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共働きのリアル「保活」後も続くハードルをどう超えた?

更新

幼児の女の子の手で彼女の父親を
Melpomenem/gettyimages

大変な保活を乗り越え、なんとか保育園入園が決まったとしても共働き家庭には次々と壁が立ちはだかります。先輩ファミリーたちはどのように折り合いをつけて働いたり、預けたりしているのでしょうか?共働き3つのファミリーのリアルな様子をリポートします。

関連:共働き夫婦のバトル!?どっちが休むか問題

慣らし保育で泣き続ける娘を見て、「仕事辞めようかな…」と思ったことも

~1才11カ月の女の子のAさんファミリーの場合~

産後も仕事を続けることに迷いはなかったと言うAさん。それでも、慣らし保育中に娘さんが泣き続けていたときは「仕事を辞めようかな」と思ったことも。「乗り越えられたのは、保育園の先生の人柄が大きかったです」と言います。 
娘さんには食物アレルギーがあったため、保育園選びのポイントの一つがアレルギーへの対応。今通っている園では月に一度、先生2人と保護者が対面で翌月の献立から除去するもの、代替食を一つ一つリスト化し双方で確認します。見学時にそうした具体的な対応策を示されたことが安心感につながりました。
アレルギーがあることもあり、家でも食事は手作りが中心。「ネットスーパーを利用しています。1週間分の献立を決めて、肉魚は土日に下味をつけて冷凍しています」とAさん。
復職してからは夫婦で『家事の見える化』を実践。おふろ掃除なら、浴槽、排水溝、床など一つ一つ細分化して紙に書き出し、分担を決めました。娘さんの体調不良時も夫婦交代で休んで対応しています。
「以前は保育園に預けることがかわいそう…というイメージがありました。でも毎日できることが増え、園で覚えたことを楽しそうに見せてくれる娘の様子を見ていると、保育園は人間形成の点からもプラスの面が大きいと感じています」(パパ)
復帰当初は、長時間保育に抵抗があったというAさんも、前向きにとらえられるように。
「復帰前は、日中、娘と2人っきりの生活で孤独感もありました。今では娘も保育園が大好きになり、家庭と保育園、二人三脚で子育てをしているような気持ちです。今後は仕事のペースも少しずつ上げていければと思っています」(Aさん)

息子が元気でさえいてくれればママファーストでなくてもいい

~1才5カ月の男の子・Ⅰさんファミリーの場合~

Ⅰさんは大学病院勤務の呼吸器内科医。産後3カ月のときフルタイムで仕事復帰し、当直もこなしています。「フルタイムで復帰する分、減ってしまう子どもとの時間は、家事を効率化して生み出そう」と妊娠、育児休業中から家事時短についての情報収集や、シミュレーションに余念がなかったといいます。復帰当初は負担がないようにとの職場の過剰な配慮から、仕事を回してもらえなかったことが悩みだったとか。
パパは、産前からキャリアを懸命に積むⅠさんを見ていました。
「妻は、たとえば離乳食作りは無理と思ったら投げだすタイプ(笑)。そういう部分は自分がやるか、外注することも。„ママなんだから“、という概念にとらわれずに、仕事に熱意をもって取り組んでいる妻の背中を押してあげたいですね」(パパ)
復帰後の仕事ぶりが認められ、Ⅰさんは約1年後から、緊急対応も求められる急性期病棟に配属。医療職同士の夫婦では、どちらかが退職したり、大きく働くペースを落とさざるを得ないことが多いといわれる中、Ⅰさんとパパは、お互いに仕事のペースを調整し、周囲のサポートも活用しながら当直もこなします。
「息子は、パパもばあばも大好き。元気で生きていてくれれば、息子がママファーストじゃなくてもいい。子どもと離れていることに葛藤(かっとう)はないですね。熱意のある女性医師はたくさんいますが、出産後も仕事のペースを落とさず続ける人はとても少ないんです。自分の環境と比べて、これは無理だけど、これならできるという後輩たちの判断材料になるよう、私がモデルケースになれればいいと思っています。もちろん、つらいときは撤退していい。今後に続く後輩たちのためにも、いい環境をつくっていけたらと思います」(Ⅰさん)

入園直前に息子が腸重積で入院・手術。保育園になかなか慣れず職場復帰も延期に

~1才1カ月の男の子・Sさんファミリーの場合~


出産前は夫婦ともに、夜も土日も含め忙しく働いていたというSさん。復帰後の働き方について話し合ったのは、息子さんが6カ月になったころだったそうです。
「今後の人生をどう生きるかについても考えました。子どもが歩けるとか、言葉を話し始めるといった瞬間に、自分も立ち会いたいと思って。忙しすぎる職場を退職することも検討していました」(パパ)
子育てで大切にしたいことも、普段からよく話していたという2人。Sさんの職場復帰に向けて、「のびのび過ごせる園を」と夫婦で意識を合わせながら保活も進めました。ところが、入園が決まってほっとしていた2月中旬、息子さんが腸重積(ちょうじゅうせき)で入院。„知らない場所=痛い・怖い“というトラウマがついてしまいました。4月から始まった慣らし保育でも泣き続け、息子さんは保育園で飲まず食わずの状態が続きます。
「『絶食状態のため早くお迎えに』と保育園から言われ、やむなく育児休業に有休をつけて復帰を延期しました。保育園にいつ慣れてくれるかもわからず、職場にどう伝えればいいのか悩みました。慣らし保育にかかる期間には個人差があるので、ママの復帰時期は余裕を持って設定するのがおすすめです」(Sさん)
慣らし保育の約1カ月を経て、現在はご機嫌で保育園に。パパは、ワークライフバランスを実現しやすい部署に異動がかない、朝の送りはパパ担当。Sさんは時間のコントロールがしやすい部署に異動を願い出て、5月に復帰しました。
「出産前は何事にも全力投球でしたが、今は子育ても仕事も適度に力を抜きながら取り組むようになりました。以前より子育ても仕事もポジティブに向き合えています」(Sさん)

関連:役所にGO!保活に小細工は必要?【子育てなめてました日記#18】

仕事復帰後、どちらかの負担が大きすぎると、体調を崩したり夫婦関係がこじれる原因にもなってしまうこともあります。保活をしながら、仕事復帰後の生活にイメージをはせ、保育園の送迎や家事の分担などについてパートナーとよく話し合っておきたいものですね。

(取材・文/大武美緒子、ひよこクラブ編集部)


■参考:『ひよこクラブ2019年8月号』「保活のこと総まとめ」

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