【ママ心理士が解説】「なぜ働くの? 子どもがかわいそう」昭和世代の心ない言葉に傷ついたら
今や当たり前かも、というぐらい増えている子育て世代の共働きファミリーですが、昭和世代のばあば・じいじの中には「子どもがかわいそう」「母親業は大丈夫なのか」ととらえる人も…。心配してくれているというのはわかっていても、疲れていると嫌みにしか聞こえないときがありませんか? そこで、周囲の言葉に対する上手なつき合い方について、ママ臨床心理士の須山智子先生に聞きました。
言われてムカつくのはなぜなのか、見つめ直してみる
実母や義母によく言われる言葉として「子どもがかわいそう」「子どもがいるのにどうして働くの?」「母親としてどうなの」などがあります。こういった言葉に対してカチンときたときには、自分がなぜその言葉に反応するのかを考えてほしいと須山先生は話します。
「もし、そんなの今どき古すぎる、と思っていたら何を言われても気にならないはずです。傷ついているということは、自分も、自分が仕事をしていることで子どもがかわいそう、と心のどこかで思っているからなのです。
カチンとくるのは、相手の言葉が悪いのではなく、自分が思っていることを言われたからだ…とわかれば相手を責める気が起きません。もし、嫌な言葉を言われたら、どうして嫌だと感じたのか自分に聞いてみるといいですよ」(須山先生)
「壊れたラジオテクニック」で衝突を防ぐ
それでも、顔を合わせるたびに自分の生活スタイルに口を挟まれるのは不快に感じることも多いもの。角を立てずに丸くおさめる方法はないものでしょうか。
「不快な言葉を繰り返されたときの対処法として、“壊れたラジオテクニック”というものがあります。
あらかじめ、言い返すフレーズを決めておいて、不快な言葉を言われたら、なるべく感情を込めずに淡々と返すのです」と須山先生。
例をあげて説明しましょう。言い返すフレーズは「一生懸命やっているから大丈夫よ」とします。
実母:「働いていてばかりでは子どもがかわいそうじゃない」
自分:「一生懸命やっているから大丈夫よ」(感情を込めずに)
実母:「そんなこと言ったって、ちゃんと料理作っているの?」
自分:「一生懸命やっているから大丈夫よ」(感情を込めずに)
実母:「気をつけないと愛情不足になっちゃうよ」
自分:「一生懸命やっているから大丈夫よ」(感情を込めずに)
という感じです。
「言い返すときのポイントは、感情を込めないことです。反応が薄いと相手も言う気がなくなってきて、言葉の影響力を小さくすることができます。逆に、感情的に返してしまうと、相手も感情的になってしまい、ヒートアップしてしまい、何の解決にも至りません」(須山先生)
自分と近い世代のママ友をつくる
言われてカチンとくる言葉を口にする人たちは、共働きが少数派だった昭和を生きてきた世代が多いでしょう。そういう人たちとばかり接していると、「私が間違っているのかな?」と思ってしまうかもしれません。
「昭和世代の人たちと今のママたちの考え方が違うのはごく自然なこと。同じにならなくていいのです。なので、自分と近い考えを持つ仲間=ママ友を持つといいですよ」と須山先生。
自分:「お義母さんにこんなこと言われちゃったんだよね」
ママ友:「えーっ!今どきそんなこと言っているの?」
自分:「そうだよね?」
のような会話になるのではないでしょうか。現代の価値観で客観的にコメントしてくれるママ友は、ありがたい存在。ちょっとしたことを話せる友だちは大切にしたいものです。
だれからも好かれる自分でなくてもいい
そして最後に、「義理の両親とうまくいかない、と相談に来られるママは多いですね」と須山先生は言います。
「みんな、全方位、だれとでもうまくやろうと頑張ってしまうのです。でも、そもそも全方位の人たちと仲よくする必要はありません。義理の両親とはうまくいかなくて当たり前、嫁は嫌われて当たり前、くらいに思っていたほうがちょうどいい。だれからも好かれようと理想を高くしすぎることで自分を苦しめている人が多いですね。ちょっとうまくいかなくても、ま、いっか、くらいにおおらかにとらえたほうがうまくいきますよ」(須山先生)
(取材・文/岩崎緑、ひよこクラブ編集部)
共通のポイントとしては「感情的にならない」ということのようです。カチン!ときてしまったときは、まずは冷静になって、ここで紹介したアイデアを試してみてくださいね。(取材・文/岩崎緑、ひよこクラブ編集部)
■監修/須山智子先生
(臨床心理士)
カウンセラーとして夫婦関係と子育て相談を専門に活動中。2人の女の子のママでもあり、「『自分と家族にモテモテに』を合言葉に、夫婦がいつまでも仲よく、子どもに本物の愛を示せるママをめざす『ママモテ部』」を提唱しています。