主演・大野拓朗、女装で挑んたベビーシッター役で感じた「子育て」の困難さ。笑って、泣けて、最後は元気が出る! 話題のドラマ「ベビーシッター・ギン!」
現在放送中のNHKプレミアムドラマ「ベビーシッター・ギン!」。英国淑女に扮したベビーシッター・ギンが家庭に起こるさまざまなトラブルや子育ての悩みを解決するというこのドラマの主役・ギンを、人気俳優・大野拓朗さんが演じています。まさに、子育て中のたまひよ世代のママたちが共感できるようなリアルな問題が毎回テーマになり「思わず泣いちゃった」「こんなシッターさんがいてくれたらいいのに…」などの声も。今回は大野拓朗さんに、「ギンちゃん」を通して見えた、子育て世代のママ・パパたちに伝えたいことを、ひよこクラブ編集部が聞きました。
もっと人に頼りながら 子育てしていいんじゃないかな
(編集部)「ベビーシッター・ギン!」はまさに子育て中のママにささるテーマがたくさんありますね。ギンを演じてみて、子育てについて思うことはありましたか?
(大野さん)昔って、ベビーシッターは身近ではなかっただろうけど、近所のコミュニティがもっと盛んで、たぶんお母さんたちって今よりもっと人に頼りながら子育てしていたんじゃないかと考えました。よく「昔のお母さんはもっと強かったのよ」なんて聞きますけど、それってちょっと違うと思うんです。きっとおばあちゃんやおじいちゃんとか、まわりのサポートが今よりあったんだと思うんです。
今回演じているギンは、毎回さまざまな問題を抱える家庭にベビーシッターとして乗り込むんです。お母さんが1人で育児を抱えてたり、相談する人がいなかったり…いろいろな家庭のなかにギンちゃんとして入っていって、思うことがあったんです。それが「人に頼っていいんだよ」ってこと。今って頼る人もいなくて、1人で育児しているお母さんが増えていると思います。だからこそ、ベビーシッターさんを頼ってみたり、まわりにサポートしてもらうことがもっと必要なんじゃないかな。
まわりの温かい目があった 幼少時代
(編集部)大野さん自身は、どんな環境の幼少期でしたか?
(大野さん)両親が共働きで、祖母と同居していたこともあって、ずっと祖母と遊んでいました。姉もいたので、お手玉もすれば相撲もする…そんな家庭で、僕はまさにおばあちゃん子でした。
まわりの温かい目もたくさんありましたね。ご近所さんとは普通に挨拶ができる関係だったし、近所に商店街があって、何故かその商店街にある八百屋さんの裏で友達と集まってゲームをして遊んだり。常にだれかまわりの人が見てくれているような環境でした。
昔の母親の姿と重なる、 まわりの目を気にしないギン
(編集部)前回、ギンちゃんは理想の親像だと伺いましたが、大野さんとお母さまの思い出はありますか?
(大野さん)昔よくスーパーで、「お菓子買ってー!」ってダダをこねた記憶がすごくあるんです。その時の母親の対応がけっこう毅然としていて、ただ「ダメ!」って言うのではなく「今日は〇〇だから買ってあげられない。だから我慢してね」って、怒るというより諭された感覚が記憶に残っています。どんなに泣いてもまわりの目を気にしないで、強い母だったなと思います。
(編集部)そういう部分はギンちゃんに重なりますね。
(大野さん)そうですね。「まわりがこうだからあなたもこうしなさい」って言われた記憶はないです。ギンちゃんって「すべては天使ちゃんのために!」というセリフ通り、まっすぐで、決して動じないんです。それで思ったんですけど、今のお母さん達ってまわりの目を気にしすぎている部分があるんじゃないかなと。それで自分や子どもを責めて余裕がなくなっている…。だったらもう、ギンちゃんみたいに自分の世界だけに入っちゃえばいいじゃん!もっと人の目を気にしないで子育てに没頭しちゃえば、心に余裕が持てるんじゃないかなって思います。そのためには、僕をはじめまわりももっと子どもに寛容にならなければいけないとも思いますよね。
女装も含め、ギン役の大野さんがぴったりとはまっているのは、ご自身の実体験も生かされていることがよくわかりました。次回は、毎回登場する赤ちゃんや子どもたちとのかかわり方や撮影裏話なども伺います。
(取材・文/中島みどり 撮影/加藤 武[デザインオフィス・キャン])
NHKプレミアムドラマ「ベビーシッター・ギン!」は毎週日曜日午後10時~BSプレミアムにて放送中(再放送 毎週日曜日午後4時30分~)
【大野拓朗さんプロフィール】
1988年生まれ。キャンパスター★H50 with メンズノンノでグランプリを獲得後、映画、舞台、TV各方面で活躍中。連続テレビ小説「わろてんか」のキース役・大河ドラマ「西郷どん」の中村半次郎役は記憶に新しいところ。