、入院している心湊にも妻にもほとんど面会することができない状況。妻と会って話ができないことがつらかったですし、2人のことが心配でたまりませんでした。週末に妻の食事や着替えなどの荷物を渡しに病院へ行った帰りの車で、涙があふれ出てきて止まらなかったことも何度もあります。
長女の前では普通に過ごそうと気を張っていましたし、実父母や、義理の父母も最大限のサポートをしてくれていましたが、「なんで心湊がこんな病気になってしまったんだろう」と、不安と心配ばかりの日々でした。

【水田耕一先生より】黄疸が長引くときは、早めに相談を

胆道閉鎖症は、肝臓で作られた胆汁の流れが妨げられる病気です。早期発見が大切ですが、便の色が普通に見えることもあり、ご家族だけで気づくのは難しい場合があります。黄疸が長引く、便の色が薄いなど、気になることがあれば、母子健康手帳の便色カードも参考に、小児科へ相談してください。気づくのが遅れたからといって、ご自身を責める必要はありません。
心湊くんのご家族が、肝移植に向けた治療を当院に託してくださったことに、心から感謝しています。不安のなかでも心湊くんを支え続けるご家族の思いを受け止め、安心して治療に向き合えるよう、医療チーム全体で力を尽くしました。

お話・写真提供/鈴木桃子さん・静弥さん 監修/水田耕一先生 協力/公益財団法人ロナルド・マクドナルド・ハウス・ジャパン 取材・文/早川奈緒子 編集・構成/仲村教子(entente)、たまひよONLINE編集部

▼続きを読む<関連記事>後編

生後3カ月で胆道閉鎖症と診断され、葛西手術を受けた心湊くん。その後も病状は悪化し、肝移植が必要に。後編では、移植手術に臨んだ家族の思いや周囲の支え、元気に成長した心湊くんの現在について、父・静弥さんに詳しく聞きます。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

水田耕一先生(みずたこういち)

PROFILE
埼玉県立小児医療センター移植センター長・移植外科科長。1991年熊本大学医学部卒業、1999年東京大学大学院修了。東京大学小児外科、自治医科大学小児外科・移植外科などを経て、2015年に自治医科大学移植外科教授に就任。2019年より現職。専門は小児肝移植、小児肝胆道疾患。日本外科学会指導医、日本小児外科学会専門医、日本移植学会認定医などの資格を持ち、約30年にわたり小児肝移植に携わっている。

ロナルド・マクドナルド・ハウス さいたま(さいたまハウス)

2026年10月1日、日本第1号ハウス開設から25周年を迎えるにあたり、「ロナルド・マクドナルド・ハウス」にブラント名が変更されました。病気と向き合う子どもとその家族を支える滞在施設「ロナルド・マクドナルド・ハウス」は、世界で約390施設が運営されていて、日本国内では12施設あり、いずれも小児病院のすぐ近くに位置しています。運営はすべて寄付・募金とボランティアの活動によって支えられています。
「さいたまハウス」は、日本で初めて病院内に開設されたロナルド・マクドナルド・ハウスです。埼玉県立小児医療センター内にあり、家族がお子さんのすぐ近くで安心して滞在できる環境が整っています。詳細は財団ホームページから確認できます。

青いマックの日(マックハッピーデー)

ロナルド・マクドナルド・ハウスの運営は寄付・募金とさまざまな支援で成り立っています。「マックハッピーデー」は、世界各国のマクドナルドがその国の子どもたちの幸せを願い長年展開しているグローバルチャリティー活動で、日本では2017年から実施され、今年で10回目を迎えました。2022年からはハウス支援のテーマカラーにちなんで「青いマックの日」として全国のマクドナルド店舗で実施されています。2026年は10月18日(日)が「青いマックの日」です。この日はハッピーセット®1つの販売につき50円が公益財団法人ロナルド・マクドナルド・ハウス・ジャパンに寄付されます。

「青いマックの日」当日以外でも、マクドナルドの店頭募金箱、モバイルオーダー(※1)、PayPay(※2)での募金や、10月には募金付きセットの購入、Myマクドナルド リワードの募金などからご支援いただけます。

※1 クレジットカードのお支払い方法を選択した場合のみ
※2 支払い条件あり

公益財団法人ロナルド・マクドナルド・ハウス・ジャパンの公式HP

ロナルド・マクドナルド・ハウス さいたま

●記事の内容は2026年10月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

赤ちゃん・育児の人気記事ランキング
関連記事
赤ちゃん・育児の人気テーマ
新着記事
ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。