"一流の母"ミセス・パンプキンの「ためになる後悔」とは? 前編
ミセス・パンプキンという名前を聞いたことはありますか? 東洋経済オンラインで大人気連載中の「ミセス・パンプキンの人生相談」には、全国津々浦々、老若男女たくさんの悩みが、彼女の元に寄せられます。
しかも、4人のお子さん全員を、海外で活躍するグローバル人材に育て上げた彼女は、一体どんな人なのでしょうか。初の著書『一流の育て方』は4か月で15万部突破の異例のベストセラーとなっており、教育界から非常に高い評価を受けています。その共著者であり、長男のムーギー・キムさんとの対談を通し、その素顔、子育て法に迫ってみました。
自称「後悔だらけの普通のおばちゃん」。だからこそわかる本当にいい教育。

(ミセス・パンプキン:以下、パンプキン)今日は私なんかのお話でいいんでしょうか。ほんとーうに、普通の、京都のおばちゃんですよ。
(ムーギー・キム氏:以下、ムーギー)「ミセス・パンプキン」という名前も、そもそも親戚の子どもたちから「かぼちゃのおばちゃん」って呼ばれてたのを、それじゃカッコ悪いからと僕が英語にしただけだからね。
(パンプキン)そうそう(笑)。本当は「バラのおばちゃん」とか「蘭のおばちゃん」とか呼ばれたかったんですけどね(笑)。
——インタビュー開始そうそう、漫才を繰り広げてくれる仲良し親子のミセス・パンプキンと、長男のムーギー・キム氏。ムーギーさんは英語・中国語・韓国語・日本語を操り、金融・経済の分野で国際的に活躍するビジネスマン。他の3人のきょうだいも大学教員、公認会計士、弁護士とそれぞれの専門分野で世界を股にかけています。普通のママにはとてもマネできない、成功する子育てを成し遂げた母親の鏡のようなミセス・パンプキン。でも実は、子育ては自他共に認める「失敗の連続だった」と言います。だからこそ、多くの人の人生相談に乗り、『一流の育て方』という本も書くことができた、と。
今回は3回にわたり、そんなミセス・パンプキンにあえて具体的な失敗・後悔を聞き出したスペシャルインタビューをお届けします。ミセス・パンプキンによる「ためになる後悔」から子育ての極意を学んでいきましょう。
後悔① 子どもと触れ合う時間が少なすぎた
(パンプキン)私ははっきり言って、やってはいけない子育てばかりやってきました。勉強しなさい、勉強しなさいと口うるさく言っていたし、何より子どもたちと一緒にゆっくり遊んだり、本を読んだりしてあげられる時間がほとんどなかったんです。それは、もっとも後悔していることです。
今、ご近所のスーパーなどで、まだ小さなお子さんの手を引いてお買い物にやってくるお母さんが「今晩、何を食べたい?」とちゃんと聞いてあげている姿を見ることがあると、「ああ、私もあんなふうに子育てがしたかったなあ」と心から思うんです。
(ムーギー)僕らの時は、家族で外食をしても自分で注文することさえ許されてなかったからね。海外で働いていると、ビジネスランチなどでも、一流の人たちは必ず、皆の食べたいものを丁寧に聞いて取りまとめ、オーダーをするんですね。僕の子どもの頃は父親が全部決めていたから、逆に今、取りまとめる立場になるとつい、同じように自分でぱぱっと決めてしまって反省します。
——4人の子どもがいて、夫の家業を手伝い、さらには大家族の食事を含む家事全般を全て一手に引き受けていたというミセス・パンプキン。その忙しさは尋常ではありませんでした。
(ムーギー)周りを見回しても、この人ほど忙しいお母さんはいないんじゃないかというくらい、早朝から深夜まで動き回っていましたね。家族だけでなく親戚とか、祖母の友人が来て、少なくとも7、8人が常に食卓を囲む家で、食事はすべて母一人で作っていました。
(パンプキン)性格もあるんだと思いますが、今からすれば、食事や掃除を完璧にしようとしすぎたな、と思うんです。周りの評価を気にしないで、家事なんて半分手を抜いてでもいいから、その分、この子たちとゆっくり過ごす時間を持てばよかった、と。だからこそ、今のお母さんたちに言いたいのは、どうか心にゆとりを持って子育てをしてくださいということですね。スーパーで見かけてお母さんのように、子どもの意見をじっくりちゃんと聞いてあげる、そういう姿は本当にすばらしいと思います。そうした教育が最終的に子どもの自主性を高めることにつながるんだとつくづく思います。
——ご自身の子育てを「後悔だらけ」というパンプキンさん。特に、隣に座っている長男のムーギー・キムさんの育て方はよくないことだらけだった、と苦笑いします。次回は、「習い事」や「絵本」の選び方から、「甘やかし」についての3つの大きな後悔についてお聞きします。
撮影・田渕睦深 取材・文 玉居子 泰子(たまいこ・やすこ)
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。