言葉が出始める1~2才ごろに「話したい」 意欲を伸ばす”言葉の芽”の育み方
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言葉が出始める1~2才ごろまでの言葉の発達の様子と、赤ちゃんの「話したい」という意欲を伸ばすママ・パパのかかわり方を、言葉の専門家、みくりキッズクリニックの坂崎弘幸先生に伺いました。
1才ごろ:受け入れてさりげなく伝えよう
「話し始めの赤ちゃんは、犬も猫も 『ワンワン』と呼ぶなど、少ない単語でたくさんのものを伝えようとします。これも言葉が育つための大事な過程。あえて言い直さずにまずは受け入れて。次に正しい言葉をさりげなく伝えましょう」(坂崎先生・以下同)
<1才ごろの様子>簡単な言葉を理解し、興味がある単語を話し始めます
「『ちょうだい』『どうぞ』のやりとりができるなど、簡単な言葉を理解し、『ママ』『マンマ』などの一語で相手に意味を伝える単語を発し始める赤ちゃんが増えます。発語はその子の興味があるものが多いです。このころは動物のすべてを『ワンワン』と言うなど、一語で示す対象範囲が広く、こまかい区別はまだありません」
<かかわり方1>赤ちゃん言葉を積極的に使おう
「『お茶を飲む』→『チャチャ、ゴクゴク』といったふうに、聞き取りやすく、親しみやすい言葉を使いましょう。また赤ちゃんが発音しやすい『マ行』『パ行』の唇を使う音や、繰り返しの音を多用するのも手です」
<かかわり方2>注意が向いているものの名前を伝えて
「赤ちゃんがものを見つめていたり、手に取ったものの名前を『ボールだね』というように、赤ちゃんに代わって言います。赤ちゃんがまねして繰り返したらほめて。興味を持っていないものを教え込もうとするのはNGです」
1才6カ月~2才前ごろ
「1才~2才代のころの言葉の育ちは個人差が大きいものです。言葉の発達が気になった場合は、どれだけ言葉を話すのかよりも、どれだけ大人の言葉を理解しているのかを見てあげましょう」
<1才6カ月ごろの様子>言葉とものの関係性が理解できるように
「話す単語の数が増えていきます。言葉とものの関係がわかってきて、『クマさんは?』と聞くと、絵本の中のクマをさしたり、『鼻はどこ?』『口はどこ?』という問いかけに自分の体の一部をさしたりするなど、相手の要求を理解して、指さしで答えるようになります」
<かかわり方>新しいことをどんどん体験させて
「言葉とものの関係を理解し、今まで以上に言葉に興味を持っているので、動物園に連れていくなど、新しい体験をさせて刺激を与えましょう。絵本の読み聞かせも、絵本の世界を体験できるという点でおすすめです」
<2才前ごろの様子>言葉で応答したり意思を伝えたりします
「『おもちゃ、取って』など、名詞+動詞の短い文(二語文といいます)を理解し、問いかけに対して簡単な言葉で答えられるように。『抱っこ』など、言葉を使った要求もできるようになってきます。『ワンワン、きた』など、二語文で話せるようになるころです」
<かかわり方>単語に1語添えて返答しよう
「赤ちゃんは発した『ワンワン』という言葉に対して、『ワンワン、いたね』『ワンワン、大きいね』などと会話になるひと言を加えて、コミュニケーションを深め、新しい言葉をさりげなく伝えていきましょう」
「親子で楽しい時間を過ごすことで言葉の芽は育つ」と坂崎先生。また、赤ちゃんが言葉を発することに自信をつけてあげることも大事だとか。親子でまねっこし合って、楽しく遊びながら言葉の芽を育ててあげてくださいね。(取材・文/ひよこクラブ編集部)
■監修:坂崎弘幸先生
みくりキッズクリニック 言語聴覚士、臨床発達心理士。宇高耳鼻咽喉科医院、徳島大学病院耳鼻咽喉科、東京都立特別支援学校などを経て現職。
■参考:『ひよこクラブ』2017年12月号「言葉の芽をはぐくむ赤ちゃんとのかかわり方」