AI時代に”親力”が問われる!? 赤ちゃんに今から育てたい2つの力とは?
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最近話題の「AI」。人工知能を持ったコンピューターのことですが、赤ちゃんたちが大人になるころには、現在ある仕事の多くはAIに取って代わられる、ともいわれています。AIに負けない子に育てるために、ママ・パパができることとは?
「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトを率いるAIの研究者、新井紀子先生に話を聞きました。
早期教育や学歴だけでは、AI時代を生き抜いていけない
赤ちゃんが成人するころには、さまざまな職業がAIに取って代わられる――。そう聞くと心配になるママ・パパもいるでしょう。将来、子どもがAIに負けないために、親はどんなかかわり方をしていけばいいのでしょうか? 最先端のAI研究に携わる新井紀子先生にお話を聞きました。
「残念ながら、早期教育やいい学歴だけでは、リスクヘッジになりません。AIは情報を暗記することは得意ですが、一つの情報を正確に読み解き、そこから発想をふくらませ、十の答えを導き出すことはできません。今後どれだけAI技術が進んでも、読み解く力=読解力は人間だけのもの。読解力を身につけることが、AI時代を生き抜くための近道なのです」(新井先生・以下同)
AI時代を生き抜く力は「ゴリラ力(りょく)」+読解力で養われる
読解力は、どうやったら身につくのでしょうか?
「多くの言葉を聞かせて、語彙量を増やすことが大切です。といっても、難しい言葉を教え込む必要はありません。身近な大人同士の会話を増やすことで、赤ちゃんは自然に語彙量を増やします。ママとパパが今日の出来事を話したり、ママ友と会っておしゃべりしたり、近所の人と世間話をする程度でいいんです。小学校入学までの語彙量が、その後の読解力に影響します」
AI時代を生き抜く力を育てるために、読解力と両輪を成すのが「ゴリラ力」だと新井先生は言います。
「ゴリラ力とは、赤ちゃんが本能的に持っている、成長する過程を十分に味わう力です。たとえば赤ちゃんは石を見つけたら、それをつかんで口に運び、なめますよね。親は汚いからやめさせたくなりますが、赤ちゃんは手触り、舌触り、味覚などを使って世界を確かめています。
『石は落ち葉より重い』
『手を離したら落ちる』
といったリアリティーを体感していくことで、言葉と結びついたときに発想をふくらませるための源となります。よちよちあんよの赤ちゃんは何度も転びますが、転ぶことでも赤ちゃんはリアリティーを学んでいます。ゴリラ力を発揮してもらうために、親は危ないことでない限り、見守る力を身につけたいですね。それが赤ちゃんの力につながるはずです」
赤ちゃんに今から育てたい力は?
★語彙力
ママ・パパなど大人の会話を聞く機会をつくる
↑
そのために、ママ・パパ同士の会話を増やすこと。それが赤ちゃんの語彙力をUP!
★ゴリラ力
赤ちゃんの興味に任せ、リアリティーを体感させる
↑
そのために、危ないこと以外は赤ちゃんのすることを親は見守ろう。
ママたちの間で話題になっていることから時事ネタまで、子育てに関するニュースを掘り下げる、『ひよこクラブ』人気連載「子育てトピックス」。読者に人気のテーマを、毎月ネットでも紹介します。2019年2月号のトピックは、「乳児用液体ミルクのこと」。ぜひチェックを!(取材・文/ひよこクラブ編集部)
■監修:新井紀子先生
国立情報学研究所・教授。一橋大学法学部、イリノイ大学数学科卒業。理学博士。専門は数理論理学。著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)が大きな話題に。