いい加減にして!小さい子の「きょうだい喧嘩」は声かけで乗り切れる
Nadezhda1906/gettyimages
小学校入学前のきょうだいは、おうちで一緒に過ごす時間が多く、お互いに心・体が未発達で社会性が十分育ちきっていないため、トラブルも起こりがちです。「きょうだいで仲よく遊べない」「上の子ばかりしかってしまう…大丈夫?」など、年齢の近いきょうだいの育児に悩むママ・パパは多いよう。子どもの言語・コミュニケーションの発達に詳しい発達心理学の専門家、荻野美佐子先生に、未就学きょうだい育児で気をつけたいことについて聞きました。
未就学のきょうだい間で起こりがちなトラブルとは?
きょうだいとはいえ、それぞれ興味関心は異なるもの。気が合うきょうだいもいれば、合わないきょうだいもいて、仲よく遊べなくても心配することはありません。それよりも、ママやパパを含めた親との三角関係から、大きな問題が起こることが多いものです。親がきょうだい平等に接することは大前提ですが、それでも、子どもは不満を抱えていることがあります。とくに上の子は、下の子の誕生により、今までひとり占めしていた親の愛情を失う経験をするので、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だから」といつも我慢させるのではなく、ママ・パパと2人のときにじっくり話を聞き、甘えさせてあげることが必要です。
きょうだいで遊んでほしい場合には、たとえばブロック崩しのような、年齢差があっても一緒にできる遊びを提案してみるといいでしょう。また、上の子には「○○のことを教えてあげてね」、下の子には「○○のことはお兄ちゃん(お姉ちゃん)に聞くんだよ」と、役割分担をしてあげると、スムーズに遊べるようになるかもしれません。一緒に遊んで「楽しい」と感じられるように、ママ・パパが工夫してあげましょう。
きょうだい育児で気をつけたいこと1/それぞれの気持ちを尊重する
きょうだいとはいえ興味関心は異なるので、仲よく遊べなくても問題ありません。「一緒に遊びなさい」と強要するのはNG。また、「上の子だから」「下の子だから」という理由で我慢させるのではなく、それぞれの気持ちをじっくり聞いて理解してあげて。きょうだい平等に接するのはもちろんですが、とくに上の子は、ときどき甘えさせてあげることも必要です。
きょうだい育児で気をつけたいこと2/一緒に遊んで「楽しい」と思える工夫を
きょうだいで一緒に遊んでほしいと考えるなら、年齢差があってもできるような遊びを提案してみましょう。ブロック崩しやすごろくのように、小さい子でもできる楽しい遊びがおすすめ。その際、遊びの中での役割をつくってあげると、スムーズに遊べるように。
同性きょうだい・異性きょうだい・多胎児きょうだいの育児について
・同性きょうだいの場合
同性きょうだいで気をつけたいのは、きょうだい同士を比較しないこと。異性のきょうだいでは、親は性差を前提とするので、それぞれの違いを認識しやすいものです。同性の場合は「お兄ちゃん(お姉ちゃん)はこうだったのに、どうして違うの?」と比べてしまいがちなので、気をつけるようにしましょう。
・異性きょうだいの場合
異性きょうだいでは、下の子が上の子の性に影響され、妹が兄と同じ遊びを好んだり、弟が姉と同じものをほしがったりすることもあります。これはとくに心配することではなく、その子の個性と考えてOK。また、一定の年齢に達したり、集団生活を経験したりするようになれば、自然に好みが変化することも多いものです。
・多胎児きょうだいの場合
双子など多胎児のきょうだいの場合は、お互いだけに通じる言葉(ジャーゴン)で会話し、言葉の発達が遅れるケースがあるため、ママやパパは意識して話しかけてあげて。就学前になると双子でもそれぞれ好みの違いが出てくるので、服装や持ち物はなんでも同じにするのではなく、少しずつ自分で選べるようにしましょう。多胎児の育児は大変ですが、「この子はパパがお世話を担当」と決めてしまうと、ママに愛されていないと感じてしまうこともあるので、お世話の担当をきっちり決めないほうがいいでしょう。
同性きょうだい育児のポイント/きょうだいを比較しない
同性きょうだいでも、それぞれの興味関心や性格は異なるもの。きょうだいの違いを認め、比較しないようにしましょう。
異性きょうだい育児のポイント/上の子に影響されても大丈夫
上の子の性に下の子が影響を受けていても、問題はありません。成長するにつれて、自身の好みがはっきり表れてきます。
多胎児のきょうだい育児のポイント/なんでも同じにしすぎない
多胎児であっても、それぞれ個性があるもの。一定の年齢になったら、なんでも同じにするのではなく個性を大事にして。
きょうだいといっても、性別や年齢差など、関係性はそれぞれ違います。ママ・パパは、きょうだいの違いを認め、それぞれを尊重して接してあげるようにしましょう。(取材・文/前田ユリ、ひよこクラブ編集部)
監修/荻野美佐子先生
2018年まで上智大学総合人間科学部心理学科教授。専門は発達心理学。親子や保育園児の観察を通し、言語・コミュニケーションの発達などを研究。現在は放送大学等での授業担当や、障害児の療育の場にかかわっています。