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男の子ママがイライラしなくなる、「しかる」と「怒る」の差を専門家に聞く

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家族の紛争
LittleBee80/gettyimages

「あー、またやった!」「何回言ったらわかるの!」「早く準備して!」。予測不能な男の子の行動に、イライラしてしまうという男の子ママの声が良く届きます。でも無理にイライラをがまんすると、今度はそのストレスがたまってしまうし、いったいどうすれば…。男の子ママが少しでもイライラしなくなる、そして子どもにもストレスが少ない「しかり方」はあるのでしょうか。男の子の父親であり保育士のキャリアも持つ大阪教育大学教育学部准教授(家政教育講座)の小﨑恭弘先生に「しかり方」のコツとポイントを伝授してもらいました。

「しかる」が成立する3つの条件とは?

しかるとき、ただ大きな声を出して、怒鳴ってはいませんか? 実は「しかる」には、それが成立するための条件があります。言い換えれば、その条件がそろっていなければ、しかることにもなっていない、ただ怒りの感情をぶちまけるだけの行為になってしまいます。「しかる」の条件とは、次の3つです。

①メッセージがあること
しかるときには、「それをしたら危ないよ」「今は静かにしないといけないよ」「ちゃんと食べようね」といったメッセージがあるはずです。イライラした感情を爆発させる行為は、「怒り」です。怒りにメッセージはありません。

②関係性があること
メッセージは関係性がないと伝わりません。大人だって、会社の他部署の人から注意されても「なんであなたに言われないといけないの?」と思いますよね。それは関係性がないからです。普段の生活の中で、親子の関係性を築くようにしましょう。

③ゴール設定があること
ゴール設定がないままでは、また同じことのくり返しです。「静かにしてくれてありがとう」「ちゃんと食べてえらいね」といった言葉をかけることで、子どもの行動の変化、成長につながります。

しかり方のコツ1「ママのルールや約束ごとを減らす」

子どもとの間で、ルールや約束ごとを決めているママは多いと思います。
「9時までに寝る」
「遊ぶのは歯磨きが終わってから」
「出したおもちゃは片づける」
どれも、ちゃんとしたルールや約束ごとのように聞こえますが、実はその約束をしたと思っているのは、ママだけなんです。自分の好きなように生きている2~3歳ごろの男の子は、約束してその場で「わかった」と言ったとしても理解していません。ルールや約束は破られて当然なので、子どもとのルールや約束ごとが多いママほど、「何度言ったらわかるの!」とイライラしてしまいます。

だからまずは、ルールや約束ごとを減らしてください。ゼロにするくらいでもいいです。そして今度は、簡単な約束から始めましょう。「9時までに寝る」というのは、言葉では簡単ですが、それまでにごはんや歯磨きやおふろをすべてクリアしないといけないので、実は難易度の高い約束です。最初は「外に出るときは靴を履く」くらい簡単なものにしましょう。

しかり方のコツ2「しかるラインを決めておく」

服を着替えない、物を片づけない、所かまわず鼻くそをほじる、などなど…。子どもの行動をちゃんとさせようと思うと、ずーっとしかり続ける状態になってしまうことも。これでは疲れてしまいますよね。そこで、ママ自身が「ここまではしからない」「ここからはしかる」といったラインを決めておきましょう。
「自分や他人が大きなけがをするおそれがあるとき」
「3回注意しても同じことをしているとき」
といったように明確に決めておくと、子どももだんだんとそのルールを理解するようになります。

しかり方のコツ3「短くシンプルに」

しかるときは、最小限の言葉と時間で、短くシンプルにしかりましょう。イライラしやすいママは、延々としかっていることがあります。最初は片づけをしないことをしかったつもりでも、
「これ何回目?」「なんでわからないの?」「これも使っちゃダメって言ったじゃない」「その服どこで汚したの?」「明日の準備終わってる?」
と、気づかないうちにどんどん別のことを追加しているなんてことも…。あれこれ言っても子どもの耳には入っていないので、しかるときはポイントをしぼるようにしましょう。

しかり方のコツ4「その場でしかる」

「あと10分だけよ」と言ったのに、20分、30分、1時間と遊び続ける息子に悩まされたことのあるママも多いでしょう。2~3歳ごろは「今がすべて」で、なかなか時間の概念を理解することができません。だから、しかるときも、「もしかして昨日もこうだった?」「明日はちゃんとしてね」と言ってもほとんど意味がありません。しかるのであれば、しかるタイミングがあったその場だけ。それ以外のときにしかっても、ママの労力を無駄に消費してしまいます。

しかり方のコツ5「しかり顔をつくる」

2~3歳ごろは、まだ言葉の意味をちゃんと理解できてはいません。その代わり、ママがしかるときの表情をじっと見ています。これから真面目にしかろうとするときに、子どもがふざけて、ママもそれにつられてつい表情が緩んでしまうこともありますよね。子どもはその変化を見逃さないので、ママが真面目にしかっても「ママは笑ってる」と思ってメッセージが伝わりません。しかるときの顔づくりも意識してみてください。

しかり方のコツ6「人格否定をしない」

しかるということは、「その子の行為」をしかることが大原則です。エスカレートして、その子自身を否定してはいけません。お茶をこぼしたときに「ちゃんと気をつけて!」はよくても、「またこぼしたね、あなたいつもそうなんだよねぇ」といった人格の否定は避けましょう。「もういい、好きにしなさい」「やらなくていいよ」と突き放したり、「〇〇くんはできてるのに」とほかの子と比べたりするのもよくありません。

しかり方のコツ7「たまには怒るのはしかたがない」

最初にも述べたように、「しかる」と「怒る」は違います。しかしどんなに気をつけているママだって、つい怒ってしまうことはあるでしょう。そのとき、「怒っちゃったなぁ」と気づいているなら問題ありません。子育てというのは、この世界の喜怒哀楽あらゆることを教えることなのでときには自分の感情を発散させて怒ってもいいのです。ただし力の差があるので、手を上げてはいけません。

しかり方のコツ8「しかる以外のアプローチも考える」

親が子どもをしかる目的は、行動を変えてもらいたいからです。行動を変えられるなら、しからなくてもいいでしょう。子どもの行動を変えるアプローチとして、「ほめる」「なだめる」、ときには「無視する」だっていいのです。それなのになぜ、ママはよくしかるのかというと、「しかる」が手っ取り早く、効果があるからです。「静かにしてって言ってるでしょ!」だけで子どもは静かになります。しかしそれは本質的な変化ではなく、一時的にそう変化しているだけなので、親の自己満足で終わることも多々あります。いつもしかるばかりだとイライラしてしまうので、それ以外のアプローチが取れないか、考えてみましょう。

関西弁の小﨑先生は最後に、「育児はええかげんでいいんです」と言いました。「ええかげん」というのは、標準語だと「いい加減」「よい加減」。「ちょうどいい」という意味や、「ルーズでいい」という意味になります。最近のママは、スマホなどで情報をとても多く持っており、「こうしなきゃいけない」「自分はこうでなきゃいけない」という気持ちも強いことでしょう。でも子どもは、自分が興味を持ったことに夢中になっているうちに、楽しさやルールを覚えていきます。ある程度のことは目をつぶって、ときには「しかる」くらいが“ええかげん”なのかもしれません。
(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)


■監修/小﨑恭弘先生
大阪教育大学教育学部教員養成課程准教授(家政教育講座)。西宮市初の男性保育士として活躍したのち、大学の准教授やNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の顧問として活動中。3男の父。

■参考文献/『男の子の 本当に響く 叱り方ほめ方』(すばる舎、小﨑恭弘著)

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