"一流の母"ミセス・パンプキンの「ためになる後悔」とは? 中編
全国から膨大な量の人生相談を受ける"育児の達人"ミセス・パンプキン。エリートコースを生きてきた長男を前に、「この子は本当に・・・」とため息をつきます。そんなミセス・パンプキンのさらなる後悔とは?
後悔② 習い事は子どものやりたい気持ちを優先させるべきだった。
(パンプキン)例えば、習い事一つとっても、4、5歳になってから、「習い事、何がしたい?」と聞かれても、自分で決めることをしてこなかった子は決められないですよね。前回のスーパーで見かけたお母さんのように、小さい時から日常的に子どもに選ばせることをしてこそ、自分が好きなことがわかってきます。うちは習い事も、とにかく私自身の趣味で、自分ができなくて悔しいことを子どもに押しつけてしまっていたんです。
4人の子どもたちには、ピアノ、プール、お習字、そろばんと、週5日くらい何かやらせてました。男の子2人は少年野球もやらせて。上の2人の女の子はそれでも、なんでも楽しんでやってくれていたんです。だからそれでいい、と思ったのが間違いだった。息子たちはすぐ嫌がって、ほとんど全部1、2年で辞めてきましたね。
(ムーギー)中でもピアノが嫌で嫌で。発表会の前に泣きながら「トルコ行進曲」を弾かされたのは、今でもトラウマですよ・・・。
(パンプキン)ふふふ。本当に悪いことをしたわね。やっぱり嫌がることを無理にやらせてもしょうがないんだな、と今になって思います。でもあなた、高校生くらいになってから「自分はピアノが弾けるようになりたかった」だなんて言ったでしょ。
(ムーギー)ピアノが弾けたらかっこいいというのが、その時はわからなかった。全然やりたくないのに、この人が「早く、トルコ行進曲を弾きなさい!」と怒鳴るもんだから・・・。
(パンプキン)い事をさせるならちゃんと、「これを習えば、後でこんなふうになれるよ」、とか「ピアノが弾けたらかっこいいよ」とか将来どうなるかを伝えて、本人をやる気にさせてあげることも必要だったなと思います。
後悔③ 親の判断で本を選ばない。
(パンプキン)長女(現在はカナダの大学教員)はもともと本が大好きで、小さな頃から絵本を大事にして、どこに行くにも持ち歩いているような子だったんです。読むスピードも早くて、どんどん欲しがるから好きな本を与えました。だからほっておいても子どもは本好きになるものだと思っていたんですね。でも下の子たちは家にある本を全然読まなかった(笑)。もっとそれぞれの子に興味がある本を見つけてあげたらよかったですね」
(ムーギー)今回、母との共著『一流の育て方』を出す際に、まず、日本でエリートを言われる大学に進んだだけでなく、様々なリーダーシップを主体的に発揮している学生たちに、「親にしてもらって嬉しかったこと」「されて嫌だったこと」というアンケートをとったんです。その中で特に親に感謝していることとして、「本を好きなだけ読ませてくれた」「好きな本を与えてくれた」という意見が多く見られました。僕自身は、熱帯魚や恐竜の図鑑は好きだったんですけどね」
(パンプキン)「そう、図鑑は大好きで。全部覚えてしまって。神童なんて言われてたんですよ(笑)。でも、ここが私のいけなかったところですが、図鑑なんてつまらない、と判断してそれ以上は伸ばしてあげなかったんです。あのまま興味と才能を伸ばしてあげていたら、今頃、生物学者か歴史学者になっていたでしょうに(笑)。
(ムーギー)まあ、図鑑ばかり読んでたって、僕もそれなりになってるから大丈夫(笑)。今でも、たまに京都の実家に帰ると、図鑑が置いてあってああ、よく読んだなあ」と思い出しますよ。図鑑でもなんでも、活字に親しむ習慣を持たせるのがポイントだと思います。
後悔④ 男の子だからと甘やかしすぎた
(パンプキン)長男はね、小さい頃から落ち着きがなくって。本当に学校の勉強も全然しなかったんです。ザリガニ採りしかしてませんでしたね。あのまま、いっていたら、ザリガニ屋さんになるしかなかったわね。
(ムーギー)その前に、間違いなく京都のザリガニは全滅してたね、僕が捕りつくして(笑)。勉強しろ、勉強しろってそればかり言われてました。
(パンプキン)でも、いくら言っても、全然効き目がなかったわね。それに甘やかせ過ぎました。男の子だし、長男だからと言って、大事に過保護に育てすぎたな、というのは大きな反省です。小学校6年生の時の遠足の準備を私がしていたら、お姉ちゃんたちに、「一体、どんな子に育てるつもり?」って私が叱られたくらい。
(ムーギー)今でも家事が何もできない。もう少しやらせといてくれたらよかったのに、と思いますよ。
(パンプキン)本当に勝手ね(苦笑)。言っておきますけど、他の3人はちゃんと自分のことくらい自分でできる大人になってますよ!
でも急に5、6歳になってから、自分のことは自分で、と言ってもダメですね。もっと小さいうちからでも、ちゃんと子どもってお手伝いはできますよね。時間がかかっても、一緒にやってあげようという親の意識が大事だったんだな、と反省しています。結局、親が育てたようにある程度は子どもは育つから。親の賢くなるしかないんだな、と思います。
—子育ては後悔ばかり、と言いながら、それでもミセス・パンプキンのお子さんたち全員が立派に成長し、独立し成功しているのはなぜなのでしょうか。
最終回では、その「愛される子育て」について迫ります。
撮影・田渕睦深 取材・文 玉居子 泰子(たまいこ・やすこ)
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。