名曲「おばけなんてないさ」が絵本に プロが厳選、夏に読み聞かせたい絵本5冊
暑い日が続き、日中は家の中で過ごす家庭が多いのではないでしょうか? そんなときに家の中で楽しめるアイテムのひとつ、絵本。今回は、夏にぴったりな絵本5冊を紹介します!
夏におすすめの絵本を教えてくれたのは、神保町にある子どもの本専門店「Book House Cafe」の茅野店長。茅野さんの絵本愛たっぷりなおすすめポイントを参考に、お気に入りの1冊を探してみて♪
女の子の描写がかわいい『さんさんさんぽ』
ある夏の日、「あーちゃん」という女の子がお散歩に行く物語。テンポのいいストーリーと、たくさんの夏の景色に、大人の息抜きにもなる一冊です。
茅野さんおすすめポイント
「シリーズ化されている大人気の絵本です。水彩絵の具で描かれた“あーちゃん”の表情、そして風景がとても魅力的。まるで、あーちゃんと一緒にお散歩に出かけているような気分になれます。作者のえがらしみちこさんは、水彩画でかわいらしい子どもの姿を描くことに関して当代一と評判の高い方です。大人もきっと、えがらしさんの世界に引き込まれますよ」
『さんさんさんぽ』(講談社) 作/江頭路子
木版画のリアルなタッチが人気『わにわにのおでかけ』
全5冊が発売されている、わにわにシリーズ。ちょっと不気味な外見ではあるものの、そのおちゃめな一面から、子どもに大人気のわにわに。本作は、わにわにが夏祭りに出かける物語です。
茅野さんおすすめポイント
「何よりこのイラストが印象的。一見、子どもは怖がりそうですが、おはなし会を開くと、みんな食い入るように絵を見て楽しんでいるんです。リアルなワニの姿が、逆に新鮮に映り子どもたちの興味を引きつけるのかもしれません。また、ワニ目線の描写が面白い。子どもにより近い目線の構図が子どもにも喜ばれる秘訣では。わにわにと夏祭りを楽しんでほしいです」
『わにわにのおでかけ』(福音館書店) 文/小風さち 絵/山口マオ
読むのも聞くのも楽しい『がたんごとんがたんごとん ざぶんざぶん』
海辺を走る小さな汽車に「のせてくださーい」と夏にちなんだものたちが、次々と乗り込んできます。アイスクリームや麦わら帽子など、夏ならではの登場人物と波打ち際の風景の描写はまさに夏におすすめの一冊。
茅野さんおすすめポイント
「汽車に次々と乗客が増えていく、という単純なストーリーですが、その繰り返しが子どもは大好き。『がたんごとん、がたんごとん』など、声にすると心地いいセリフばかりで、弾んだ感じでも落ち着いた感じでも、その日の気分で語りかける感じをどんなに変えても楽しいです。まだ小さい子であれば、寝る前の一冊にもおすすめです」
『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』(福音館書店) 作/安西水丸
ありそうでなかったしかけ絵本『びっくりはなび』
この絵本は、ページを上にめくる、上開きという体裁。上にくるページは、さらにめくれるようになっており(片観音開き)、そこをめくると花火が開花するというしくみです。生き物たちが次々と花火を打ち上げ、臨場感あふれる内容になっています。
茅野さんおすすめポイント
「表紙にラメの加工がされているなど、本を開く前からワクワクする一冊です。また、上開きで、さらに片観音であるという、かなり斬新な作り。『次はどんな花火があがるのかな?』と、本当の花火を見ているような感覚になります。作家の新井洋行さんは、とくに赤ちゃん絵本でたくさんのヒットを飛ばしている方。シンプルで愛らしいイラストと、斬新なアイデアとで、子どもたちに愛されています」
『びっくりはなび』(講談社) 作/新井洋行
あの有名曲が絵本に『おばけなんてないさ』
「おばけなんてないさ おばけなんてうそさ・・・・・・」という、多くの人が知っている名曲が絵本になりました! 歌いながらめくっていく、“うた絵本”という種類です。
茅野さんおすすめポイント
「表紙のおばけ、どこかで見たことがあると思われた方も多いのではないでしょうか? 絵は『ねないこだれだ』で知られる、せなけいこさん。独特な魅力のおばけは、一度見たら忘れられないほどチャーミング。せなさんのイラストと、有名な歌『おばけなんてないさ』がコラボということで、絵本好きな私としては、中身を見る前からワクワクが止まりませんでした(笑)。この本の最大のおすすめポイントは、ワンフレーズをいち見開きで展開していること。これ、歌を歌いながらめくると、大人も歌いやすく、子どももイラストをしっかり見ることができる、ちょうどいいテンポだと気づきます。うた絵本の中で、広くおすすめできる優れた作品です」
『おばけなんてないさ』(ポプラ社) 絵/せなけいこ
読んでみたい絵本は見つかりましたか? 読み聞かせは、親子のコミュニケーションツールのひとつ。絵本を使って、季節を感じながら、親子タイムを楽しめるといいですね♪
今回、取材に伺った「Book House Cafe」には、絵本のプロが多数在籍。「うちの子、どんな絵本が好きなのかわからない…」「初めての絵本は何がおすすめ?」と迷ったときに、最適なアドバイスがもらえます。
店内のすべての本は、読みながら選ぶことができます。「実際に開いて、読みながら、お子さまとご一緒にお気に入りの絵本を探していただきたいです。お手伝いできることがあれば、いつでもお声がけください」と茅野店長。機会があれば、ぜひ足を運んでみて♪
<お話を伺った方>
子どもの本専門店「Book House Cafe」店長・茅野由紀さん。店内にある約1万2000点もの絵本・書籍を管理し、絵本に精通。定期的に、講演会やおはなし会を開催しています。
「Book House Cafe」
住所:東京都千代田区神田神保町2-5 北沢ビル1F
営業時間:平日11:00~21:00、土日祝 11:00~19:00
キッズスペースや授乳室を完備。併設しているカフェでは、お子さまセットなどがあり、親子でゆっくりと本とカフェを楽しめるお店です。