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“もう、知らない”日常的な言葉の暴力が子どもの脳を傷つける

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いたずらな小さな娘は彼女の耳を閉じて、母親の非難を聞かない
fizkes/gettyimages

ママやパパによる“言葉の暴力”と言うと粗暴な人柄をイメージする方もいるのではないでしょうか。しかし“言葉の暴力は、どんな家庭にも見られます。たとえば、子どもをしかるときも“言葉の暴力”を浴びせていることが! 脳やココロにダメージを負った子どもたちの相談や治療に当たる、小児科医・友田明美先生に、言葉の暴力が与える子どもへの影響について話を聞きました。

関連:赤ちゃんを「叱る」べき時はどんな時?プレしつけを専門家に聞く

大声や暴言、子どもの人格を否定するしかり方は要注意!

子育てをしていると、時には厳しくしからなくていけない場面もあると思います。しかし①怒鳴る、②威嚇する、③「もう知らない!」など子どもを否定するようなしかり方は、本当のしつけではありません。そうしたしかり方は、子どもの脳やココロに大きな傷を残し、むしろ逆効果です。
アメリカのハーバード大学との共同研究によると、言葉の暴力を経験した人は、経験していない人よりも約14%も、脳の聴覚野(ちょうかくや)が肥大することがわかっています。
これは、いわば脳の防衛反応。聴覚野には、音や言葉をキャッチして理解する働きがありますが、言葉の暴力を浴び続けると、脳はしだいに暴言のストレスに耐えるために、音や言葉が拾えないように形を変えるのです。そのため会話やコミュニケーションが苦手になる子もいます。

脳やココロにダメージを与えないしかり方とは!?

乳幼児期は、脳が目覚ましいスピードで成長する時期。生まれたばかりのころは、脳は約300~400gですが、10歳ごろになると、大人とほぼ同じ1300~1400g程度に成長します。この時期、ママやパパに最も大切にしてほしいのは、親子で楽しく穏やかな時間を過ごすことです。
もし危険なことなどをして、しからなくてはいけないときは次のポイントを意識してください。

<脳やココロにダメージを与えないしかり方のポイント>

Point1. しかるときは短く!60秒以内が目安
クドクドしかると、子どもは聞く耳を持ちませんし、しかられている理由がわからなくなります。そうした子どもの態度を見て、ママやパパはますます怒りがエスカレートして悪循環を招くことも。そのためしかるときは、真剣な表情で「落ちたらけがするよ! ダメ!」など短い言葉で言い聞かせましょう。

Point2. しかるとき人格否定はしない!
しかるときに「何度言ったらわかるの? 本当にバカね!」と言ったり、お友だちと比べたりして「〇〇ちゃんは、もっと上手にできるのに…」など、人格否定をするのはNG! 「道路に飛び出すと危ないからダメ!」など、やってはいけない行為だけを注意しましょう。

Point3. ハードルを下げる
たとえば食べ物の好き嫌いが多くて気になる場合は、“一口でも食べたら合格!”と思って。片づけや着替えなど苦手なことも、完璧を求めるのではなく「××は苦手だけど、〇〇は上手になったね!」など、できるようになったことを認めてあげましょう。そうした視点で子ども見ると、しかる回数はぐんと減るはずです。

パートナーやばあば・じいじの言葉の暴力を止めるには!?

ママ(パパ)のなかには、パートナーやばあば・じいじから子どもへの言葉の暴力に悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
そうした場合は、相手に「子どもに乱暴な言葉を浴びせ続けると、脳やココロに深い傷を残すことが研究でわかっているみたい。大きくなるとお友だちに暴力を振ったり、チックの症状が出たり、不眠になったりする子もいるみたいだからやめて」と伝えましょう。
それでも耳を貸さない場合は、相手のいいとこを見つけてほめてみるのも一案。「パパ、ありがとう。パパが荷物持ってくれたから助かるわ」などとほめ続けると、しだいに“子どもをほめる”視点を身につけていきます。また「〇〇ちゃん、優しいのよ。泣いたお友だちをなぐさめてあげてたよ」「〇〇ちゃんって、いいところいっぱいあるよね」と話すと、子どもの長所に目を向けるようにもなります。

関連:【子どものしつけ】いつから始める?たたいちゃダメなの?

友田先生によると、子どもに直接暴言を吐くのはもちろんNGですが、子どもの前で言い争うような夫婦げんかを繰り返したり、子どもの前でママ(パパ)の悪口を言ったりするのも、子どもの脳やココロには大きなダメージを与えるそう。子どもは夫婦仲がいいと、それだけで幸せを感じます。子どもの脳やココロの成長に最も大切なのは、家族が笑顔で過ごす温かな時間です。(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)

■監修/友田明美先生
(福井大学 子どものこころの発達研究センター 教授)
小児神経科医、医学博士。専門は、小児発達学、小児精神神経学。2009~2011年および2017年~2019年に日米科学技術協力事業「脳研究」分野グループ共同研究日本側代表を務める。著書に「親の脳を癒やせば子どもの脳は変わる 」(NHK出版新書)、「実は危ない! その育児が子どもの脳を変形させる」(PHP研究所)などがある。

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