トレンディエンジェル斎藤司 17歳で母を亡くし父子家庭の経験を経て、子育て奮闘中
2月中旬、吉本興業が今年一押しの芸人を紹介するお披露目会を開催。漫才コンビ「トレンディエンジェル」の斎藤司さんは、「パパは斎藤さんだぞ!~M-1チャンピオンの子育て論」というタイトルで講演を行いました。子育てファーストにシフトチェンジした生活や、育児にまつわる妻との衝突など、一人のパパとして悩み成長するエピソードは、ママ・パパたちに親近感を与えてくれそうです。父子家庭の経験から得た独自の子育て論にも注目が集まりました。そんな講演の様子をレポートします!
ママ向けイベントで地獄の空気に……
2017年12月、一般女性との結婚を発表し、2018年6月に女の子が誕生した斎藤司さん。1歳8カ月の子を持つパパとして、最近ではママ向けイベントなどで講演することも増えているそうです。
「歌が得意なので、イベントでは、Eテレの『いないいないばあっ!』の歌をみんなで歌いました。ちゃんと歌詞を覚えていなくて、地獄の空気になったこともあります」(斎藤さん)
そんな子育て真っ最中の斎藤さんは、「自身が子育てをする中での失敗や学んだことを少しでもみなさんに参考にしてもらえれば」と語ります。
妻を怒らせたNGワード
良いパパ、良い夫のイメージが広まりつつある斎藤さん。でも、妻の気持ちに気づいてあげらず、思いがけない失言でケンカをしたこともあったそう。
「あるとき、妻に『いいなあ。お前は1日中娘といられて』と言ってしまったんです。けっして育児をなめていたわけではなく、その日はちょうどルミネtheよしもとでスベり過ぎて。逃げたい、隠れたい、娘に会いたい!という気持ちからの発言だったんです。でもそれが、『あなた育児が簡単だと思ってるんでしょ!』と、心無いひと言として受け止められてしまいました」(斎藤さん)
そのとき、育児中の女性がいかにナイーブかということに気づいた斎藤さん。女性が育児に対して抱える繊細な気持ちに触れ、夫としても成長していきます。
パパになり180度変わったこと
子どもが生まれて変わるのは、ママだけではありません。新米パパの斎藤さんにも、さまざまな心境の変化がありました。
「まずはファッション。以前はK-POPのBIGBANGに憧れて尖ったライダースを買うなど、数回しか着ない服に毎月100~200万円費やしていました。今は、娘を抱っこしやすく、着やすい服を選んでいます。飲みに行く回数も圧倒的に減りましたね。子どもがいるのに夜飲みに行くのは愚行とすら思っています。そして、仕事。ルミネtheよしもとの出番が1日3本ある日は、出番の合間に娘に会いに自宅へ戻り往復することも。笑わない客より、笑う娘ですよ!正直、今も帰りたいです(笑)」(斎藤さん)
そして、話は斎藤さんの生い立ちにも及びました。
今この瞬間を共有したいと思いながら娘と過ごす
斎藤さんは、17歳のときにお母様を癌で亡くされています。そのとき、妹さんは10歳。それまで仕事ひと筋だったお父様が、お味噌汁を作ったり、妹さんの髪を結ったり、不慣れな家事を一生懸命こなしてくれた思い出が心に刻まれているそうです。
「その経験から、自分に子どもができたときは一通りのことができるようにと、オムツ交換、お風呂、ごはんなど、必死に覚えました。いつ妻が病気になるかもわからない、自分が舞台に立つのは今日が最後かもしれない。そんな思いから、娘との時間はすべて共有したいと思っています。甘やかしていると言われるかもしれないけれど、抱っこをせがまれればいつでも応じたいんです」
手探りながらもまっすぐに子育てに向き合う斎藤さんの育児論は、胸を熱くするものがあります。今まさに子育てをアップデート中の斎藤さん。今後どんなパパになっていくのか目が離せません。
取材・文/高橋瑞穂
■Profile
1979年2月15日生まれ。2004年に漫才コンビ「トレンディエンジェル」を結成。2013年「オンバト+」3代目チャンプ、2014年「THE MANZAI」準優勝、2015年「M-1GP」王者。「直撃ライブ グッディ!」のコメンテーターとしてレギュラー出演中。2017年に一般女性との結婚を発表。2018年6月、第一子が誕生。1歳8カ月(取材時)の女の子のパパ。