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救急医療の現場から#9〜子どもを乗せたまま自転車が転倒し頭部を打撲!

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dobok/gettyimages

子どもが1才をすぎると、子ども乗せ自転車に乗せて出かけることが増えますね。自転車に乗せるときは子どもにヘルメット着用させ、ベルトを着用する必要があります。けれども、子どもがヘルメットを嫌がったり、すぐ近くだからとベルトを着用せずにいたりということも・・・。
今回は、そんなヘルメットもベルトもせずに子どもを乗せていたときに起きてしまった自転車の転倒事故について、北九州八幡病院救命救急センター・小児救急センター院長である市川光太郎先生に、紹介いただきました。

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荷物がひっかかり、子どもを乗せたまま自転車が転倒!

「1才3カ月の男児が頭部打撲(とうぶだぼく)で一瞬意識がなかったのか、その場で泣かなかったそうです。その後泣いていますが、2回嘔吐(おうと)して顔色が悪いです」と、ホットラインから搬入要請のコールがあった。すぐに搬入許可をして、救急室で待つことにした。

男児は救命士に抱っこされて救急室に入ってきたが、やや無表情で、顔色が少し悪いのが気になるが、手足は温かく、血液循環の状態や呼吸は問題なかった。救命士は「自転車からの転落で頭部打撲しています」と状況を説明してくれた。ひと通り、診察を行ったが、右側頭部を触るとブヨブヨして、皮下血腫(ひかけっしゅ)ができていた。頭部・頭蓋内精査(ずがいないせいさ)が必要と判断し、研修医に、輸液確保、採血、頭部CT検査を行うように指示して母親から話を聞いた。

責任を感じているのか、母親の表情は険しく、どんな状態かを早く知りたい雰囲気がありありと感じ取れた。

「自転車から転落したときの地面は土? アスファルト? コンクリートでしたか?」とたずねると、即座に「コンクリートです」と返事があった。

「普段と同じように自転車のスタンドを立てておいたので、安定していると思っていました。あの子が少し眠たいのか、ぐずっていたので、前カゴから買い物した野菜などの食材を先に取り出して、玄関先に置こうとしたんです。その瞬間にカゴに荷物がひっかかったのか、自転車自体がグラッと傾いて…。自転車は途中で支えたのですが、あの子は、あっという間に滑り落ちる感じで頭から転落して、かなり大きなゴンという音がしました。

ゴンという音がした瞬間はキョトンとして、十数秒泣かなかったんですが、その後、火がついたように泣いて、10分ほどあとに泣きやんだと思ったら、立て続けに2回ほど嘔吐して、スーッと顔色が血の気が引いて青くなったので、すごく心配になって、救急車を呼んだんです。救急車が来るまで10分あまり時間がありましたが、やはり顔色は戻らず、なんとなく目がうつろで顔の表情がなくなったままでした。それで、さらに心配になり、救命士さんにもいろいろたずねましたが、『頭の中は心配だから、検査がすぐできる大きな病院に搬送します』と言ってくれましたので、ちょっと安心して、救急車に乗ってきました」

頭蓋内出血が確認され検査入院に

研修医が検査結果を持ってきたが、血液検査ではとくに大きな異常は何も認められなかった。しかし、同時に放射線技師から「硬膜外血腫<こうまくがいけっしゅ>(脳を包む膜と頭蓋骨の間に血液がたまっている状態)があります!」と電話報告があった。すぐにモニターで画像を確認すると、右側頭部に硬膜外血腫ができていたが、まだ脳圧迫は強くなく(脳圧迫が強くなると、脳に障害が生じる恐れがある)、4〜6時間後に再検査して、必要なら脳外科に相談することとした。母親には、数日観察検査入院が必要と説明して、納得してもらった。

2日後、それまで血腫の増大はなく、本人も元気になり、食欲も出て、嘔吐もないことから退院とし、その後は外来でフォローするということで、まずは1週間後に再受診してもらうことにした。母親は、「細心の注意を払わないといけないですね。まずは子どもを先に降ろすことが大事でした」と自分に言い聞かせるように話してくれた。

頭を打ったときは、以下の3項目の有無を確認

①すぐに泣かない
②顔色が悪い、生あくびをする、吐きけ・嘔吐
がある
③切れて出血している、触るとブヨブヨしたところがある


3項目ともなければ、家庭で様子を見て大丈夫です。1項目でもあれば受診、とくに③がある場合は、救急車で緊急受診しましょう。

★赤ちゃんを自転車事故から守るには…

1.自転車からの転落は走行中ではなく、止めた直後に多いもの。荷物より子どもを先に降ろして安全な場所で待たせることが大切です。

2.事故は、天気が悪いとき、行事や心配事などで親に余裕がないときに起こりやすいので要注意。

3.頭蓋内骨折や頭蓋内出血がありそうな場合、救急車に画像検査のできる医療施設に搬送依頼をしましょう。

市川先生が、赤ちゃんがかかりやすい病気や起きやすい事故、けがの予防法の提案と治療法の解説、現代の家族が抱える問題点についてアドバイスしてくれる、「救命救急センター24時」は、雑誌『ひよこクラブ』で好評連載中です。『ひよこクラブ』2018年11月号の「救命救急センター24時」では、低月齢の赤ちゃんが急に高熱を発し、ひどく具合が悪くなった「尿路感染症」の症例を取り上げます。(構成・ひよこクラブ編集部)

■監修:市川光太郎先生
北九州市立八幡病院救命救急センター・小児救急センター院長。小児科専門医。日本小児救急医学会名誉理事長。長年、救急医療の現場に携わり、子どもたちの成長を見守っていらっしゃいます。

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