環境の変化についていけない子どものストレス、できることは?
新生活が始まって、ただでさえ環境の変化が多い春。そのうえ今は新型コロナウイルスの影響で外出もままならず、大人はもちろん、子どももストレスを抱えているかもしれません。子どもの五月病について、心理療法士の平尾美佐緒さんに聞きました。
平尾美佐緒
心理療法士 食育アドバイザー
15年の保育士経験から、母親問題の人間関係や頑張っているのに生きづらさを感じる女性のためのカウンセリング、本音を話せない経営
者のカウンセリングを行っている。
子どものストレスが気になるとき
子どものストレスについては「五月病」が分かりやすいでしょう。五月病とは医学的な病名ではなく、環境の変化についていけないストレスなどによる精神的症状といわれています。
例えば入園や進級で新たな環境、新たな人間関係となれば、慣れないことが増えます。最初は新しい環境や人間関係に順応しようと一生懸命です。しかしその間、心の緊張がずっと続き、ストレスが溜まっていくことが考えられるのです。そして初めての長期的なお休みとなるゴールデンウィークに緊張していた心が緩み、今までの疲れがどっと出る場合があります。
よくあるのが、連休明けに保育園への登園を嫌がるケース。しかしこれはほんの一例です。「保育園楽しい?」と聞いて子どもが「楽しい」と言っていたとしても、実はそれはオウム返しの返答をしただけかもしれません。大切なのは「環境の変化についていけないストレス」を抱えていないかです。
こんなサインを見逃さないで!
なんとなくいつもと違うと感じたとき…。下記のようなサインを見逃さないようにしたいものです。
・ゴロゴロしている
・おなかが痛い
・食欲がない
・イライラして怒る・泣く
・ベタベタして甘えてくることが多くなった
・イヤイヤが増える
・寝つきが悪い
・爪を噛む
・指しゃぶり
…など
ここに挙げたのはほんの一部ですが、いずれも「私はここにいるの!」「もっと私を見て!」という子どもからのサインかもしれません。
子どもからのサインを見逃さないようにするには、子どもとしっかり向き合うことが必要。「あれ?今日は何となくいつもと違うかも?」と気づくためにも、日ごろから子どもの性格やクセを知り、しっかりとコミュニケーションをとっておきたいものです。
子どものストレス発散・対処法
「なんだか子どもの様子がおかしい」「イライラして怒ったり泣いたりすることが多い」そんな様子に気づいたときはどうすればいいのでしょうか?ママの方が悩んでしまうこともあるかもしれませんね。
子どもがストレスをため込まないようにするには、「1.体を動かすこと」「2.スキンシップ」「3.規則正しい生活を送る」これらを意識することが大事です。
1.体を動かすこと
体を動かすことは、子どもにとってストレス発散になることはもちろんのこと、丈夫になる、五感が刺激されて感性が豊かになる、とプラス面がたくさん。体を動かす遊びを積極的に取り入れましょう。今の状況でなかなか難しい人は、おうちの中でできるストレッチや柔軟などもよいでしょう。
2.スキンシップ
ふれあいは、親子の愛情を深めるために大切なものです。肌と肌が触れ合うことで「安心する」「気持ちがいい」という感覚になると言われています。安心する居場所があるからこそ、行動が広がることも考えられます。
3.規則正しい生活を送る
環境の変化やストレスに負けない体と心を作るためには、規則正しい生活習慣を身につけることが大切です。食事、睡眠など規則正しい生活を心がけましょう。
親としての対応
「子どものストレス発散・対処法」を上記でご紹介しましたが、そのキーになるのが親をはじめとるす保育者の存在です。新たな環境、新たな人間関係の中で子どもは子どもなりに頑張っています。ベタベタと甘えてくる、何故かイライラしている、なかなか泣き止まないといったこともあるかもしれません。しかしそのようなときこそ、何も言わずギュと抱きしめてあげることが大事な瞬間です。
大切なのは、子どもの気持ちに寄り添い、コミュニケーションをとること。子どもの話を聴くときのポイントは「無理維持しない」「うんうんと、肯定的な返答」「笑顔で接する」の3つです。
子どもの気持ちに寄り添い、コミュニケーションをとっておきたいものですね。
子どものSOSに気づいたら、子どもを見守り子どもと向き合うことが始まりであり、そしてもっとも大切なことです。しかし、それでも子どもの様子がおかしいと思ったら、専門家の力を借りるなど早めに対応することも検討しましょう。