助産師直伝!痛い「おっぱいかみ」の予防策★授乳前~授乳中・傷になったとき飲ませ方
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歯が生えてきた赤ちゃんにおっぱいをかまれるのはつらいもの。授乳タイムは本来、赤ちゃんとママにとって幸せを感じる時間。「かまれないためには、ママの意識や心がけも大切」と助産師の依田先生。ほんの少しの工夫で解決することもあるそうです。
かまれないための対処法~授乳前編
赤ちゃんがおっぱいをかんでしまう理由には、飲みにくい、出が悪い、歯がかゆいなどが。そこで、赤ちゃんが集中して飲めるおっぱいにしておけば、かまれる心配が少なくなります。
おっぱいをほぐしてやわらかくする
「おっぱいがかたく張った状態のまま授乳をすると、赤ちゃんが深くくわえられなかったり、ママも痛みを感じることがあります。乳輪と乳首をつまみ、やさしくもみほぐしてから、飲ませましょう」(依田先生・以下同)
温かい水分をとる
「母乳の出を改善するためには、ママの体を温めて血液の循環をよくすることが大切です。温かい麦茶や白湯を飲んだり、食事のときに温かいスープをたすように心がけましょう。飲み物は、暑い日でも常温がおすすめです」
歯固めをカミカミさせる
歯がむずがゆい時期の赤ちゃんには、授乳前に歯固めを与えてみてください。思う存分、赤ちゃんにカミカミさせてから、飲ませるようにしましょう。歯固めを冷蔵庫で少し冷やすとひんやりして、かゆみを和らげる効果があります。
かまれないための対処法~授乳中編
赤ちゃんがおっぱいをかむ理由には、ほかにも「おなかが空いていない」、「ママの気を引きたい」なども。赤ちゃんがおっぱいを飲むことに集中できるよう、ママも気をつけてあげて。
空腹のタイミングで飲ませる
「ママが時間を決めて授乳をしていると、赤ちゃんがまだ空腹でないときは、遊び飲みをすることがあります。一定の時間だけではなく、赤ちゃんの様子を見て、空腹のタイミングで飲ませましょう」
テレビやスマホを見ない
「携帯電話やスマートフォン、テレビなどを見ながらの『ながら授乳』は避けて。好奇心旺盛な赤ちゃんには、授乳に集中させるため、おうちでも授乳ケープを使ってみるのも手です」
かまれて傷になったときの、授乳のしかた
「かまれちゃったところが傷になってしまったとき、傷口から血液や膿が出ていたり、しこりができたり、熱を持って痛むときは、受診しましょう。痛みが軽かったり、傷が浅いときは、流水で洗い、保護クリームでケアをしながら授乳をして大丈夫です」
抱き方を変えてみる
「赤ちゃんの口が傷に当たらないよう、抱き方を変えるのもいいでしょう。普段は横抱きなら、乳房全体からまんべんなく飲ませられるフットボール抱きに変えてみて。低月齢の赤ちゃんの場合は、たて抱きもおすすめです」
乳頭保護器を試してみる
「乳首にかぶせて使う乳頭保護器を使うのも手です。ただし、ママの乳首に慣れている赤ちゃんは乳頭保護器を嫌がったり、うまく吸えなかったりすることも。合う、合わないには個人差があります」
搾乳したものを飲ませる
「傷が深い、直接の授乳で痛みを感じるときは、無理せず直接の授乳を休み、搾乳した母乳を飲ませましょう。搾乳は手でしぼる方法と、搾乳器を使う方法がありますが、傷があるときは手しぼりにして。搾乳器を使うと、かえって傷口に負担となります」
かまれたことでおっぱいにひどい傷ができると、授乳をやめたくなるほどショックな場合もあるでしょう。でも赤ちゃんにはまったく悪気がなくて、ママとおっぱいが好きなことには変わりありません。そういうときはおっぱいとママの心の傷を治して、かまれないおっぱいづくりをしてから授乳を続けてくださいね。(取材・文/ひよこクラブ編集部)
■監修:依田順子先生
東京・二子玉川の母乳ケアルーム「マミィポート」代表・助産師。地域の赤ちゃん訪問や母親学級の講師としても活躍。2人のお子さんのママです。
■参考:ひよこクラブ2017年9月号『「おっぱいをかまれる!」ときはどうするのが正解?』より
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