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3人の娘を日本で育てるジョージア大使。保育園では日本語、家ではジョージア語の教育で【インタビュー】

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大使館で、子育てについて語るティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使。

SNSで自身のことや本国ジョージアのことを発信しているティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使。大使は、5歳、3歳、1歳8カ月の女の子たちの父親でもあります。大使自身は、ジョージア、日本、アメリカで子ども時代を送った経験があります。
大使が子育てで大切にしていることや日本での子育てについて、ひよこクラブ編集長 伊丹千絵がインタビューしました。全2回インタビューの後編です。

▼<関連記事>前編を読む

3つの文化圏で育つことで、アイデンティティの確立に影響が

日本で暮らした子ども時代。

ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使が日本で暮らすようになったのは4歳のとき。科学者である父の仕事の都合で引っ越すことが多く、3つの文化圏で暮らしています。

伊丹 大使は、子どものころ3つの文化圏で育ったとのことですが。

ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使(以下 大使) 私は、ジョージアの首都トビリシで生まれ、3歳まではトビリシに住んでいました。父は生物専門の科学者ですが、私が4歳のときに博士課程の留学生として、家族で広島で暮らすことになりました。

その後も、父の仕事の都合で小学2~3年生はジョージアに戻り、小学4~5年生の途中までアメリカに住み、小学5年生の途中から、再び日本で暮らすというような生活でした。

伊丹 3つの文化圏で育つことで、どのような影響を受けて育ちましたか。
 
大使 異なる文化圏で暮らすというのは、とくに子どもにとってはナイーブな問題が生じやすいです。
引っ越すたびにせっかくできた友だちとも別れ、一から新しい文化に慣れなくてはいけません。国が変わるので、せっかく学校で学んだこともリセットされてしまいます。環境が大きく変わるので、子どもの心に与える影響は計りしれません。

私の場合は、自分のアイデンティティを確立するのに、すごく時間がかかりました。高校生のころは、父親の仕事の都合で茨城県つくば市に住んでいたのですが、アイデンティティが確立されていないので、心の中で何かが欠けている、何かしっくりこないというモヤモヤした感じが常にあったんです。
でも高校生の夏休みに家族で4年ぶりにジョージアに一時帰国して、両親の友人や親せきたちと会い、「ジョージアはどんなところか」という話を聞いたりしているうちに、「自分はジョージア人なんだ」と再認識でき、やっとアイデンティティが確立されました。日本に戻ってからも、母国ジョージアのことをもっと知りたいと思い、精力的にジョージアの文学について勉強しました。文学を通して、ジョージアの精神の基礎を学びました。

私には3人の娘がいますが、子どもたちは混乱しないように育てていきたいと思っています。その1つが言語で、触れ合っている言語が2カ国語以上にならないように保育園は、日本の子どもたちが通う園に通わせています。保育園では、もちろん日本語です。家庭ではジョージア語を使っています。

伊丹 保育園は、インターナショナルプリスクールではないのでしょうか。

大使 インターナショナルプリスクールだと、子どもはジョージア語、日本語、英語の3つの言語を使うようになります。そうすると子どもは混乱して、アイデンティティが築かれにくくなり、人格形成にも影響しかねないと私は考えています。
そのため小学校も日本人の子どもたちが通う公立小学校に通わせる予定です。

子育てはチームプレー。ジョージア語では父を「ママ」と言う

ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使の大切な家族。

ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使は、家族をとても大切にしていて、子育ても積極的に行っています。

伊丹 3人の子どもたちが生まれたときのことを教えてください。

大使 長女はジョージアで生まれて、二女、三女は日本で生まれました。ジョージアは無痛分娩が一般的ですが、日本は違いますよね。二女は日本で無痛分娩で出産しましたが、三女は無痛分娩の対応が間に合わずに自然分娩で生まれました。3人とも、出産に立ち会いました。出産は人生で一番大切な瞬間だから、立ち会いたいんです。

伊丹 大使は娘さんたちのお世話もしますか。

大使 帰宅後は、おむつ替えや寝かしつけ、ミルクを飲ませるなど、なんでもしますよ。子育てはチームプレーです! ジョージア語では父をმამა「ママ」と言うんです。
また自分の幼いころって覚えていないですよね? でも子育てをしていると「自分も赤ちゃんのときは、同じように大きな声で泣いていたんだろうな・・・」「自分も子どものときは、イヤイヤして食べないこともあったんだろうな・・・」と思うんです。子育ては、自分の知らない乳幼児期の自分に出会えて、いい勉強になります。

伊丹 日本は少子化が社会問題となっていますが、ジョージアではどうでしょうか。

大使 ジョージアも日本と状況がとても似ています。ジョージアでも晩婚化が進んでいますし、「結婚しても、子どもは望まない」と考える人たちも増えています。わが家は3人子どもがいますが、3人いるとジョージアでも子どもが多い印象です。

子どもの病気でわからないことは、妻がジョージアの看護師にオンラインで相談

「いつもつぶやくことを考えています」と話す大使。

ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使に、小児科や保育園のことなど子育てについてさらに聞いてみました。

伊丹 先ほど保育園は、インターナショナルプリスクールではないとのことでしたが、小児科はどうしていますか。

大使 小児科は、外国人が比較的多いクリニックに通っています。
ジョージアに帰国したり、外国に行く機会も多いので、子どもの予防接種は、日本のスケジュールではなく、その都度、医師に相談して受けています。

妻は、子どもの病気のことでわからないことがあると、よくジョージアの看護師にオンラインで相談しています。
妻は痛みをガマンしない主義で、少し具合が悪くなるとすぐに市販薬や処方薬に頼るんです。頭が痛いときなどは、日本の解熱鎮痛薬がよく効くと言っています。私は、あまり薬に頼らないので、そこは妻と考え方が違いますね。

伊丹 ほかに日本の子育てでのエピソードを教えてください。

大使 妻は日本語があまり話せないのですが、ある日、保育園の先生が、妻に「underwear(下着)」「long pants(長ズボン)」「diaper(紙おむつ)」など、持ち物をイラストと英語で書いて渡してくれたんです。そのメモを見たとき、日本ならではの「思いやり」だと感心しました。日本で暮らしていることがうれしくなった出来事でした。

お話・写真提供/ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使 取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部

インタビューは、東京都港区にあるジョージア大使館で行われました。大使はとてもフレンドリーで、取材中にスマホでインタビューの様子を撮影。すぐにXに投稿していました。

ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使のX(旧Twitter)

ティムラズ・レジャバ氏

PROFILE
在日ジョージア大使。ジョージア出身。2011年早稲田大学国際教養学部卒。2012年キッコーマン株式会社に入社。退社後、ジョージアと日本の経済活動に携わり、2018年ジョージア外務省に入省。2019年在日ジョージア大使館臨時代理大使を務め、2021年より特命全権大使に就任する。SNSを活用してジョージアの広報に努め、日々のSNS発信で注目を集める。

ティムラズ・レジャバ 駐日ジョージア大使 ​公式WEBサイト

ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使のX(旧Twitter)

●記事の内容は2024年9月の情報であり、現在と異なる場合があります。

『ジョージア大使のつぶや記』

4歳で来日し、カープファンで芥川龍之介好きという駐日ジョージア大使。幼いころや特命全権大使になった話、ジョージアの民族衣装を着てバズった日の話など、つれづれなるままに半生をつづった初エッセイ集。ティムラズ・レジャバ著/1760円(教育評論社)

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