子どもの体形は瘦身型と肥満型の二極化に 肥満、うちの子は大丈夫!?
日本の子どもの体形は瘦身型と肥満型の二極化傾向にあるのをご存じですか。肥満傾向の子は、成長とともに病気や心に与える影響が心配されることも…。横浜市東部病院で開かれた「ほうっておけない“子どもの肥満” 親子で見直す生活習慣」の講座の模様を紹介します。
6歳以上でウエストまわりが、身長の半分以上あったら要注意!
肥満のなかには、子どもでも高血圧や動脈硬化、糖尿病などの病気が心配されるケースがあります。ママやパパでは見極めが難しいので、6歳以上の場合は次の点をチェックしてみてください。
1.首が黒ずんでいる
2.寝ているとき、いびきをかいたり、一時的に無呼吸になったりすることがある
3.ウエストが、身長の半分以上ある
(おへその高さでウエストを測定してください)
③に該当していて、かつ①か②のいずれかにも該当していたら、念のため小児科を受診しましょう。
また肥満の子は、高血圧や動脈硬化の病気のほかに、幼稚園などで集団生活が始まると「お友だちみたいに運動ができない」「からかわれる」と言った心の問題を抱えることもあります。もし「幼稚園に行きたくない」「お友だちと遊びたくない」「僕(私)はできないから…と、すぐにあきらめる」など気になる様子が見られたら、幼稚園や保育園の先生に相談してみましょう。
肥満予防&解消には、まずは食生活の見直しを!
子どもの肥満は、食生活の乱れが主な原因なので、まずは食生活を見直すことが第一! ポイントは、次のとおりです。
point1 食事は和食を中心に。パンやフルーツ、いも類などで糖質はとり過ぎない!
和食を中心に、栄養バランスがいい食事を心がけてください。
外食や中食(コンビニ弁当など)をよく利用する方は、とくに糖質のとり過ぎに注意を! 糖質をとり過ぎると、体内で余った糖が体脂肪として蓄えられてしまいます。
たとえばハンバーガー、ポテト、ジュースを頼むときは、ポテトを生野菜のサラダに。ジュースを牛乳に変えると、糖質のとり過ぎが防げます。
point2 摂取カロリーに注意する
乳幼児の1食の摂取カロリーの目安は、
【1~2歳児】
男児 320kcal、女児 300kcal
【3~5歳児】
男児 430kcal、女児 420Kcal
(食事摂取基準2015 身体活動レベルⅡより)
スナック菓子や洋菓子ばかり食べていたり、頻繁におやつを食べているとカロリーオーバーになるので注意を!
また果汁ジュースは500mlで約230Kcal、炭酸ジュースは500mlで約200Kcal前後あるので、水分補給は水や麦茶などにしてください。
牛乳は、カルシウム補給のために積極的に飲ませるおうちがありますが、脂肪分が多いので与え過ぎはNG!
幼児だと、タピオカミルクティーを飲む子もいるかも知れませんが、1本で3~5歳児のほぼ1食分のカロリーを摂取してしまうので、与えるのはほどほどに。
point3 よくかんで食べる
満腹中枢を刺激して、食べ過ぎを防ぐためにも食事はよくかんでゆっくり食べることが大切! ママやパパが「カミカミ」とお手本を見せたりしながら、よくかむ習慣をつけましょう。
調理法を変えると、かむ回数は自然とアップします。
【卵サンド】
耳なし かむ回数/約130回
耳つき かむ回数/約202回
【ごはん100g】
白米 かむ回数/約353回
炊き込みごはん かむ回数/約660回
(前 岡山大学病院小児歯科講師、国立モンゴル医科大学客員教授 岡崎好秀氏の調査より)
また野菜スティックは輪切りよりも乱切りに。カレーやシチューの野菜も大きめに切って少しかために煮るとかむ回数がアップするので、調理のしかたを見直すといいでしょう。(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
乾先生によると、子どもの肥満はやせるまで体や心にダメージを与え続けるのが大きな問題だそう。なかには肥満が原因で、自己肯定感が低くなってしまったり、人と交わることを避けたりする子も。横浜市東部病院では、小学生以上を対象に、医師、看護師、管理栄養士がワンチームとなって1週間ほどの入院で生活・体質改善をめざす「子どもの肥満ケアプログラム」を行っています。もし家庭で頑張っても効果が得られない場合は、あきらめずに専門医療機関に相談してみるのも一案です。
■取材協力/済生会横浜市東部病院